2022年6月29日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1エピソード4「Seeing Red(邦題:レッド・ダガーズ)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
sponsored link
カラチ
前回のエピソードの最後に言われた通り、祖母サナの待つカラチの街へと飛ぶカマラと母のムニーバ。コミックの「Ms.Marvel #12」でもカラチ旅行をして、レッドダガーと出会うエピソードがありますが、その詳細はまったくの別物です。この号は記事執筆時点現在で無料で公開されています。
コミックでは、カマラは、彼女の憧れであるキャプテン・マーベルと対立したシビル・ウォーのストーリーの出来事の後、カラチに向かいます。スーパーヴィランとの戦いで負傷したブルーノがワカンダの学校で奨学金を取得することを決めたため、カマラもカラチに向かいました。
アメリカでは学期中に家族旅行に行くことは珍しくなく、それが教育目的であると認められればそもそも欠席扱いにもならないそう。
約30時間の飛行機旅のワンシーンでは、カマラが前回のエピソードで兄の結婚式を台無しにした事で喋ってはいけないお仕置きを課せられている事が判明します。しかし、祖母に会いに行くためのこの旅行の間、その措置も解禁されるようです。
ジンナー国際空港に到着して最初に出迎えてくれたのは「チャチャおじさん」の子供たち、つまりいとこにあたるザイナブとオワイス。ザイナブはカマラの事を「相変わらず小さい」といじってきます。
カマラを演じるイマン・ヴェラーニさんの身長はプロフィールによると5′ 6″ (1.68 m)、コミックのカマラは5′4″ (1.63 m)、日本人感覚でいうと十分背が高いように思えます。ちなみに国別男女別の平均身長を調べられるサイト AVG.HEIGHT によるとパキスタン人女性の平均は1.585メートルとなっています。ザイナブの好みの身長に比べて低いという意味かもしれません。
祖母に何があったのか
空港に到着した正確な時間は不明ですが、車に乗って祖母の家についた時にはすっかり明るくなっています。空港からは遠い場所なのでしょうか?出迎えてくれた犬のマグナムはMCUオリジナルの犬です。
サナはカマラに「ジンは単なる遺伝、あなたはどうでもいい事にこだわりすぎる」とカマラに語りかけ、これまでのエピソードで少し紹介されていた分離独立の日に「バングルによって生命が救われた事」、「突然星が現れて父の腕の中に戻してくれた」と明かします。
これまでは星に導かれてという説明がされていましたが、サナの説明では突然星が現れてという言い回しになっているのが気になる所。多くのMCUファンは最近星をよく目にしているわけですが、何か関係があるのでしょうか?
©MARVEL,Disney
ナキアとの関係
祖母との話を終え、ベッドに転がったカマラはスマホを確認。しかし、ナキアからのメッセージはありません。
カマラは機内でも謝罪と共に「お願いだから返事して」と送っていますが、3話のラスト以降まったく連絡が取れていないようです。
©MARVEL,Disney
ボートクラブでのランチ
アベンジャーコンで買ったと思われるTシャツに着替えたカマラはいとこのザイナブとオワイス、そして母のムニーバと共にランチにお出かけ。しかしジーンズを履いていった事でドレスコードに引っかかり、入店させて貰えませんでした。
劇中では笑い話のようになっていますが、お隣のインドではジーンズを履く女性を嫌う傾向があり、2021年にも17歳の少女がジーンズを履いたことで親族に撲殺される事件(事件の詳細はBBC にて)があったため、服装には気をつけなくてはいけません。
カマラが顔をしかめて食べているのはパニプリ。ヒンディー語で聞いても英語で聞いてもパーニープーリーと聞こえますが、日本語ではなぜかパニプリ。
©MARVEL,Disney
カマラの指先にあるボール状のものがプーリーで小麦粉を揚げたもの。ジャガイモ、玉ねぎ、ひよこ豆などの具材を入れる場合もありますが、この店のプーリーは生地だけのシンプルなものの様子。
そして奥の器に入っているであろう液体がパーニー。パーニーは水とタマリンドやチリパウダー、チャートマサラなどを混ぜ合わせた液体で、辛いものと甘酸っぱいものの2種類が主流との事。
プーリーにパーニーを注いで一口で食べるあちらでは一般的なスナックで、屋台などで売られています。
