2022年7月6日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1エピソード5「Time and Again(邦題:時を超えた絆)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
sponsored link
インド・パキスタン分離独立
4話のラストでカマラ・カーンがタイムスリップした1947年。この年の8月14日と15日にかけて行われたインド・パキスタン分離独立のニュース映像が流れ、アナウンサーはこれが血に塗れていると紹介します。
1947年はマーベルの時系列でいうと映画「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」の少しあとで、ドラマ「エージェント・カーター」のシーズン2の舞台の頃にあたります。
ニュースはこの騒乱を理解するには発端となった1942年まで遡る必要があるといい、映像は史実からフィクションへと切り替わっていきます。
1942年はここでのニュース映像にも登場しているインド国民会議派のガンディーやネルーといった人たちが、反英闘争を開始した年。ここからスタートして5年後に独立を果たしますが、途中には日本政府と旧日本軍も大きく関わっています。ここですべてを紹介する事は出来ないため、興味のある方は以下の参考リンクなどをご参照ください。
カメラがカマラの曾祖母アイシャに切り替わると、3話の冒頭シーンでバングルを見つけたあと、ナジマ達と離れ離れになり、イギリス兵に追われていた事がわかります。追手を投げナイフで黙らせた所でミズ・マーベルのタイトルロゴがウルドゥー語やヒンディー語など様々な言語で表示されます。
この中のひとつは今回のエピソードで登場するカマラの曽祖父にあたるハサンが提出したと思われる定住カードが表示され、妻と子供がいる事が表記されています。
©MARVEL,Disney
この書類のインデックスは0012になっており、コミック「ミズ・マーベル #12」でカラチに向かうエピソードが描かれていた事を参照しているようです。
曾祖母アイシャと曽祖父ハサン
イギリスからの独立を目指すスピーチをするのはハサン・カーン。演じているのはカラチ生まれの俳優・歌手として活動しているファワード・カーンさん。奇しくも同じ名字です。
イギリス兵に追われていたアイシャは警戒心丸出しで愛想が悪く、お世辞にもいい出会いではありませんでしたが、日が沈み、お腹も減った所でハサンの厚意に甘えることにするアイシャでした。
ここで登場するパラタは昨今日本でも市場に出てきている食べ物。パイ生地とパンあるいはナンの間と表現される事が多く、ギー(バターオイル)が塗り込まれているため風味がたっぷりの食べ物です。
「出来立てのパラタの匂いにそそられないなんて、本当にこの世界の人間なのか」と鋭い突っ込みをするハサンを前に、無言で手を伸ばすアイシャでした。
求めるものは自ずとやってくる
「君を見ると大好きな詩を思い出す」とハサンが詩を読み上げると、その一節には「求めるものは自ずとやってくる」という言葉。これは前回のエピソードでレッドダガーズのワリードがカマラのバングルに彫られていると言っていた言葉です。
その後、「気が変わった」というアイシャとハサンは愛し合い、カマラの祖母サナが生まれ、1947年の分離独立のときが迫ります。
ナジマとの再会
とある夜、ナジマがアイシャの家を来訪し、「計画通り一緒に故郷(ヌールディメンション)に帰ろう」と迫ります。「バングルは安全な場所に隠した」と嘘をつくも「明日の日没までに取ってきて、みんなで帰ろう」という流れに。
ワリードの説明では、バングルを使ってヌールディメンションに帰るためには、この世界が消えてしまうとの事でした。アイシャもこの事を知っていたのか、この世界で愛するものを手にしてしまったアイシャは「私はいいから先に帰って」とバングルを渡すわけにはいかなくなりました。
サナを救った星
「突然星が現れて父の腕の中に戻してくれた」とこれまでのエピソードの中で明かされていたサナの物語ですが、サナを救ったのはカマラ自身でした。カマラのパワーで作り出された足場が砕けた残骸が星のようにキラキラと舞い、サナを父の元へと届けたのでした。
4話はカラチの周辺で展開されていましたが、この駅はカラチに向かう列車が出発する駅なので、地図的にもある程度離れた距離から呼び出された事になります。
分離独立を描いたミズ・マーベル
4話と5話の撮影を担当したシャーミーン・オベイド=チノイ監督はカラチ出身の監督で、東南アジアで撮影されたこのエピソードは「西洋人が知らないことに触れていく」と配信前の制作陣インタビュー にて語られていました。
また、ハリウッド作品として初めて分離独立を正しく描いたものとし、パキスタンではディズニープラスシリーズで世界初となる劇場上映が行われています。
ヴェール
過去から戻ったカマラの眼前にはヌールのヴェールが開いていました。ワリードが説明していたヌールディメンションとこの世界を隔てている存在です。
ヴェールを見たクランデスティンのファリハが「これで故郷に帰れる」と手を伸ばすと光に触れた瞬間にファリハは黒く結晶化し、次の瞬間には白骨となりました。
