ドラマ「ロキ」、6話のイースターエッグをピックアップ

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2021年7月14日配信のドラマ「ロキ」エピソード6「とわに時を いつでも」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想などをご紹介。

※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。

オープニング

オープニングはハリー・ジェイムス&キティ・カレンの「It’s Been a Long, Long Time」(1945年)で始まります。「アベンジャーズ/エンドゲーム」の印象的なラストシーンでも流れていましたが、最初にMCUに登場したのは「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の時でした。

スティーブが看護師(潜入任務中のシャロン)との会話のあと自室に戻るとこの音楽が流れており、重傷のフューリーが待っていました。この曲は戦争の終わりと恋人の再会を歌ったものですが、皮肉なことにエピソード6話は新たな多元宇宙戦争の始まりとロキとシルヴィの別れを描いています。

この曲を背景にMCUの名シーンのセリフが堰を切ったように再生され、その後は実在の人物たちの声が流れます。ニール・アームストロングさんの「One small step for man…」やグレタ・トゥーンベリさんの「How dare they! 」などです。

その後は前回登場したクラシック・ロキの声や「ワンダヴィジョン」のヴィジョンのセリフ「嘆いているのは、愛を貫いている証拠です」が流れ、シルヴィの「目を開けて」という声で終わります。

下の動画はそれぞれ引用元の各シーンを挿入したファンメイドムービーです。

ここではふたつの宇宙が描かれていましたが、ひとつはMCUの宇宙、もうひとつはFOXが描いてきた宇宙、というような意味合いが込められているのかも?

シタデルのドア

ドアの前に立ったシルヴィは「蹴破るなって言わないの?」とロキに意見を求めます。これは3話の「ラメンティス」で民家のドアを蹴破って入ろうとしたシルヴィが痛い目にあい、ロキに「暴力は交渉術や狡猾さの代わりにはならない」と言われて「覚えておく」と言ったシーンから来ています。

実際にシルヴィは助言を覚えていたわけですが、ロキは止めません。そうこうしているとドアは自動的に開きます。

ミス・ミニッツ

ミス・ミニッツは今作の黒幕「在り続ける者」からの提案を伝言しに現れます。ロキとシルヴィの望む現実を与える代わりに引き返せという事のようですが、二人はそれを拒否します。

拒否されたミス・ミニッツは特に食い下がるわけでもなく退散してしまいます。監督はここでミス・ミニッツとの戦闘シーンも用意していたと発言しています。

レンスレイヤーの部屋に戻ったミス・ミニッツですが、レンスレイヤーに依頼されたものとは別のファイルを与えていました。「頼んだものと違う」というレンスレイヤーに「彼はこっちのほうが役に立つって」と返すミス・ミニッツ。「彼って?」と質問するとミス・ミニッツは「じゃ、楽しんでー」と一方的にきりあげどこかへ行ってしまいました。

レンスレイヤーは上に何がいるのかわからないまま、その任務だけを盲目的に遂行していたようです。

タイムキーパーの像

玄関ホールから進み、広間に入るところでタイムキーパーの像が見えます。

©2021 MARVEL,Disney

TVAで見た通りの3体の像がありますが、1体は破壊されています。コミックの在り続ける者は4体のタイムキーパーを作り、1体を追放しているため、それを示唆している可能性があります。

在り続ける者

広間の扉が開くと、在り続ける者が姿を現します。

©2021 MARVEL,Disney

服装のデザインやカラーリングはコミックのイモータスを参照しているように感じます。

在り続ける者は原語で「He Who Remains」。He Who Remains はコミックにもいるキャラクターですが老人の外見をした宇宙人であり、タイムキーパーを創造した人物でした。

りんご

在り続ける者がりんごを手にしているのは興味深いポイントです。

©2021 MARVEL,Disney

「ドクター・ストレンジ」でドクター・ストレンジがタイム・ストーンの練習に使ったのもりんごでした。時間とりんごの関係に何か意味を持たせているのかもしれません。

ルーズベルト高校

場面が変わり、B-15とそれを追うD-90たちが2018年のオハイオ州フリーモントに現れます。ルーズヴェルト高校のペンが2話から登場し、何度か意味ありげに映されていました。ちなみに同名の高校がニューヨークにはあるようですが、オハイオ州には存在しないとの事。

オハイオは映画「ブラックウィドウ」でもキーポイントになっており、この短期間、別作品で2度参照する事はとても印象的です。2018年と言えば「インフィニティ・ウォー」のイベントがあった年ですが、サノスの指パッチンの前でしょうか?

