【ネタバレ】映画「マーベルズ」とエンタングルしなかった「シークレット・インベージョン」の4つのポイント

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「マーベルズ」では、キャロル・ダンヴァース、モニカ・ランボー、カマラ・カーンたち三人のパワーが Entangle (絡まる)して独特なアクションシーンを見せましたが、直前のイベントであったはずのドラマ「シークレット・インベージョン」とはほとんど絡みがありませんでした。この記事ではそれらのポイントを整理して紹介しています。

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ヴァーラの不在

ニック・フューリーの妻、プリシラ・フューリーことスクラル人のヴァーラは「シークレット・インベージョン」のラストで共にS.A.B.E.R.へと上がりました。

フューリーはクリーとスクラルの和平交渉が開かれるため、ヴァーラに最高の外交官としてついてきてほしいと頼み、ヴァーラがそれを承諾したわけですが、「マーベルズ」にヴァーラは登場しませんでした。

「マーベルズ」で見ることができた和平交渉のシーンは主に皇帝のドロージに集中しており、ヴァーラに関して何の言及もなかったのは残念なポイントでした。

ターナックス

和平交渉が行われた場所はスクラル人の居住する星ターナックスでした。コミックに登場するスクラルの首都ターナックスIVの名を冠しています。

ターナックスがあるのに「シークレット・インベージョン」で地球上に100万人もの難民スクラル人がいたことは少し解せない部分があります。

MCU版のターナックスの広さは不明ですが、ダー・ベンがターナックスの大気で惑星ハラをまかなおうとした事を考えると、ハラとターナックスの大きさは同程度かそれ以上あるはずです。MCU版のハラの設定情報も不足していますが、コミック版ではスターロードの報告で70億のクリー人が生活している(英語wiki)とされる大きさの惑星です。

広くても食料や水その他資源などが不足しているという可能性は大きいですが、ターナックスがありながら地球に多くの難民がいたことは説明不足感がありました。「シークレット・インベージョン」では、「宇宙には故郷スクラロスに代わる星がなかった」とフューリーがガイアに明かしていたわけで、「シークレット・インベージョン」と「マーベルズ」の間に住める星が見つかったとするのはなかなか苦しそうな所。

ドロージ皇帝も「シークレット・インベージョン」の内容に言及する事はなく、将軍のタロスを失った悲しみや地球に対する怒りなどをあらわにすることもありません。

アメリカの態度と亡命先

「シークレット・インベージョン」のラストでリットソン米国大統領は「地球で生まれた以外の者を全て敵の戦闘員とみなす」と宣戦布告しました。

にも関わらず、「マーベルズ」ではアメリカ政府の機関であるS.A.B.E.R.の職員として黄色い顔の女性宇宙人や300歳を超える宇宙人が登場しています。

この辺は「アベンジャーズ」を思い出しても理事会の言う事などまったく耳を貸さずに超人を集めたフューリーの事ですから、よろしく事を進めている可能性は大いにあります。

これに関連して気になるのは、ターナックスの生存者の亡命先としてニュー・アスガルドが選ばれたこと。「マーベルズ」だけを見ればこのプロットに問題はありませんが、「シークレット・インベージョン」でのアメリカの態度や世界の状況的には火に油を注ぐような問題であり、スクラル人内での格差も発生する事になるでしょう。

もしニュー・アスガルドが100万人のスクラルを受け入れられるならそもそも「シークレット・インベージョン」は必要なかった事になりますし、「マーベルズ」でヴァルキリーが受け入れを許したのはターナックスの生存者数十名だけの可能性が高そうです。

光の力

キャプテン・マーベルの光を吸収する力、モニカ・ランボーの光を見る力、ミズ・マーベルの光を物質変換する力が今回の映画のポイントとなったエンタングルに関係していました。しかし、キャプテン・マーベルと同じ力をもつタロスの娘ガイアが突然出てくる事はありませんでした。

予告の段階では不明でしたが、映画本編では基本的に同時にパワーを発動する事がトリガーになるとして、中盤で三人がタイミングを合わせるトレーニングをするシーンが用意されていました。基本的にはという言葉は特例があるという事で、最初の入れ替えシーン、ドラマ「ミズ・マーベル」のポストクレジットシーンにあたる部分では、カマラは腕輪が勝手に光りだしただけで特にパワーを使っているような描写はありませんでした。

最初の入れ替えはキャロルとモニカが同時にジャンプポイントに触れており、この二人と同種のパワーを持ちつつ、ジャンプポイントを作るクアンタムバンドを身に着けていたカマラが絡まったと考えるのが妥当な所でしょうか。

以上の事がガイアが絡まなかった理由と言えそうですが、他の項目から察するに単に「シークレット・インベージョン」の事は考慮していなかったとも言えそうです。

なお、コミックのクアンタムバンドはコズミックエンティティのイーオンが作ったともされるもの(イーオンはラブ&サンダーの予告2弾にイースターエッグとして登場しています)で、クアンタムゾーンから無尽蔵のエネルギーを引き出すこの腕輪はバッテリーの機能もそなえており、なんらかの状況でクアンタムゾーンへのアクセスが遮断された場合でも、ある程度はこの腕輪自体にチャージされたエネルギーを使用する事が出来ます。

