米国時間の8月12日に開かれたディズニーの決算説明会でボブ・チャペックCEOがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「シャン・チー/テン・リングスの伝説」の公開方式を「興味深い実験」と説明した事に対し、主演のシム・リウさんがSNS上で反論しました。
シム・リウさんはTwitterとInstagramに以下のような声明を投稿しています。
そこでは「私たちは実験材料ではありません。私たちは負け犬であり、過小評価されています。私たちは、天井を壊す存在です。私たちは、文化と喜びの祭典であり、苦難の年の後にも存続するものです。」と、チャペックCEOの発言に対して反論しました。
2020年の新型コロナウイルスのパンデミックにより多くの劇場が閉鎖された事で、配給会社は劇場と動画配信サービスでの同時リリースと言った新たな公開方式を模索しています。2021年に入りパンデミックが落ち着いた地域では90日の劇場公開後、動画配信サービスでのリリースが主流となっていましたが、「シャン・チー/テン・リングスの伝説」はその現在の業界標準である90日から45日の劇場独占公開を発表していました。
説明会でアナリストから「なぜシャン・チーをブラックウィドウのようにプレミアアクセス配信にしなかったのか」問われたチャペックCEOは、多数の興行パートナーと契約を結ぶ関係上、3か月前には配給について決定する必要があり、当時は現在よりもはるかに状況が良かったため劇場公開のみとしたが、直前の変更は現実的に不可能と述べています。
同時に、公開方式については今後も興行環境を含め多くの要素を考慮したうえで映画ごとに判断してゆくとして、劇場から45日後配信という「シャン・チー」の方式は今後の有益な実験になると述べていました。
この説明会でのCEOの発言が今回のシム・リウさんの投稿に繋がっています。
先日は「ブラックウィドウ」のスカーレット・ヨハンソンさんが契約と違うとしてディズニーを提訴した件もありました。MCUはマーベルを愛する多くの俳優とクリエーターによって制作されてヒットを続けてきましたが、彼らとディズニーの関係には綻びが見え始めているようです。
チャペックCEOの言うように、「シャン・チー」のこれまでにない公開方式について、BoxOffice Proのショーン・ロビンズ氏も、「パンデミック後、ワクチン時代の真っ只中に、ディズニーが初めて劇場独占で公開するテントポール映画として、秋シーズンに向けて映画ファンの感情や快適さのレベルを測る真の”ストレステスト”となるでしょう。ニューヨークやロサンゼルスのような市場で、映画館でのワクチン接種を義務付ける最近の動きは、今後数週間のトレンドに重要な役割を果たし、ワクチンを接種した映画ファンがより安心して戻ってこられるようになる可能性がある」と分析しており、「ストレステスト」と称しています。
映画のヒットという目指す所はクリエーターもパブリッシャーも同じですが、その意味合いに大きな違いがあるのは明白なようです。
映画「シャン・チー/テンリングスの伝説」は 2021年9月3日 日米同時公開予定です。
ソース:Marvel Star Rejects Disney CEO Comments About Shang-Chi ‘Experiment’