©2021 MARVEL,Disney

壁にかけられた額縁からはこの部屋の主が「Rebecca Tourminet」という名前で有ることを示唆しており、レンスレイヤーの神聖時間軸での本名という事になりそうです。コミックのレベッカ・トーミネットは2018年ではなく1903年の住人でしたが、レンスレイヤーが征服者カーンから身を隠すための偽名として使われていました。

全てを知っている在り続ける者

在り続ける者は台本があり、全て知っていることを明かします。そうすると冒頭でミス・ミニッツが伝えに来た取引の意味がなんだったのかがよくわかりませんが、とにかく色々知っているようで攻撃は全てかわされてしまいます。

シルヴィは「お前のゲームから抜け出した」と主張しますが、在り続ける者は全部自分が用意した道だとし、「クエスト」をして「成長」をすることでここへたどり着いたと説明します。二人は在り続ける者が作ったロールプレイングゲームをさせられていた、という事でしょうか。

レンスレイヤーの決意

ラヴォーナ・レンスレイヤーはメビウスと口論になり、偽物のタイムキーパーにも意味があったはずだと主張します。レンスレイヤーはTVAの任務自体を「大いなる目的」としており、その任務にどういう意味があったかまでは考えが及んでいません。

レンスレイヤーとメビウスは「なぜ裏切った」、「そっちが裏切った」の言い合いになります。この言い合いは今作を通じてロキとメビウスの間でも見られました。

自由意志を尊重し、「二人で良い組織を作り直そう」というメビウスに対してレンスレイヤーは「ごめんなさい」とタイムドアを開き「自由意志を探しに行く」と消えてしまいます。

レンスレイヤーは「自由意志を持つのは全てを司るものだけ」と主張しているため、自由に目覚めたいのではなく、在り続ける者の居場所を突き止めたがっているのだと考えられます。この事は脚本家のマイケル・ウォルドロンさんやレンスレイヤーを演じたググ・バサ=ローさんが「誰が自分の目を欺いたのか知りたい。復讐したがっている。」と説明しています。

在り続ける者の正体

在り続ける者は今までに「支配者」、「征服者」、「クソ野郎」と呼ばれたことがあると明かしました。

在り続ける者を演じるジョナサン・メジャーズさんは「アントマン&ワスプ:クアントゥマニア」で征服者カーンを演じる事が発表されており、在り続ける者とは変異体の関係にあると考えられます。

さらに、在り続けるものは31世紀の地球で生きていた科学者の俺の変異体がマルチバースを発見したと明かします。このオリジンはコミックのナサニエル・リチャーズに似ており、ナサニエルは30世紀の地球人でタイムマシンを開発し、後にタイムトラベルした先の世界を征服してまわる「征服者カーン」を名乗るようになりました。カーンは自身が起こした歴史改変などの影響で複数の個体と名前が存在し、その多くが複数でひとつのキャラクターです。

コミックではカーンを集めて開催するカーン評議会なるものも描かれています。

©MARVEL,

先程少し名前を紹介したイモータスはさらに未来のカーンでしたが、カーンとは敵対するようになりました。その他、殺されかけた所をカーンに助けられ、自身の未来を知ったナサニエルが過去に渡り、自らのヴィラン化を防ぐためにアイアン・ラッドとしてヤングアベンジャーズを結成したりと複雑なキャラクターとなっています。

MCUの在り続ける者はコミックの同名キャラクターとTVAの創造主という設定に、カーンの設定を足しこんだキャラクターとなっているようです。

グレーゾーン

在り続ける者はロキとシルヴィに「私が邪悪だと思うか?それなら私の変異体たちに会ってみろ」と語ります。

在り続ける者は自身より邪悪な自分からこの時間軸を守るために、他の時間軸を犠牲にしていることを告白します。在り続ける者は根本的な解決方法を取らず、あるいはそれが解明出来ていないのかもしれませんが、何かを守るために何かを犠牲にするという古典的な行動原理に則って活動しています。

監督は今作のテーマがグレーゾーンだと以前に発言しています。在り続ける者は「神聖時間軸の平和を守る」という大いなる目的を持ち、実際に守る一方で、他の時間軸にとっては殺戮者同然でした。

神聖時間軸の支配者

そして在り続ける者は「俺を殺して、多元宇宙戦争を再び引き起こす」か「俺の後をついで、TVAを動かし、神聖時間軸の平和を守る」か好きな方を選べと迫ります。

これに対してロキは「嘘だ」と指摘し、権力を手放すはずがないといいますが、在り続ける者は疲れたと説明しました。

現代科学では宇宙の寿命はあと1400億年以上残っていると言われていますから、31世紀の未来人とはいえ地球人には長すぎる時間です。その間ずっとここで神聖時間軸を守るのが疲れるというのは得心がいく理由です。

