2022年6月22日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1エピソード3「Destined(邦題:宿命)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
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青い肌のジン物
今回のエピソードは1942年のインドからスタートし、カマラの曾祖母アイシャと前回のラストで登場したカムランの母ナジマ、その他仲間たちがバングルを発見するシーンとなっています。
バングルは切断された青い腕から回収されました。MCUで青い肌といえば代表的なのがクリー人。
コミックのクリーはネガバンドと呼ばれる2つ一組の腕輪を開発した事があり、初代キャプテン・マーベルであるマー・ヴェルが装着していました。
一方でこの物語にジンが登場している事を考慮すると、この腕がジンのものなのかクリーのものなのか判断が難しい所です。ジンがクリーの変種である可能性もあるかもしれません。
余談ですが、青い肌のヨンドゥはクリー人ではありません。
テンリングス
バングルを回収したこの場所の足元には「シャン・チー/テン・リングスの伝説」に登場したテンリングスの紋章が刻まれています。
©MARVEL,Disney
シャン・チーの父でありテンリングスのボス、ウェンウーがどのように関わっていたのか、腕輪のルーツは同じなのか、とても気になる所であり、今後の注目のポイントです。
「寺院から来た男が言ってたでしょ」「ふたつ必要だって」という会話から察するに、ナジマたちの目的のためには腕輪はひとつでは足りないようです。そしてそのもうひとつはイギリス軍が持ち去ったという推論をたてています。
「寺院から来た男」はウェンウーの事を指しているようでもあり、アイシャたちとテンリングスはどのような関係にあるのでしょうか。友好的に許可を得てこの場所に入っているのか、無断で侵入しているのかも今のところ不明です。
なお、シャン・チーは続編とスピンオフの制作が発表 されており、腕輪を巡る物語は長く続く可能性もありそうです。
ヌールディメンション
アイシャやナジマたちは他の次元から追放されてきたとの事。ヌールディメンションと呼ばれるその世界の住人はヌール(光の意味)の力で人間よりも長い寿命がある事が明かされます。
しかし、ナジマたちはこの世界で自身の内にあるヌールをうまくコントロール出来ない事、カマラはこの世界で生まれ、バングルによってヌールが引き出されてコントロール出来ている事などが新たに明かされます。そして、カマラと同じくこちらの世界で生まれたカムランも同様の可能性を秘めているとも語られ、コミックでカムランが能力を獲得している事を示唆します。
ヌールディメンションはコミックに存在しないため、考察の手がかりはほとんどありません。ヌールが光という意味である事から、コミックに存在するライトディメンションやその対になるダークディメンション などは参考になるかもしれません。
追放されたナジマたちと追放した一派があるという事は、集団生活をし、法や秩序がある事は推測されます。
クランデスティン
ナジマたちは自らをクランデスティンという一族であり、ジンだと話しています。これはコミックに起源のある集団ですが、MCU版とコミック版ではかなり異なっているようです。
コミックのクランデスティンはアダム・デスティンという1100年代に十字軍の兵士だったイギリスの男とその一族の事。アダムは人間でしたがエラリスという名のジンによって不老不死の力を与えられ、やがて二人は結婚し、子供を産んでいきます。子どもたちは半分ジンの血を引いているわけですが、不老不死は遺伝しませんでした。
クランデスティンは英語で Clandestine と一つの単語であり不法的なものや悪意のある「秘密」の事を指します。そして、アダム・デスティンの一族(Clan)という二重の意味でもって名付けられたキャラクターたちです。
作中で提示された情報はまだ乏しく、ナジマたちがデスティンの一族なのか、単に秘密の集団なのかは今後明かされていく事になりそうです。
コミックのアダム・デスティンと妻であるジンのエラリスは次のような外観です。
©MARVEL
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Unseen
カマラの「何者か?」との問にナジマはアジュナビ、マジヌーン、アンシーンといくつかの呼び名を挙げていきます。