機能的には筋力強化や状況認識能力の向上、星間移動も可能にし、光子ブラストを放つことができるようになっています。また、宇宙空間での生存にも最適化され、食料や酸素がなくても生存できる能力を獲得します。そしてエネルギーを視覚化、固定化するといったマーベルズ3人の能力を足したような能力を獲得出来る腕輪になっています。この腕輪を装着したものは宇宙の守り手クエーサーと呼ばれ、マー・ヴェルの遺伝子から人工的に作成された娘でキャプテン・マーベルでもあったフィラ・ヴェル(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3で紹介されたファイラ・ヴェルの元)が装着していました。


以上の事から「マーベルズ」を見るにあたって友人等に予習すべき作品をアドバイスするのであれば、映画「キャプテン・マーベル」はチェックしておくに越したことはなく、次に「ミズ・マーベル」と続き、モニカのために「ワンダヴィジョン」を抑えておくのがいいかもしれません。しかし「ワンダヴィジョン」自体はワンダとヴィジョンの関係を抑えておかないと盛り上がらない部分もあり、「シークレット・インベージョン」よりは「マーベルズ」に関連しているというだけの事です。いずれも「マーベルズ」のあとに見てもいいような作りになっていると感じました。

映画「マーベルズ」は 2023年11月10日 より劇場公開中です。

ドラマ「ロキ」の主人公だった変異体の公式名称が判明

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」の主人公はロキの変異体であり、映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でサノスに殺されたロキとは異なるキャラクターでしたが、基本的にはロキと呼称されていました。しかしシーズン2の最終回を迎えた後、公式ライセンス商品から彼の正式な名前が明らかになりました。

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Funko の新作フィギュアとして判明した彼の名は「ゴッド・ロキ」。シーズン1ではシルヴィを筆頭にキッド・ロキやクラシック・ロキなど様々な変異体が登場しましたが、ドラマの主人公となっていたのはゴッド・ロキという事で最終話前に出せる名称ではなかったようです。

トム・ヒドルストンさんは出演した番組内で、(ゴッド・ロキが)アイアンマンらを復活させられるのではないかという質問に対して、ネタバレを避けつつ次のように回答しました。

「つまり、タイムスリップは厳密に言えば、ロキに興味深い動きを与えるのです。ロキは、過去、現在、未来から移動できると思います。私はタイムスリップできることを知っています。他のキャラクターがそれを知っているわけではありません。タイムスリップすることはできる。私自身のことを言うと、ロキは何度か死んだ、戻ってきて――私はまだここにいる。だから、死が必ずあるのかは分からない――つまり、死は実存の問題ということ。それだけは言えますよ。」

ゴッド・ロキの再登場までにはまだまだ時間がかかりそうで、しばらくの間はユグドラシルに座した彼と一緒に別の物語を見ていくことになるでしょう。

ドラマ「ロキ」はシーズン2までディズニープラスで配信中です。

「ロキ」トム・ヒドルストンさんが妻の「マーベルズ」出演を称賛

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」の主人公ロキを演じるトム・ヒドルストンさんが「The Tonight Show with Jimmy Fallon」に出演し、妻のゾウイ・アシュトンさんの「マーベルズ」でのMCUデビューについてコメントしました。

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俳優ストライキが終わって初のゲストとなったトム・ヒドルストンさんが、主に「ロキ」シーズン2について語った中で、司会者と次のようなやり取りが交わされました。

ファロン:『ロキ』シーズン2と映画『ザ・マーベルズ』の間には秘密の関係があるのでは?

ヒドルストン:ええ、つまり、つながりはあるんです。秘密もあれば、それほど秘密ではないこともあります。ファンが秘密のつながりを何だと思っているのかはわかりませんが・・・

ファロン::つまり、何の関係もないということ?

ヒドルストン:えーとそうですね、私の片割れが『マーベルズ』に出演しています。そして私は彼女をとても誇りに思っています。是非見てください。今週末に公開されます。

トム・ヒドルストンさんと「マーベルズ」でクリーのスプリーマ、ダー・ベンを演じるゾウイ・アシュトンさんは3年間の交際期間を経て2022年に結婚。「マーベルズ」撮影後の2022年10月には第一子が二人の間に誕生しています。

「マーベルズ」の展開上、MCUでの夫婦共演の可能性は厳しいと感じる部分がありますが、一方で「ロキ」シーズン2の展開上はやりようによっては可能にも思えます。

MCUに夫婦で出演したカップルは少なく、ロキの兄ソーを演じたクリス・ヘムズワースさんとその妻エルサ・パタキーさんはその中でも共演経験がある唯一のカップル。

パタキーさんは「マイティ・ソー/ダークワールド」のポストクレジットシーンでナタリー・ポートマンさんの代役を演じ、「マイティ・ソー/バトルロイヤル」ではサカールのナースとして登場、「ソー:ラブ&サンダー」ではソーの昔のロマンス相手の狼人間として出演しました。

もうひとつの夫婦はヴィジョンを演じるポール・ベタニーさんと、スパイダーマンのA.I.カレンを演じるジェニファー・コネリーさん。二人が同じシーンに登場する事はありませんが、どちらもA.I.キャラクターという所に不思議なつながりがあります。