「俺たちは三人ともヴィランだ」と説明する在り続けるものは「悪行を善良な理由のために行う機会だ」と続け、二人に支配者の座を譲ろうとします。

しかしその後沈黙がしばらく続き、何かが変化しました。

分岐イベント

宇宙になんらかの分岐イベントが発生し、それが境界線を越えてしまった様子。ここではそれがどんな分岐イベントだったかは示されません。

可能性としては、シルヴィが在り続ける者を殺す決意をした、レンスレイヤーが自由意志を探しにでかけた、D-90たちTVAの職員がメビウスやB-15から真実を聞かされた、ワンダ・マキシモフがダークホールドで何かした、などが考えられそうです。

対決

在り続ける者の提案を巡って、ロキとシルヴィは対立します。

シルヴィは神聖時間軸のために犠牲になった時間軸の生き残りであり被害者です。自分がその立場に変わるという欲望などなく、復讐心が先行しています。

一方でロキは成長したことで他人を信じる事を始めています。それが枷となり、万が一多元宇宙戦争が引き起こされたらと考えると、簡単にシルヴィに復讐をさせるわけには行きません。

最終的にはロキの「個人的な事を言っている場合ではない」との一言が逆にシルヴィの決意を固めてしまいます。シルヴィがロキと同い年だとすると、おそらく千年以上、幼い頃から復讐を誓いTVAを破壊する事を計画してきました。それは個人的という言葉で済まされる事ではありません。シルヴィにもいたはずの父や母、兄や姉、アスガルドの王宮のひとたち、シルヴィの時間軸の地球のひとたち、全ての人の正義のための復讐者、すなわちシルヴィはアベンジャーでした。

シルヴィは「なぜ私と見方が違うの」と悲しげな表情を見せます。それに対してロキは「おまえが他人を信じず、私が信じてもらえないからだ」と二人の欠点を指摘します。

自らに課した任務を曲げられないシルヴィは「困ったことになった」とつぶやき、再び剣を交える事になります。そしてシルヴィが魔法でロキを吹き飛ばし、在り続ける者に剣を延ばしました。

終末

しかしシルヴィが攻撃したのはロキの幻影でした。かつてコールソンにやったように、ラメンティスでもシルヴィにやったように。しかし今度は背後ではなく、シルヴィの正面に姿を表します。

間一髪で剣を止めたシルヴィに、ロキは涙ながらに「お前に幸せでいて欲しい」と告げます。

ロキの本心の吐露をきっかけに二人はキスを交わしますが、「でもあなたとは違う」とロキをタイムドアでTVAへと送り返します。

そして無抵抗の在り続ける者を剣で貫くと、彼は「近いうちに会おう」と言う言葉を残し、笑顔で息を引き取ります。かくしてシルヴィの復讐は果たされ、多元宇宙が開放される事になりました。

シルヴィを演じたソフィア・ディ・マルティーノさんがこの決断の解説をインタビューにて行っています。

ヴァリアント・TVA

TVAのモニターでその様子を眺めるメビウスとB15は「とわに時を」「いつでも」とTVAの標語をつぶやきます。このメビウスとB-15はこれまでに見てきた人物だと考えられます。

©2021 MARVEL,Disney

メビウスの襟はヴォイドから帰ってきたばかりでよれよれになり、ネクタイも曲がっている様子が伺えます。

シルヴィの信用を得られなかったロキはしばらく放心していましたが、メビウスに助けを求めようと探しまわり、書庫で発見します。

しかし、「君は誰だ、名前は?」と話が通じません。

©2021 MARVEL,Disney

ここのメビウスはシャツもパリっとしており、ヴォイドで色々大変な目にあったような雰囲気ではありません。

そしてロキが目を向けた方向には今までタイムキーパーの像があった部分に、在り続ける者と同じ顔の像が立っている所で物語が終了します。

©2021 MARVEL,Disney

この像の服装はコミックの征服者カーンに酷似しています。

ロキはTVAに戻されたと思っていましたが、別の時間軸のTVAに戻ってきてしまったようで、この事は本作のプロダクション・デザイナーがインタビューにて明言しています。

「猿の惑星」のラストに似ていますが、別の惑星に着いたと思ったら地球だったあの名作とは逆に、TVAに戻ったと思ったら別のTVAというオマージュになっていました。

ミッドクレジット

ミッドクレジットシーンでは「ロキはシーズン2で帰ってくる」と表示されます。

©2021 MARVEL,Disney

シンプルな演出はあったもののそれだけで、キャラクターの登場や声などもありません。

「ワンダヴィジョン」ではワンダのその後が、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ではシャロンのその後が描かれましたが、それに比べると極めてあっさりしています。

これは2011年の映画「マイティ・ソー」をオマージュしている可能性が高く、「【キャラ名】が【作品名】で帰ってくる」という手法はソーから始まっており、フェーズ4で弟のロキがその役目を再開するのは感慨深いものがあります。


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以上、今回のイースターエッグ、その他チェックポイントでした。

ドラマ「ロキ」シーズン1はディズニープラスで全話配信中です。

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