アジュナビはアラビア語で余所者、マジヌーンはアラビア語で狂者、アンシーンは英語で見えざるものとなっており、クランデスティンの意味も含めてネガティブな呼び名が並んでいます。
コミックではアンシーンなる存在が登場しており、「道を踏み外したウォッチャー」の呼び名でした。アニメ「ホワット・イフ」で見たようにウォッチャーはとても強力な種族であるため、クランデスティンがウォッチャーと連なる者であれば、ミズ・マーベルの初対戦相手としては格上どころではありません。
コミックのアンシーンとは関係なく、英単語のUnseenとして受け止めるのが適切であるように考えられます。
ジン
最終的にクランデスティンはジンであると説明されます。前述の通り、コミック的にはその等式は半分正解で半分間違いなわけですが、まだいくつかの秘密が隠されていそうな気配です。
コミックにもジンという種族は存在しており、悪魔の母たるリリスが生み出した悪魔の一種を指しています。彼らはアラジンに登場するジンをモチーフにしており、不死の存在であり、魔法を行使します。
なお、リリスは2022年秋発売予定のゲーム「ミッドナイトサンズ」 にヴィランとして登場しています。
セルヴィグ博士
クランデスティンを故郷にかえすためカマラがブルーノに相談するシーンでは、ヌールディメンションに関するエリック・セルヴィグ博士の論文がある事が明かされます。
セルヴィグ博士は2011年公開の映画「マイティー・ソー」で登場し、ソーと友人になった人物で、「アベンジャーズ」(2012年)ではロキにマインドコントロールされ、チタウリを引き入れるためのポータルを開けることを手伝ってしまいました。
彼はスペース・ストーンである四次元キューブを用いたポータル装置の開発に取り組んでいた事から、マルチバースや他次元についてスーパーヒーローでない地球人の中で一番詳しいかもしれません。
モスクの捜査
ダメージコントロールのエージェント・ディーヴァーが登場し、部下を引き連れてモスクの捜査へと訪れます。イマーム(指導者)のシャイフ・アブドラが対応する横から、理事の当選が確実となったナキアが割って入り、令状がなければ権限はないとして拒否します。
ディーヴァーが法律は学校で習ったの?と質問すると、ナキアは「ロー&オーダー」の再放送で学んだと回答しています。
ここは日本語では「テレビドラマ」とぼかされている部分で、1話 、2話 で任天堂の存在が消されたように日本のディズニーによってどういうわけか墨を塗られています。
前回はブルーノが進路の方向性を見出しましたが、ナキアもまたここで方向性が定まってきたようです。このまま政治家となり、ソコヴィア協定の白紙化に期待したい所。
靴泥棒
結婚式の準備の中、アーミルが新郎の靴を隠す伝統があると説明しながらも、普通は一足なのに全部なくなっていると怒っています。
少し前の場面では大量の靴を抱える少年がばっちり映されており、この親戚の少年がどこかへ隠してしまったようです。
©MARVEL,Disney
言動より行動
「ナイトライト」を良く思わない母ムニーバは目の前に本人がいるとも知らず「母親は恥じるべき」だと口にします。それを聞いて居たたまれなくなったカマラは、ブルーノが置いていった箱を持って表に。
一足先にパーティーから出てきたシャイフに「ナイトライト」はどうやって自分がいい人であるか証明すればいいのか質問すると、シャイフは「good is not a thing you are. it’s a thing you do.(言葉で示すものではない、行動で示すものだ)」とコミックのセリフを引用して答えています。
©MARVEL,Disney
シャイフが去った後、ブルーノがくれた箱を開けると、そこにはコミックのミズ・マーベルが装着しているアイマスクが入っていました。
ブルーノの調査
ブルーノがサークルQで店番をしながらジンについての調査をしていると、カマラの父ユスフが来店。ムニーバから禁止されているというフルーツパイを秘密で購入すると、ブルーノが読んでいたウルドゥー語の資料を見つけて読み上げていきます。
それによるとジンは「イスラム以前から伝わる超自然的存在」、「ジンは時代や文化ごとにジーニーや悪魔など様々な名前を持つ」、「伝説によると、あるジンの一族は故郷を追放されてこの世界に囚われている」、「彼らはこの世界に潜み、故郷に帰るためのキーを探している」、「だが古代のバリアを破るには原始的なパワーが必要になる」との事で、これは今回のエピソードの前半でナジマが説明したことと一致しているようです。