未婚のカップルについて言及すれば、「スパイダーマン:ホームカミング」の撮影で出会って交際がスタートしたトム・ホランドさんとゼンデイヤさんのカップルは有名で、もう一組「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」や「エージェント・カーター」で若きハワード・スタークを演じたドミニク・クーパーさんと「キャプテン・マーベル」ミン・エルヴァ役と「エターナルズ」セルシ役のジェンマ・チャンさんらのカップルがいます。

クリス・ヘムズワースさん一家は「ソー:ラブ&サンダー」で息子と娘も出演していますから、MCUがあと数年、数十年と続くことでトム・ヒドルストンさんのファミリーも兄上一家に続く可能性がありそうです。

映画「マーベルズ」は 2023年11月10日 より劇場公開中、ドラマ「ロキ」はシーズン2までディズニープラスで配信中です。

ドラマ「ロキ」シーズン2、6話のチェックしておくべきポイントをピックアップ

2023年11月10日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2エピソード6「Glorious Purpose(邦題:大いなる目的)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。

※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。

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大いなる目的

今回のエピソードを象徴するように、マーベル・スタジオのロゴシークエンスはいつもとは違って逆再生バージョンとなっています。また、エピソードタイトルが「大いなる目的」であり、これはシーズン1の1話と同じタイトルでループに陥る事のあらわれです。

ロキが時を遡って事態を変える、「物語を書き換える」事は前回で予告されていたため、このシークエンスは「いよいよだな」という思いにさせてくれます。

無限のタイムスリップ

運命論は古くから様々な創作物で描かれているもので、今回のロキも運命の打破のために奮闘しています。

タイムスリップの連続をコミカルに描くシーンではベートーヴェンの「運命」をアレンジした楽曲が流れています。この曲が作られた1976年に在り続ける者がコミックの「Thor #245」でデビューしている事も一種の運命なのでしょうか。

キャパを増やすための倍増機を完成させようと繰り返し挑む中で、何度やってもうまく行かないロキは少しずつ物語を逆行していきます。しかしそれでもうまく行かないロキは過去に戻ってアドバイスする事を諦め、百年かけて自身で知識を身につける事を選択しました。MCUのアスガルド人の寿命は明確にされていませんが、5000年前にダークエルフとソーの祖父ボーが戦っているというエピソードから考えると、アスガルド人にとっての百年というのは地球人にとっての大学受験勉強期間程度であると予想されます。

苦労を繰り返し乗り越えたロキでしたが、処理速度とキャパシティを増大させても無駄だったという運命に行き当たりました。

シーズン2の最初からやり直しても駄目だったロキは予想どおりシーズン1のエピソードにまで遡ります。

シーズン1でも無限ループ

シタデルに戻ったロキは在り続ける者との対話の中で、時間織り機とは在り続ける者が用意したフェールセーフ機能としての安全装置であり、「キャパを超えた時に自動的に神聖時間軸以外を剪定する装置」だった事を知ります。

数千回のループを経験したロキは負けを認め、方程式を変える、つまり織り機を守るのではなく破壊する事を選択肢に入れ始めます。

在り続ける者は「織り機を壊して戦争を起こしてゲームオーバーか、シルヴィを殺して守れるものを守り抜くか」の究極の選択を迫ります。

最初の戦争はレンスレイヤーとアライオスの活躍で勝利した事が分かっていますが、次の戦争に勝てない理由はいまいちはっきりしていません。

ロキの選択

シーズン1のエピソード1、ロキはタイムシアターでのメビウスとの対話シーンまでさかのぼりました。命の取捨選択を迫られているロキはそれを仕事で行っているメビウスに対して疑問をぶつけます。

ここではかつてメビウスが仕事を放棄し、レンスレイヤーが代わりに汚れ仕事にあたった事の詳細が説明されています。この二人の関係はシーズン1でも示唆されていたもので、彼女の記憶にあるという事は在り続ける者に記憶を消された後の話しであると推測できます。

メビウスは「安らぎなんてない、どの重荷を選ぶかだけだ」と自身の行動や選択について話し、これによって「シルヴィを殺して在り続ける者とTVAを維持する」方法を採ったとしてもメビウスはずっと汚れ仕事を続ける事になり、メビウスでなくとも他の誰かが永遠にそれを繰り返すだけだとロキは悟ります。

次にシーズン2のエピソード5の「時間の終わり」のシーンに飛んだロキはシルヴィと対面。ロキ同士で察しがいいのかシルヴィはロキの現状をある程度理解し、「神聖時間軸を守るだけではだめだ」と忠告。「ときには破壊することも必要だ」というシルヴィの言葉で、ロキは「破壊したものよりも良いものを作れるならそうするべきだ」との考えに至りました。

ようこそ在り続ける者

再び時間織り機のシーンに戻ったロキ。ちょうどヴィクター・タイムリーの時間オーラ測定のタイミングで「ようこそ在り続ける者」のシステムアナウンスが重なる事で、ロキが新たな在り続ける者であるかのような演出になっていました。