ドラマ「エージェント・オブ・シールド」においてインヒューマンがテリジェンミストを浴びた際にも黒くなり、選ばれたものは能力が覚醒し、選ばれなかったものは砕けていたのと似た描写になっています。
これを見てもひるむことなく、「私なら通れる」とチャレンジしようとするナジマ。しかしカマラの呼びかけが功を奏し、帰るのを諦め、生命と引き換えにヴェールを閉じました。息子カムランを見捨ててきたナジマでしたが、アイシャがサナを愛していたように、この瀬戸際で息子のために世界を残すほうを選んだという事でしょうか。
そしてヌールがカムランの元へと届き、コミックのカムランのようなカラーの結晶をまとう様子が描かれています。
それぞれの絆
ムニーバとサナが登場し、修羅場の最後を目撃してしまった母は「あなたがライト・ガールだったの?」と困惑しています。カマラのヒーロー姿の通称はナイト・ライトですが間違って覚えている様子。
サナはカマラの力を見ても「あの時助けてくれた!?」とはなりません。時が経ちすぎたのでしょうか。
そしてカマラはカリームから赤いスカーフを受け取り、ムニーバが拾った壊れたネックレスがコミックのミズ・マーベルのシンボルマークになっていた事から、ようやく正式なコスチュームの要素が揃いました。アベンジャー・コン用のハルクの衣装を作ってくれたように、ムニーバが作ってくれるのか次回に期待です。
©MARVEL,Disney
サナの邸宅に戻った三人は昔のアルバムを見ながら、サナはムニーバが「ブルース・スプリングフィールド」の追っかけだったと話していますが、これは「ブルース・スプリングスティーン」と勘違いしているのでしょうか。
ブルース・スプリングスティーンさんは2021年に全米で最も収入を上げたミュージシャンとなっており、5億9000万ドル(約670億円)の収入でその大半は原盤権と音楽出版権の売却によるものと報じられていました。
ムニーバは自分がナイト・ライトをライト・ガールと間違えて覚えていることを棚にあげつつ、そもそも追っかけしていたのは「ボン・ジョヴィ」だとサナが二重の間違いをしている事を突っ込みます。結局のところ、どこの国でも母親はこういう間違いをするようです。
祖母と母、そして母とカマラというそれぞれの母娘はアイシャとバングルのお陰でようやく分かり合える時を迎えることが出来ました。
カムランとブルーノ
カマラたちが楽しくやっている頃、ダメージコントロールに追われるカムランはブライアンことブルーノが住んでいるサークルQに。二人だけのぎこちない空気に「最初の出会いからやり直そう」とのカムランの提案が功を奏し、ブライアンではなくブルーノだという事がようやく伝わりました。
ブルーノがおばあちゃんの作りおきのラザニアを勧める中、ダメージコントロールのドローンが窓の外に登場。カムランがパワーで撃退するもミサイルが発射され、サークルQが大破して今回のエピソードは終了しました。
超人を制圧するためなのか、かなりの殺傷兵器を装備しているようです。
残された謎
MCUでは映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」やドラマ「ロキ」でタイムトラベルに関する話がありましたが、今回は直球でタイムパラドックスを放り込んできました。サナが父と合流出来たからカマラが生まれているわけですが、その手助けになったのはカマラ自身でした。
そしてクランデスティンはカムランを残してすべて退場し(明確に死亡したか不明な人物もいますが)、ヌールやヌールディメンション、そしてアイシャたちが追放された理由などはほとんどわからず終いでした。
これらに関して詳しそうだったワリードも退場していますが、レッドダガーズには彼らジンに関する資料などがあるのかもしれません。ただし次のエピソードは再びニュージャージーに戻ると考えられ、これらについてレッドダガーズから解説を期待することは出来そうもありません。
また、ナジマたちはカマラをゆっくりと言いくるめてバングルを借りても良かったように感じますが、計画を急いだ理由についてカムランが聞かされている事に期待するしかありません。
そして最も気になるのは、結局のところナジマたちが帰る方法としてこれが正しかったのかということ。2つあるはずの腕輪が1つしか準備出来ていない事が問題なのか、2つあったとしても帰る方法として適切でないのか、真相は不明です。クランデスティンの話だと片方はイギリス軍が持ち去ったとの事で、軍からSSRを経てその後のS.H.I.E.L.D.が「084」として管理していた可能性もあるかもしれません。
「寺院から来た男」は何者で何を知っていたのか、次回で明かされるのか、それとも別の作品に持ち越される謎なのか、来週の最終話には注目となりそうです。しかしそのほとんどは映画「ザ・マーベルズ」や「ミズ・マーベル」シーズン2などに持ち越されるような気配も・・・。
そして、ナキアとの関係修復にも期待されます。
ドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第6話は 2022年7月13日16時 より配信予定です。