カマラが食べたのは辛いタイプのパニプリのようで、辛いものが苦手なのも判明します。
街の案内
食後にザイナブとオワイスが街案内をしてくれますが、歴史の説明もアプリを読み上げているだけのイマドキの若者と言った描写。いとこが「最も古いカラチの住民」が住んでいる建物を紹介した際には、「フロリダ的な?」と歴史ジョークでかえすカマラですが見事にスルーされてしまいます。
北アメリカの先住民族であるネイティブ・アメリカンの祖先が約14000年以上前にアジアからアメリカ大陸にわたったとされ、最初に住み着いたのが現在のフロリダ半島にあたっていると言われている所から来る、カマラの渾身のボケでした。
その後はショッピングを楽しむシーン。500ルピーで赤い服をすすめられ、300に値切ろうとするカマラ。500パキスタン・ルピーは執筆時点のレートで約300円とお求めやすい価格。それに比べると勝手に撮影されて売りつけてくる写真の1500ルピーはなかなかのぼったくり感となっています。
©MARVEL,Disney
なお、写真店の屋台にはおなじみになりつつある無料コミックのQRコードつき。読み取りが上手くいかない方や面倒な方はこちらをクリック。 今回はカマラがカラチに旅行にいく「MS. MARVEL (2015) #12」です。
写真を買うことを条件に駅までの道を尋ねるカマラでした。
カラチ駅
有料の道案内にしてはかなりの雑さでしたが、問題なく到着出来たカマラ。ざっと見て回っても特にめぼしいものはなく、ブルーノにもらったマスクを着用して立入禁止区域に侵入。
進んだ先にはアントマンのウォールアートがあり、左下には「You can start small and still be larger than life.(小さくても偉大になれる)」と書かれており、いとこに「相変わらず小さい」をからかわれた事を思い出させます。また、「カラチ × アベンジャーズ シリーズ パート4」とも書かれており、パート3までのアートが気になる所です。
©MARVEL,Disney
この文章にクレジットされているエイドリアン・アルフォナさんは「ミズ・マーベル」のコミックアーティスト。SAIRA HUSSAINさんが何者かは分かりませんでした。
謎の人物との戦い
突然飛んできたダガーをきっかけに始まる戦闘。ヌールで応戦するカマラを見て、少年は「仮面のアメリカ人はみんな超人なのか?」と質問、しかしカマラは「カナダ人かも知れないでしょ」と返しています。カマラを演じるイマン・ヴェラーニさんはカナダ人であり、出会って数分で見極めることが難しいのは間違いありません。
「そのジャンプの仕方、どこで勉強したの?ニンジャ・タートルズ?」、「そっちはドンキーコング?」とお互いの師匠について挑発し合う中、アイシャのバングルのおかげで休戦に。
ニンジャ・タートルズは正式には「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」で、ミラージュ・スタジオから1984年に出版されたアメコミで今なおつづくシリーズです。
しかし、このコミックはティーンエイジャーのミュータントたちが登場するマーベルの「ニュー・ミュータンツ」と、忍者集団が登場する「デアデビル」のミックスパロディとして始まっており、敵の忍者がザ・フットと名付けられているのも、デアデビルに登場するザ・ハンドが元ネタになっています。
そのため、MCUにニンジャ・タートルズというコンテンツが存在しているとなるとその元ネタになっているニュー・ミュータンツやデアデビルが昔からあったと認めざるを得なく、ちょっとしたプロットホールと言えそうです。
騒ぎを聞きつけた警備員が迫ると、少年は「Come wuth me if you want to live.」と決めていますが、これはターミネーターの名台詞。1作目ではカイル・リースがサラ・コナーに、2作目ではT-800 がサラ・コナーに対して使いました。
「ミズ・マーベル」の日本語吹替では「ターミネーター」と一字一句同じではないため名台詞感はありません。
この年齢でこの名台詞を「一度言ってみたかった」とは彼も相当な映画オタクと考えて良さそうです。
レッドダガーズ
A.B.C.中華料理店へと逃げ込んだ二人。中華料理の店名としては珍しい感じですが、何を意味しているかはちょっとわかりません。ドラマ「エージェント・オブ・シールド」などを制作したABCへのリスペクトなのでしょうか?