視聴者にもおなじみとなったメンバーの顔を見渡し、覚悟を決めたロキはひとりで階段を降りていきました。

マイティ・ソーへのリターン

防爆扉の前で振り返り、「もう分かっている、どんな神になるべきなのか。お前たちのために 我々のために」のためにつぶやくロキ。

これは映画「マイティ・ソー」の反復です。

「マイティ・ソー」の1時間40分あたりでビフレストが暴走し、橋が崩れる中でロキは落下。そのロキの杖をソーが掴み、ソーの足をオーディンがつかみ取りました。そこでロキはオーディンに対して「敵を倒そうとしたんです。父上やみんなのために」と言い訳をしました。

日本語は表現パターンが豊富な事もあって全く違った文章になっていますが、英語ではどちらも「for you , for all of us」となっています。

「マイティ・ソー」での You はオーディンであり、Us はアスガルドの民を指しており、「ロキ」では You はメビウスたち友人の事で、Us は分岐時間軸を含めたすべての生命を指していると考えられます。

©MARVEL,Disney

ある種、デビュー当時にまでもループしたと言えるでしょう。

そしてロキは悪戯の神 God of Mischief から 物語の神 God of Stories へと転身、ならぬ転神を始めていくことになります。これは前回のエピソードでも「物語を書き換えに行く」と明言して予告していた事で、コミックの「エージェント・オブ・アスガルド」のストーリーをもとに構成されています。

ユグドラシルの誕生

分岐時間の糸を掴み取り、崩壊した玉座まで持っていったロキはそれらを束ね合わせてすべての糸を自分につなぎ合わせ、文字通り人柱と化し、ユグドラシルの形を作り上げました。

©MARVEL,Disney

ロキのキャラクターカラーが緑だったからこそ、世界樹ユグドラシルは、より相応しい形とも言えそうです。

世界樹ユグドラシルについては「マイティ・ソー」で「ミッドガルド(地球)やアスガルドなど9つの世界を結ぶ存在」だとソーがジェーン・フォスターに説明していましたが、ロキが生み出したマルチバーサル・ユグドラシルはすべての時間軸を結ぶ存在と言えるのでしょう。

新たなTVA

シーズン1のエピソード1では「MUST BE PRUNED NEXUS EVENT」(分岐イベントは摘み取る)というポスターが掲げられていましたが、新しく映されたポスターには「Grow Together」(共に伸びよう)と書かれています。ユグドラシルは樹として無限に枝分かれする事を許容しているようで、分岐を歓迎する標語へと変更されました。

オフィスではミス・ミニッツが予告どおり再起動される様子が描かれていました。しかし彼女がどの程度変化しているのかは、今後のシリーズ再登場までお預けです。

剪定の必要がなくなったTVAは新たな業務として、在り続ける者が予告していた戦争に備えている事がわかります。その一つが在り続ける者の変異体の監視で、メビウスは「616周辺で変異体の一人が騒ぎを起こした。でも片付いた」と報告しています。

Earth-616は神聖時間軸と呼ばれてきたMCUでのメインの時間軸ですが、周辺(adjacent、隣接)という言い回しが少し気になる所ではあります。ここでの会話は「アントマン&ワスプ:クアントマニア」を指していると考えられるのですが、616の「周辺」とは何か意味があるのでしょうか。

その後、メビウスが新たな任務に出る事は分かりますが、その内容は紹介されません。過去に報道されたMCU全体の今後の噂からある程度推測が可能ですが、ネタバレ回避のために一応隠しておきます。

カーンとの戦争に備えてTVAは様々な分岐時間軸からヒーローのプライム(最高、最良の)バージョンを集めていると噂されています。「デッドプール3」でTVAはヒュー・ジャックマンさんのウルヴァリンをウルヴァリン・プライムとして勧誘する事になるようです。(参考記事
こういった噂から、メビウスはTVAのスカウトチームに所属している可能性が考えられます。

TVAのハンドブックも改訂されました。神聖時間軸の少年時代のヴィクター・タイムリーの部屋にハンドブックが投げ込まれることはなく、後ろを振り返ったけれど何もなかった映像が差し込まれ、彼は視聴者が見てきたヴィクター・タイムリーとは別の人生を歩むことになるようです。

ラヴォーナ・レンスレイヤーのその後

ラヴォーナのその後についてはほとんど描かれませんでした。ヴォイドに送られ、アライオスと対面しているであろう事は予告映像からも分かっていた事で、かつてのTVAの名残である「時をいつでも」のプレートが映された以外は予告映像と変わりがありません。

5話の記事のラストでも指摘しましたが、シーズン1とシーズン2の在り続ける者の発言からレンスレイヤーがアライオスをコントロールしていた可能性が高く、その記憶が失われているレンスレイヤーが飼い犬に手を噛まれるが如くこのまま食べられてしまうのか、それともアライオス側が主人を覚えていたり、レンスレイヤーが思い出したりして再び関係を築き、カーンやロキに対する復讐へと踏み出すのか、どちらにも派生出来るような結末となっています。

