マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「デッドプール&ウルヴァリン」の制作、脚本、主演を務めたライアン・レイノルズさんが、ニューヨークで開催されたファスト・カンパニー・イノベーション・フェスティバルに出席し、映画制作の舞台裏について語りました。
レイノルズさんは、マーベル・スタジオの責任者であるケヴィン・ファイギ社長との初期のミーティングを思い返しながら、「彼は、とても衒学的で、おそらく口に出して言うべきことではないようなことを言ったのですが、奇妙なことに、それが創造の原動力になったんです。彼は『Make every scene great.(すべてのシーンを素晴らしいものに)』と言っていました。私は『ありがとう、ケヴ。それはいいね』と返事しました。」と語りました。
脚本執筆の過程が進むにつれ、ファイギ社長の言葉が「頭から離れなくなった」というレイノルズさんは「『素晴らしい作品にしろ』というのは難しいものです。」としつつも、その難題に立ち向かうことで大きな満足感を得られたとも言います。
その結果として、「何かを作るという経験、そして興行収入などの結果だけでなく、映画そのものの実際の体験という点で、私の人生の頂点の瞬間でした。映画館で観客と一緒に後ろに隠れて座り、驚きの瞬間を見ることができたのです。」と述べました。
フリーガイ、アダム・プロジェクト、そしてデッドプールの3作品は、「観客が映画館を出るときに、少なくとも入場時よりも少しだけ気分が良くなり、できればただ陽光の中を歩き、観客の喜びを感じることができるように作られています。」とレイノルズさんは語ります。また、ライブの観客の力学は「集団の熱狂」と表現できると述べ、創造的な刺激に対する集団の反応を、ゆっくりと流れに合わせて動く「海中の海藻」に例えました。
「デッドプール&ウルヴァリン」の 製作過程において、レイノルズさんは「映画全体で削除するように言われたセリフはたった一つだけだった」としつつ、観衆からざわめきが大きくなると、「いやいやいや!彼らは正しかったんです!」と説明。
そういったフィードバックを受動的に吸収できないのは「自分のせい」だと言うレイノルズさんは、ディズニーCEOの声真似をしながら、「『ライアン、ボブ・アイガーです。あのセリフを 1 つ削除していただけると嬉しいです。これで私たちの生活は本当に大変になります』と言ってくると、私の脳内で『このセリフは守らなければ!大切なものなんだ』という何かが起こります。そして、霧が晴れて考え直すと、『もちろん削除できますよ。代わりにピノキオについて何か言ってもいいですか? 答えはイエスです!』という感じになりました。」と削除したセリフの詳細は伏せつつ、経緯について明かしました。
レイノルズさんは、「何回方向転換したか分かりません。」としつつ、「脚本とショットリストに忠実に従うと、台無しになる可能性が10倍になります。脚本を書いたときとは違う俳優が出演するし、天候もおかしくなります。想像もしていなかったことが突然起こるんです。具体的ではなく、柔軟な計画で臨むことで、素晴らしいことが起こる余地がたくさんあるんです。」と映画製作について語りました。
「デッドプール&ウルヴァリン」は公開から約50日となる先週末の段階で13億ドルを超える世界興収を記録し、MCUの売上ランキング6位の「ブラックパンサー」(13億4600万ドル)に迫っています。
映画「デッドプール&ウルヴァリン」は 2024年7月26日 から、日本は 2024年7月24日 より劇場公開中です。