厨房の仕掛け扉をくぐると「レッドダガーズへようこそ」と秘密基地へと招待されました。少年の名前はカリーム。
酸辣麺の赤さが気になるカマラに「アメリカ人は中国料理まで漂白(whitewash)すんのか?」と映像作品におけるホワイトウォッシュ問題についてちくり。最近ではアメリカ・チャベスに関してソーチー・ゴメスさんの起用がホワイトウォッシュだと言われた事もありました。
ボスらしき人物ワリードによると、「何百年も前から活動している」との事で、任務は「見えざる者たちから仲間を守る」事。また、クランデスティンは「君が知っているような物語に出てくようなジンとは違う」事も明かされました。
そしてクランデスティンはヌールディメンションの存在であり、ヌールの世界は私たちの世界と繋がっていると説明します。二つの世界は共存しているものの、ヌールのヴェールによって隔てられており、バングルの力でヴェールが破られたらクランデスティンの世界が押し寄せると衝撃の発表。
イメージ的には「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」のインカージョンと似ており、ミズ・マーベルが初戦で背負うリスクとは思えないぐらい大きい話になってきました。
気になるのはカリームやワリードが「ヌールを感じる」という点。ドラゴンボールの気のような概念で、修行などで感じる事ができるようになるのでしょうか?
カリーム
原作ではヴィジランテとして単身活躍するキャラクターでヒーローネームがレッドダガー。ですが、MCU版では組織名であり、組織の戦士の称号となっているようです。
コミックのカリームはカマラの祖母と一緒に暮らしており、カマラは以前から面識がありましたが彼がレッドダガーである事は知らされていませんでした。カリームはいわゆる特殊能力は持っておらず、ストリートレベルのヒーローです。とはいえ、ネットでパルクールをマスターするなど、アスリート超級の身体能力を持っている事は間違いありません。
キャラクターの外観はコミック版と近く、再現度の高いものとなっています。
©MARVEL,Disney
ダメージコントロールの最高レベル警備刑務所
一方その頃、クランデスティンは刑務所に。このタイミングでダメージコントロールに刑務所施設があることが初めて明らかになりました。コミックのダメージコントロールも映画「スパイダーマン:ホームカミング」で紹介されたように物的損害の修復を担当する機関でしたが、MCU版はなにやら業種を拡大している様子です。
今回紹介された刑務所の外観は、ドラマ「シーハルク」のトレーラーに出てきた建物を一致しており、同一の可能性があります。
©MARVEL,Disney
しかし、クランデスティンが捕まったのは東海岸のニュージャージーであり、「シーハルク」の舞台は西海岸のロサンゼルス。刑務所の所在地はどこに設定されているのか今の所謎な部分です。
また、「シーハルク」のトレーラーからこの建物にアボミネーションが収監されている事も予想出来ますが、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で登場した海中刑務所ラフトでなく、ここに入れられているのも気になる所。
ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の5話ではドーラミラージュのアヨたちがヘルムート・ジモをラフトに連れて行ったため、あちらもまだ機能しているのは明らかです。新たな刑務所が必要なほどスーパーヴィランが増えているのでしょうか?