メビウスとシルヴィ

任務の前に「何を守っていたのか見ておきたい」と言っていたメビウスは自身のオリジナルであるドンの自宅前から彼らの様子を伺っていました。

「見なきゃ分からなかった」というメビウスに対して、シルヴィはしばらくの別れを告げどこかへ去っていきました。時間の概念がなかったTVAを出て「時がすぎるまで」守りたいものを眺めていたメビウス、それが見えているのかいないのか、時の王座のロキは少し微笑むような表情で幕を下ろしました。


「マイティ・ソー」でヴィランデビューして以来、基本的には悪さを行ってきたロキですが、シーズン2の5話では「ひとりは嫌だ」と本音を吐露し、たちのわるい構ってちゃんだった事が判明しました。王になりたかったのも家臣や民が構ってくれるという延長線上にあったのかもしれません。

そんなロキがみんなを救うために孤独を選ばざるを得なかったのは極めて悲劇的な結末でした。

しかし、在り続ける者から指摘されたゲームオーバーが確定しているマルチバース・ウォーのリスクを受け入れてこの選択をした事は、残されたメビウスやシルヴィが戦争を克服するだろうという信頼であり、愛する兄上とその仲間のアベンジャーズがなんとかしてくれると信じているからかもしれません。

そして、プロデューサーがシーズン2配信前にプロデューサーは「ロキとソーの再会は最優先事項」とも語っていた事で、いずれロキがユグドラシルから解放される可能性に期待したい所。誰かが助けにくるのかもしれませんし、これに何か問題があってカーンの誰かが破壊しにくるのかもしれません。

ふたつのシーズンを通して未解決な事としては、シーズン1の最終話28分ごろからの「在り続ける者が10秒前から先が読めなくなった事」で、当初はこれが時間の外部からの(カーンの)干渉によって防御機構のようなものが破壊されて戦争が始まったのではと考えていましたが、それ以降は他の作品も含めて特に触れられず、シーズン2でもわからずじまいでした。何か見落としているのかと思い、シーズン1から再視聴している最中です。

ドラマ「ロキ」シーズン2はディズニープラスで配信中です。

ドラマ「ロキ」シーズン3の可能性についてプロデューサーがあらためて言及

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2のケヴィン・ライトプロデューサーが、複数の海外メディアとのインタビューに応じ、ロキの将来について語り、その中でシーズン3の可能性についても言及しました。

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シーズン2のロキの結末を経て、「3シーズン目や5シーズン目があるのか」という Deadline の質問に対してプロデューサーは次のように述べています。

私たちはシーズンごとに取り組んでいます。確かにトムと私や他のキャストが今後の展開について話し合ったことはありますし、内部的にはそれについて興奮していることはわかっていますが、ストーリーテリングの観点から言えば、私たちは常にシーズン1と2を全体として考えています。

これらは同じ本の2つの章であり、シーズン2でその本は終了しました。語られるべき他の物語もありますが、それらは新しい本になると思います。

プロデューサーは Collider との別のインタビューでも同様の回答をしていますが、そこでは「本」がまだたくさんあるとも説明しています。

シーズン1とシーズン2は同じ本の 2 つの章のようなものです。私たち関係者全員が、『シーズン2はその本の最終章だが、このキャラクターやこの世界に関する本が他にもたくさん本棚にある』とかなり強く感じました。しかし、これ(シーズン2)はシーズン1で作り上げた素晴らしい作品の結末にしたかったのです。フィナーレで常に人々を劇的なクリフハンガーにさらしたくないのです。

シーズン3の計画について Variety にストレートに質問されたプロデューサーは、この作品には「終わりがない」と主張した後、再びこの作品の「さらに多くの物語」の可能性をからかいました。

それは無制限だと思います。我々は確かに、シーズン1はシーズン2ありきで制作しましたが、今回は『シーズン3の準備をしなければ』という方向で開発を進めたわけではありません。シーズン1では、非常に具体的な『我々はこうだ』ということがあったのです。しかし、私はまた、このドラマが進む先には、『ロキ』の世界や、ロキというキャラクターに関係する他の世界で、ロキとともに語られるもっとたくさんの物語が確かに存在する可能性があるとも思います。

ケヴィン・ライトプロデューサーはいずれの回答でも「シーズン3の予定があるわけではない」としましたが、トム・ヒドルストンさんらと今後の話し合いをしたことや、他にも描きたいストーリーがたくさん残されているとも明かしました。その残された本のうちの一冊にあたる物語なのか、シーズン2配信前にプロデューサーは「ロキとソーの再会は最優先事項」とも語っていました。

最近、 THR は「ディズニーとマーベル・スタジオはMCUのドラマを単発ではなく長期シーズンにしていきたいと考えているようだ」とも報告しており、ゴッド・オブ・ミスチーフ(悪戯の神)からゴッド・オブ・ストーリーズ(物語の神)へと進化したロキの今後に期待しながら待つ他ないようです。

ドラマ「ロキ」はシーズン2までディズニープラスで配信中です。

ソース:Deadline , Collider , Variety

ドラマ「ワンダヴィジョン」、メフィストの登場予定は最初からなかったと監督が語る

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ワンダヴィジョン」を手掛けたマット・シャックマン監督が海外メディア Inverse とのインタビューに応じた中で、「ワンダヴィジョン」のヴィランではないかと注目されていたメフィストについて、最初からプランにはなかったと語りました。

