MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「ブラックウィドウ」の主演を務めたスカーレット・ヨハンソンさんがディズニーを訴訟した件で、映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」などの監督を務めたルッソ兄弟とマーベル・スタジオとの新作に関する契約が難航していると、海外メディア ウォール・ストリート・ジャーナル が報じました。
報道によるとアンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ兄弟監督はヨハンソンさんが「ブラックウィドウ」を劇場のみで公開すると定めた当初の契約を再交渉することなく、劇場とディズニープラス プレミア アクセスで同日公開したとしてディズニーを提訴したことが報じられた後、MCU新作の監督を務めるための交渉に「行き詰まり」を感じているとの事。ルッソ兄弟は現在、MCUの次回作がどのように配給されるか、またコンビの支払いがどのように処理されるかについて明確にされるまで、新たな契約を結ぶことに警戒していると伝えています。
ルッソ兄弟は2014年公開の映画「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」でMCUに携わり、その後、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016年)、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)とMCUの中核を担う作品の監督を務めました。
兄弟は「シークレット・ウォーズ」を撮りたいと公言しており、フェーズ4の展開からこれが実際に制作されるのではないかと噂されていましたが、「ブラックウィドウ」訴訟問題の影響で暗礁に乗り上げているようです。
7月にヨハンソンさんがディズニーを提訴した事が公になり、「マーベルとの契約の利益を完全に実現することを妨げるために、正当な理由なく、意図的にマーベルの契約違反を誘発した」と主張しています。これに対し、ディズニー社はヨハンソンさんの申し立てには「何のメリットもない」と反論し、「COVID-19パンデミックの恐ろしく長期にわたる世界的な影響を無視している点で、特に悲しく、心苦しい」と述べています。
このディズニーの反論に対し、Women In Film、ReFrame、Time’s Upは共同声明を発表し、ディズニーがヨハンソンさんに対して、「ビジネス上の紛争にはふさわしくないジェンダーに基づいた人格攻撃を行っている」と批判しました。
8月の中頃、この訴訟に対してディズニー側は新たな動きを見せました。裁判ではなく、拘束力のある仲裁調停をニューヨークで行いたいと申し立てたと報じられています。仲裁調停は裁判と異なり当事者の間だけで非公開で行われるもので、ヨハンソンさん側の弁護士は声明を発表。
「ディズニーは予想通り秘密の仲裁で自分たちの違法行為を隠そうとしている」「なぜ彼らは公の場所で訴訟することをこれほどまでに恐れているのだろう?」とコメントしました。「それはマーベルが『ブラック・ウィドウ』に”他の映画と同じように”通常の劇場公開の機会を与えると約束したのは、ディズニーがディズニープラスの加入者を増やすために興行収入を食い物にしないと保証したことに関連しているのを知っているからだ。しかしまさにその事態が起きた。それを示す圧倒的な証拠を提示するのを楽しみにしている」と、調停ではなく裁判で争う姿勢に変わりはないと表明しました。
図らずもルッソ兄弟監督の新作の噂が真実味を帯びた報道となりましたが、「ブラックウィドウ」問題が解決しない限り、その新作も実現しないようです。
ソース:The Disney/Johansson Schism Reportedly Soured a New Russo Bros/Marvel Deal