そして、最高レベル警備刑務所と紹介されたにも関わらず、その数分後にはクランデスティンが脱獄。彼らが脱獄できるならアボミネーションならもっと簡単に脱獄出来そうなものですが、彼が素直に反省しているのかどうかは「シーハルク」にてチェックです。
ビリヤニ
レッドダガーズの面々とキャンプファイヤーを囲み、ビリヤニをごちそうになるカマラ。
ビリヤニはイスラム教徒の結婚式でお祝いの食事とされているだけではなく、屋台などでも売られており国民食として幅広く愛されています。インドやその周辺国で食べられているスパイスとお肉の炊き込みご飯で、パエリア、松茸ご飯と並ぶ世界三大炊き込みご飯のひとつと称されています。
味付けにもバリエーションがあり、カマラは辛いかどうか警戒し、一口目を口にするまで勇気が必要でした。今回のエピソードは食事シーンが多く、飯テロ回となっています。
母と娘
一日掃除をしている様子のムニーバ。この豪邸なら致し方なしと言った所でしょうか。
大量のトフィーの箱に「なんで?」とサナに尋ねると、「あなたが帰ってきたときのために」と買い込んでいた事、そして帰ってこないせいでそのほとんどを食べてしまった事を明かしましす。
トフィーはバターと砂糖を高温で熱して作るお菓子で、冷めたあと、硬く仕上がるのが特徴です。発祥元であるイギリスやカナダをはじめとした、海外全般で愛されているお菓子です。
アメリカで一緒に暮らさないかと提案するムニーバですが、サナはムニーバが自分から離れていったと主張し、ムニーバはサナが変わり者だったせいで孤立したから変化を求めたと主張。サナは娘と話を分かち合いたかったとし、ムニーバは必要なのは物語ではなく普通の母親だったと、相容れません。残る2話で和解に至るのでしょうか。
ヌールのコントロール
別の日、レッドダガーズの秘密基地にてワリードがカマラにヌールのコントロール方法について説明をしています。これは3話でクランデスティンが説明したのと同じく、カマラの遺伝子とバングルの作用でこの世界でもヌールが操れる模様。
先日500ルピーで買った赤い服を着て練習するカマラに、ワリードは「自分のルーツを忘れるな。ひとりじゃない。」となにやら特別そうな青いベストをプレゼントします。ポスターに描かれたミズ・マーベルのコスチュームに近づいて来ましたがまだ及ばず、今回も最終話までお披露目がない可能性が高まっています。
襲撃
着替えの最中にクランデスティンが天井を破って襲撃してきました。なぜ場所がバレているのかは疑問な所で、ナジマがアイシャの行方を知らなかった事からバングルレーダーのようなものはないと推測出来ます。ヌールを使うだけである程度の位置がバレてしまうのでしょうか?
それと同じくらい気になるのが、脱獄犯が徒党を組んで飛行機で渡航出来てしまった事。彼らの中にテレポーターがいるとも思えませんし、謎が多い展開です。
とにかく謎の不幸が重なって追いかけられるカマラと巻き込まれた形のカリームとワリード。前輪だけで走る「ストッピー」を二人乗りでやるというカリームの凄腕バクテクニックを見せつつも、簡単には逃げられません。車両から放り出されてもヌールで着地の衝撃を抑えるのはキャプテン・アメリカの盾を彷彿とさせます。
路駐の車に乗り込んだ(無免許の)カマラは1話で兄アーミルから教わった「ビスマラー(ビスミッラー)」のおまじないを唱えながら発進。取り囲まれていたカリームを救いますが、窮地を脱するには至らず、クランデスティンの追手が迫ります。ナジマと対面していたワリードがカマラ達を追う敵にダガーを投げつけ二人を救いましたが、その隙を突かれ、命を落としてしまいました。
行き止まりに追い詰められ、ナジマの武器がバングルに当たった瞬間にまたもやヌールにつつまれ、目の前に列車を確認するカマラでしたが、それは単なるヴィジョンではありませんでした。屋根に登れる列車は実体のようであり、アイシャとサナがいたあの日にタイムトラベルしたと思わせて今回のエピソードが終了します。
カマラは駅でアイシャと直接話を出来るのか、大失態をおかしたダメージコントロールが残る2話で再び介入してくるのか、友人や家族との問題も手つかずのまま、次回へ持ち越しとなります。
ドラマ「ミズ・マーベル」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第5話は 2022年7月6日16時 より配信予定です。