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「ワンダヴィジョン」は1話からミステリアスな物語が展開され、ファンは様々な考察を繰り広げました。その中でも説得力があるとして人気だった理論が事件の黒幕としての悪魔メフィストの存在でした。

集団催眠等もお手の物であるコミックのメフィストならば、ワンダのカオスマジックを狙って町のひとつを弄ぶという筋書きはコミックファンに対して十分な説得力がありましたが、しかし実際にはそうではありませんでした。

シャックマン監督は配信当時を振り返り、「彼らの考察の結果、ある結論が導き出されていましたが、それは間違っていたんです。メフィストは最初から我々の計画にはありませんでした。だから(ファンがどう受け止めるか)頭を悩ませました。でもね、メフィストは素晴らしいキャラクターなんです。」と語りました。

脚本を務めたジャック・シェイファーさんも以前のインタビューで「メフィストというキャラクターは初めて知った」と述べており、こちらも当初から計画がなかったと明かしていました。

また、S.W.O.R.D.のヘイワード長官を演じたジョシュ・スタンバーグさんは配信とファンの考察を同時に見ながら「自分はメフィストなのかもしれないと思った」と、語っていました。

コミックの中でも強力なヴィランであるメフィストの次の可能性として、「アガサ:カヴン・オブ・カオス」や「アイアンハート」に登場するのではとも言われていますが、現時点で公式に発表されたものはありません。

「ワンダヴィジョン」の後、AppleTV+にてゴジラのドラマ「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」を終えた監督は、現在「ファンタスティック・フォー」の開発に取り組んでおり、2024年春からの撮影を目指していると先月のインタビューでコメントしています。

ドラマ「ワンダヴィジョン」はディズニープラスで配信中です。

ソース:It’s Matt Shakman’s Universe — We’re Just Living In It

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ドラマ「ロキ」シーズン2、最新ポスターは最終話のネタバレをしているのか?

マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2の最新のポスターが公開されました。スタジオ公式のSNSで公開されたこのポスターが、今週金曜日に配信される最終話の結末を示唆しているのではないかとして話題になっています。

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ポスターはロキのシルエット姿になっており詳細を確認する事は出来ませんが、ロキの衣装が在り続ける者と同じ(背広の襟は確認できるので、上からさらに羽織る形)なのではないかと多くの海外ファンが考えています。

©MARVEL,Disney

別のファンは「REALITY」の「T」の文字が雷のようなデザインになっている事をRedditで指摘し、ソーに関する何らかの言及があるのではと期待しているようです。

シーズン2の5話までのロキは神聖時間軸や他の分岐時間軸を守るためにもTVAは必要だと考えるようになっており、同時に今回の異変の原因が在り続ける者の死が原因であるとされてきた事から、シーズ1で在り続ける者自身が提案していたように彼の仕事を引き継ぐ可能性が予想されていました。

また、ここ最近はソーの公式 Instagram がロキの王座への執着を思い出させたり、アベンジャーズの公式 Instagram がロキの目的を思い出すよう警告したりしていました。

今回新たに公開されたポスターは、実際にロキの結末をほのめかしているのでしょうか。

ドラマ「ロキ」シーズン2、最終話は 2023年11月10日 ディズニープラスで配信予定です。

米ディズニープラスがハッピーホリデーコレクション2023を発表、「ホワット・イフ」S2は12月配信か

米ディズニープラスがこの冬に配信される作品と、過去のウィンタームービーをピックアップしたハッピーホリデーコレクション2023を発表しました。メディアによると、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のアニメ「ホワット・イフ・・・?」シーズン2は12月配信となるようです。

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ディズニープラスの公式SNSはリストの一部を共有し発表。

ABC などではコレクションの全リストが報告されており、その中には「ホワット・イフ・・・?」シーズン2が含まれているようで、Comicbook.com では既に発表済みの11月の配信リストにこれがない事から、残る12月に配信されるだろうと指摘しています。

MCUではその他に「ホークアイ」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル」もコレクションに含まれているとの事で、これを機会にもう一度チェックしてみるのもいいかもしれません。

「ホワット・イフ・・・?」シーズン2に関して、過去にはすべてのエピソードタイトルも報じられていました。

引き続きMCUの「もしも」の世界を描く作品となっていますが、シーズン1で掟を破ることになったウォッチャーのその後など、単なるオムニバス作品では終わらない部分もあると考えられています。

アニメ「ホワット・イフ・・・?」シーズン2はディズニープラスで配信予定です。

ソース:2023 Happy Holidays Collection Comes to Disney+

ドラマ「ロキ」シーズン2の「アッセンブル」が11月29日米配信へ

マーベル・スタジオのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2の制作の舞台裏を描くドキュメンタリ番組「Assembled : The Making of Loki Season 2 」が 2023年11月29日 に配信される事がプレスリリースにて明らかになりました。

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今回も他の「アッセンブル」と同様に、制作プロセスの独占映像や、キャスト&クルーのインタビュー映像を交えながら、「ロキ」シーズン2の舞台裏をファンに届けていくとの事。