ブルーノの正確で迅速な調査能力は「椅子の男」にふさわしいもののようですが、カマラのサポートを続ける事はできるのでしょうか。
次元間移動
ブルーノがカマラに対して次元間移動の説明を行うシーンでは、「太陽と同等のエネルギー」が必要と語られました。
このブルーノの理論が正しいかどうかは分かりません。マーベルの中で次元間移動を行うキャラクターは多数存在しており、MCUでもドクター・ストレンジ、アメリカ・チャベス、クレアなどが披露してきました。
なお、このシーンではカマラはアイアンマンのTシャツを着用しており、相変わらずのアベンジャーズ愛を表現しています。
小さいハルク
結婚式当日、ダンスのシーンでは靴泥棒の少年がムニーバが1話でカマラのために作ってくれた小さいハルク用の衣装を着て踊っています。
©MARVEL,Disney
カマラが着用を拒否して当時は少し親子関係がぎくしゃくしましたが、再利用される機会があったのは素晴らしい事です。
ダンスシーンの後半は公式クリップが公開されています。
クランデスティンの襲撃
カムランが式場に飛び込んでくると、「みんな殺される」とカマラに逃げるように促します。人質を取って要求するのであればわかりますが、皆殺しにしてしまってはカマラが言う事を聞く理由がありません。カムランが警告したほど無差別ではなく、ナジマたちクランデスティンはカマラを追います。
父と母の思い出の曲、Bon Jovi の「Livin’ on a player」をバックに戦闘が始まります。
ナジマは冒頭で自分たちがこの世界でヌールをうまく操れないと語っているため、現状でカマラの存在は腕輪と同レベルの重要な鍵であるはずで、カマラを殺してしまう事は得策とは思えません。息子のカムランがヌールをコントロールできるようになる事に賭けて、最悪腕輪を奪えればいいというプランなのでしょうか?あるいは実際はヌールを操れるのに、そうではないフリをしている可能性も考えられます。
そもそもエピソード冒頭の段階でカマラから無理やり腕輪を奪っていれば、こんなオオゴトにする必要もありませんでした。ナジマにどういう心境の変化があったかは不明ですが、少し前のナジマとカムランのやり取りでは、「(カマラは)もう少し時間が欲しいらしい」というカムランに対してナジマは「そんな余裕はない」と焦りを見せています。100年近く地球にいる事を語っていましたが、ナジマが何を焦っているのか、次回以降に明かされる事に期待です。
腕輪の機能
キッチンに追い詰められたカマラ。ナジマは「あなたじゃその腕輪を使いこなせない」と、腕輪には内なるヌールを引き出す事とは別の機能がある事を示唆しています。
故郷に帰りたいだけと主張するナジマですが、追放者が帰った所で受け入れてもらえるのか少し怪しい所。悪い方向に考えれば、ヌールディメンションの支配権を奪い返す事が目的なのでしょうか。
クランデスティンの名が示す通り、彼女たちはまだ不正な秘密を抱えているようです。
KARACHI
追い詰められたカマラがナジマにバングルの腕を掴まれると、ふたりは強烈な光を浴び、KARACHIと書かれた列車のビジョンを見ました。
カラチはパキスタン最大の都市で、2話でユスフやムニーバが話していたように彼らはもともとカラチに住んでいました。また分離独立運動の際のカマラの祖母サナのエピソードで列車も登場しており、今回のエピソードのラストと合わせて、列車の謎は次回以降にサナが説明してくれそうです。
ダメージコントロールの介入
カムランの援護も虚しく、四方を囲まれ追い詰められたカマラとブルーノ。しかしダメージコントロールの介入により裏口からの脱出に成功します。
ダメージコントロールの武装兵はコミックのS.H.I.E.L.D.の特殊部隊ケープキラーのようなデザインで、現実の技術とは異なる特殊な武器を使用していました。もともとはトニー・スタークと政府によって設立されたダメージコントロールですが、今回のエピソードでは出番も少なく、アップもないせいもあり、武装にスタークのロゴは確認出来ません。
©MARVEL,Disney
今回のエピソードの中でムニーバから「どんな険しい山も一人で登る必要はない」とアドバイスをもらったカマラですが、今はまだ家族に打ち明ける勇気が出ません。次回以降うまく関係を修復していく事に期待です。
ドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第4話は 2022年6月29日16時 より配信予定です。