過去に公開されたフィーチャレットもこの一部ではないかと見られます。

配信時刻は今のところ不明で、日本のディズニープラスでの配信予定も不明です。

ドラマ「ロキ」シーズン2の最終話は 2023年11月10日 にディズニープラスで配信予定、ドキュメンタリ「アッセンブル:ロキ シーズン2の裏側」は 2023年11月29日 米国ディズニープラスで配信予定です。

ソース:Next on Disney+: November 2023

ドラマ「ロキ」シーズン2、5話のチェックしておくべきポイントをピックアップ

2023年11月3日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2エピソード5「Science/Fiction(邦題:サイエンス/フィクション)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。

※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。

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終わりではなかった

タイムリーがスパゲティ化し、時間織り機がオーバーロードしたものの、TVA自体がフェールセーフモードに移行したおかげなのか、ロキは無事でした。システム再起動を経て有効になったはずのインフィニティ・ストーンは関係ありませんでした。

フェールセーフとは致命的なバグやエラーといったフェール(失敗)が発生した際に自動的に発動するセーフ機能(安全装置)であり、在り続ける者、あるいはウロボロスのアイデアをもとに事前に用意されていたと考えられます。

とはいえエラーを完全に抑え込めるわけでもなく、ロキ以外の人物は見当たらず、ロキ自身も予告でわかっていたとおりタイムスリップ現象が再発していました。

フランク

ケイシーの元の人物にあたるフランクとの再会。このシーンは日本語に翻訳するにあたって失われたイースターエッグがありました。

フランクは「If they catch us they’re gonna gut us like fish!」と叫んでおり、日本語字幕では「捕まったら終わりだ」、吹き替えでは「警備に見つかったら八つ裂きにされるぞ」となっています。意味合い的には問題ないのですが「gut — like a fish」とは魚のようにはらわたを抜き取ってやる、魚のように殺してやるという意味であり、これはシーズン1でロキがケイシーに対して言い放った言葉でした。

©MARVEL,Disney

残念ながら今回の翻訳を担当した人物はシーズン1の事を覚えていなかったのか、シーズン1とは関連のないただの日本語訳となっていました。シーズン1で「魚って何?」と答えていたケイシーが「魚みたいに殺されるぞ!」と言っているはずの言葉の繰り返し遊びのシーンですが、今回の邦訳では気づくことが難しくなっています。

余談はさておき、ケイシーはクラレンス、ジョンと呼ばれる二人と行動を共にしていました。神聖時間軸ではない我々の宇宙での同じ1962年、脱出不能と言われたアルカトラズ刑務所からフランク・モリス(wiki)という囚人がクラレンス・アングリン、ジョン・アングリンらと共に脱獄しておりその後行方不明になっています。

シーズン1でも行方不明になったハイジャック犯、DBクーパーがロキの変異体だったというエピソードがありましたが、ケイシーも同じように伝説の犯罪者をモデルにしているようです。

ザルタン派遣団

1994年のカリフォルニア、ウロボロスはこの年代にSF作家として人生を過ごしていました。

1話のクレジットから表示されていて気になっていたザルタンですが、ウロボロスのオリジンが書いた小説だったという事で、コミックからの重要なイースターエッグというわけではありませんでした。本の著者名にはA・D・ダグと表記されていますが、本名かペンネームかは不明です。

A・Dというイニシャルでコミックにはアーサー・ダグラスというキャラが存在しています。彼はサノスに殺された地球人で、サノスの父アラーズと祖父クロノスによって新たなボディを与えられて蘇ったダグラスはドラックス・ザ・デストロイヤーとなってガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに参加しました。とは言えウロボロスがドラックスの変異体とは考えにくく、偶然の一致である可能性のほうが高いように思えます。

彼が作家であったことはロキにとって最悪でしたが、彼が食べるためにしょうがなくやっていた科学はロキにとって都合がよく、ダグはTVAハンドブックに書かれたアイデアをもとにタイムパッドのプロトタイプを作成しました。

ウロボロスはトニー・スタークに勝るとも劣らない発明を僅かな登場の間に繰り返していますが、まだ何かしらの秘密や役割があるのでしょうか。

メビウスのオリジン

メビウスの元の人物であるドンは2022年、クリーヴランドのピランハ・パワースポーツで販売員として生活していました。シーズン1の頃からほのめかされていたジェットスキーに対する興味は、ここから来ているようで、記憶を完全には消去出来ていなかったという事でしょうか。

ドンの家の番号は 1049 となっていました。コミックにおけるEarth-1049はファンタスティック・フォーのリード・リチャーズとスー・ストームの間に生まれた息子フランクリン・リチャーズが生み出した世界でもありました。

ドンという名のメビウスのオリジンには二人の息子がおり、二人の息子たちは犬や蛇を飼いたいと考えているようです。フェンリスや蛇はソーとロキの兄弟とは関係が深いですが、この一家がオーディン、ソー、ロキの変異体であるという可能性は少ないでしょう。

ベリティ・ウィリス

2012年のニューヨーク。映画「アベンジャーズ」でロキとアベンジャーズが対決したのがこの年のニューヨークでしたが、タイムスリップした時間とはどちらが前後になるのかは不明です。ここは分岐時間軸であるため、神聖時間軸と違ってNY決戦がない世界という事もあるかもしれません。

ハンターB-15の元の人物として登場したのはベリティ・ウィリスという名の医師でした。コミックにはロキと縁の深い同名のキャラクターが存在しています。

コミックのベリティはどんな嘘も見破る力を持っており、ロキが未来から来た邪悪なキング・ロキと対決する際も友人として同行しました。

ザニアック!

シルヴィとの再会の年代は表示されませんでしたが、シルヴィが1話のマクドナルドに戻っていたのだとしたら分岐時間軸の1983年あたりという事になります。

二人が移動した酒場にはザニアックのアーケードゲームが置いてありましたが、X-5がブラッド・ウルフという俳優として「ザニアック!」を撮ったのは神聖時間軸の1977年でした。この時間軸にもブラッドの変異体が存在していたのか少し気になるポイントです。

ちなみに1983年頃のアーケードゲームというと「エレベーターアクション」や「マッピー」などの時代であり、それらと比べると「ザニアック!」のタイトル画面はフォントもかなりクリアな作りでややレトロ感に欠けるようです。

映画のザニアックは連続殺人鬼が主人公ですから、このゲームは1988年にナムコがリリースした「スプラッターハウス」のようなゲームだと想像すればいいのでしょうか。

Oh! Sweet Nuthin’ 

レコード店でシルヴィが勧められた曲は The Velvet Underground の 「Oh! Sweet Nuthin’ 」。

孤独、幻滅、そして人生の虚無を探求する曲で、歌詞は社会から疎外され、見過ごされ、あらゆるものを奪われた人の切ない姿を描いています。特に「彼女はまったく何も持っていません」と繰り返されて歌われており、復讐を終えて新たな人生を歩み始めたばかりのシルヴィと重なる内容になっています。

ようやく新たな人生を手に入れ始めたばかりだったシルヴィですが、曲が示す通り世界がまるごと奪われていくことになり、自身の過ちを認めてロキと合流する決意をしました。

サイエンスとフィクション

今回のエピソードの中ではいわゆる「5W1H」が重要になっています。

「5W1H」とは、5つのWである「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」と、1つのH「How:どのように」をまとめて表現した言葉です。

ロキがタイムスリップを制御するにあたってウロボロスはサイエンスでは何を対象にするか(What)と手段(How)が、フィクションでは理由(Why)が重要になると説きました。

当初ロキは「TVAを救う」事を理由に考えますがうまく行かず、ウロボロスのアドバイスに基づいて仲間を集め、時間オーラを測定分析する事で目的地(WhenとWhere)を割り出そうとしました。

しかしシルヴィと再会して話をし、理由(Why)に問題があると指摘されてロキは行き詰まりチームの解散を考えました。これはつまり、ウロボロスの説明的にフィクションとして問題があるということです。

実際にウロボロスがスパゲティになっていく際に英語と日本語吹き替えでは「フィクションの問題だった」と言うのですが、日本語字幕では「SFの問題だった」となっており、物語の意図から外れた翻訳になっています。

すべてのスパゲティ化が迫る中、ロキは友人たちの言葉を思い返すうちに、再びタイムスリップが発生。これにより「誰を思うか」(Who)が重要だと感づいたロキはついにタイムスリップを制御出来るようになりました。

仲間や世界がスパゲティ化していく様子は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でのサノスの指パッチンを彷彿させるものがある演出でしたが、ロキは現実改変能力に近しい事が出来るようになったことで、今回のエピソードは終了します。

ポストクレジットシーン?

クレジットの終わり、44分30秒の手前あたりから、今回登場したアーケードゲーム「ザニアック!」のコンティニュー画面で使用されていると思しき音声が流れます。

日本語吹き替えでは「おまえは死んだ コインを入れろ 負け犬!」というセリフになっています。

今回のスパゲティ化が進むラストシーンにも組み込まれていましたが、シルヴィの「ロキは負ける運命なんだと思う?」と質問に対して、シーズン1第4話でロキは「負ける時もあるが、決して死なない」と答えていました。

「ザニアック!」のゲームはロキがコンティニューを繰り返して決して死なない事を表現しているようです。


過去に公開された予告動画のうち、5話までに登場しなかったシーンがいくつかあります。

シーズン1でよく見かけた囚人服のロキがスパゲティ化する映像は何を意味しているのでしょうか。

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シーズン1で在り続ける者は二人のロキに仕事を託そうとしていました。シルヴィがロキの制止に耳を傾けずに復讐を果たしたことで混乱が始まったシーズン2でしたが、ロキはシーズン1の最終話を書き換えていくのでしょうか。

また、ヴォイドに送られたレンスレイヤーも気になる所。シーズン1で在り続ける者はアライオスの力を活用して戦争に勝ったとも話していましたが、シーズン2ではレンスレイヤーが軍を率いたとも語っていました。これはレンスレイヤーがアライオスを自在に操れる事を意味しているのでしょうか?そしてレンスレイヤーの復讐心は最終話で落ち着くことになるのか、それとも「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」や「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」に向けて、さらに激しく燃え上がっていくのか、注目です。

ドラマ「ロキ」シーズン2はディズニープラスで配信中、次回、第6話は 2023年11月10日10時 より配信予定です。