2021年6月23日配信のドラマ「ロキ」エピソード3「ラメンティス」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
Demons
今回のオープニング曲はヘイリー・キヨコ・アルクロフトさんの「DEMONS」。日系アメリカ人のシンガーソングライターで同性愛をテーマにした楽曲で注目を集めている方で、今回のエピソードにも沿った曲だと言えるでしょう。
また悪魔か!と思ってしまいますが、当ブログでも再三お伝えしているように、監督いわく「メフィストは登場しない」との事。ここは深読みしなくていいのでしょうか。
この曲では「私の中には悪魔がいる」「何かが私から全てを奪っていく」 と歌っており、C-20の頭の中に入り込み、情報を奪おうとする変異体のシーンとオーバーラップさせています。
タイムキーパーを見つける方法
2話でC-20が口走っていたタイムキーパーを見つける方法とは、予想だにしないシンプルな方法でした。金色のエレベーターで上に行くだけ。TVAは明らかに広大な施設ですが、その詳細な構造は不明で、エレベーターが何基あるのかもわかりません。他の色のエレベーターが存在しているのでしょうか。
雷の後に来るヤツ
マーケットの外を映す防犯カメラ映像には雷鳴の後に空を見上げるロキの姿が映っています。
©2021 MARVEL,Disney
映画「アベンジャーズ」でも「雷の後に来るヤツが嫌いだ」と言ってたので、兄が来ないか警戒しているのかもしれません。
TVAで力は使えない
TVAに侵入した変異体ですが、1話から言及されているようにその魔法は封じられているようです。1話の説明からするとミュータントの特殊能力なども使えないと考えられますが、例えばスティーブ・ロジャースのような薬による力や、トニー・スタークなどのテクノロジーは使えるのか、などなど興味がわくポイントでもあります。
変異体は本家ではほとんど見たことがなかった格闘によるアクションシーンを見せてくれました。
ロキの短剣ムーブ
前回の出動前に没収された短剣を回収して、変異体を追うロキ。短剣をくるっと回すシーンは映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」の予告編ではあったのに本編からは削除されたシーン をオマージュしています。
©2021 MARVEL,Disney
タイムパッド
レンスレイヤーに追い詰められた二人のロキは咄嗟にタイムパッドを使いどこかへと転送。
そしてタイムパッドを巡って争うロキと女性のロキ。ロキは映画「アベンジャーズ」でコールソンにやったように魔法で騙し、相手の背後を取りましたが、2話でメビウスに語ったように背後から刺すような真似はしませんでした。
女性のロキが「ロキ」と呼ばれる事を嫌うシーンは気になるポイントです。
©2021 MARVEL,Disney
ラメンティス
コミックにもラメンティスは登場しています。コミック「Annihilation: Conquest Prologue (2007) #1 」で登場したラメンティスはクリー宙域の端っこに存在する星となっています。2077年のクリーはどういう状況になっているのでしょうか。
©MARVEL
コミックのラメンティスでは主にフィラ=ベルやムーンドラゴンの物語が展開されています。フィラ=ベルはキャプテン・マーベル(キャロル・ダンバースではなく、クリーのマー=ベル。MCUでいうとウェンディ・ローソン博士として地球で四次元キューブを研究していた人)の娘で、ムーンドラゴンはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのドラックスの娘です。
ちなみにラメンティスはラテン語で悲しみを意味する言葉を由来としています。
シルヴィ
タイムパッドのチャージに向かう道中で、「私はロキではなく、今はシルヴィ」 と名乗った女性版のロキ。このシルヴィのフルネームがシルヴィ・ラウフェイドッティルである事が2話から分かっており、コミックのエンチャントレス/シルヴィ・ラッシュトンとは別のキャラクターである可能性が指摘されています。
それぞれの魔法のについて、吹替版では単に「魔法」と称されていますが、英語ではこのシルヴィの魔法はエンチャントと表記 されており、こういう部分ではエンチャントレスをほのめかしています。ちなみにロキの魔法はトリックと表現されています。
©2021 MARVEL,Disney
この時点でシルヴィの目的はタイムキーパーである事が示唆され、ある意味でロキと同じと言えます。
パトリス
民家に押し入ろうとしたシルヴィが吹き飛ばされたのを見て、ロキは見つけた写真から民家の主へと変身し、中にいる夫人に話しかけます。しかし、「パトリスはこの30年間そんな事言ったことがない」とあっさり見破られ、シルヴィ同様に吹き飛ばされてしまいます。
夫人のリアクションと言葉から本物のパトリスは生きている可能性が高そうですが、どちらにせよラメンティスが滅びる事を考えると、夫婦の物語の真相は不明のまま終わるかもしれません。
ヒックス伍長とハドソン上等兵
ロキが列車に乗り込もうとした際に切符を要求した二人の人物はクレジットからヒックス伍長とハドソン上等兵である事がわかります。この名前と階級は1986年の映画「エイリアン2」に準じています。
©2021 MARVEL,Disney
エイリアンフランチャイズの配給権は20世紀FOXが所持していましたが、ディズニーが買収した事でいずれはディズニープラスで配信されるかもしれません。
ロキとシルヴィ
列車内に入ったロキとシルヴィは座席につき、質問の応酬を繰り広げます。しかしこのシークエンスで語られるのはロキの身の上話であり、シルヴィの事はほとんど判明しません。
ロキが母フリッガを愛している事を再確認できるシーンとなっています。
ロキとシルヴィの共通点として、フロストジャイアントのラウフェイの子供である事は確実ですが、シルヴィもオーディンとフリッガに育てられたのかというと、そういう感じでもない様子。となると、幼少期(ともすれば生まれた時点)からすでに違う人生を歩んでいる変異体という事になりそうですが、TVAはその頃からシルヴィを狙っていたのでしょうか。
今後、幼少期のシルヴィが物語に登場するようなので、何かが明かされるかもしれません。
郵便配達員
シルヴィは郵便配達員と恋愛関係である事を明かしました。
マーベル・コミックスの中で有名な郵便配達員であるウィリー・ランプキンは2005年と2007年の映画「ファンタスティック・フォー」シリーズでも実写化され、スタン・リー名誉会長が演じました。コミックのウィリーとロキの間には特に関係性はなく、映画のファンタスティック・フォーの世界がマルチバースのひとつだとしても、彼と恋愛しているとは考えにくいかもしれません。
Image from 「ファンタスティック・フォー」©20th studios
またポストマンというコードネームのミュータントも確認されていますが、こちらもコミック上でロキとの関係性はなく、シルヴィのお相手ではないと考えられます。
ちなみに「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」のラストでFedexの配達員に扮したスタン・リー氏が登場し、その後「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」にて宇宙のとある場所でウォッチャーと話をするシーンがありましたが、厳密には郵便配達員とは違うため、こちらも可能性は低そうです。
ロキのセクシュアリティ
MCUのロキもバイ・セクシャルである事が公式 に明かされました。
アスガルドの歌
ロキが歌うシーンでは英語字幕をオンにしているとロキがアスガルド語で歌っていることがわかります。一部英語で「彼女は歌う、帰れと歌う」と歌っています。
このアスガルド語というのは実際にはノルウェー語だそうで、海外ファンがノルウェー語から大まかに英語に訳したもの がネット上でシェアされています。これをさらに日本語にすると「嵐のような黒い山の中で私は一人でさまよっている。氷河を越えて私は自分の道を作る。リンゴ園で最後には茎が出てきて、待っている。”いつ帰ってくるの?”と歌いながら。」 といった内容の歌詞のようです。
まわりの音楽隊や乗客も合わせて歌っていますが、ラメンティスの人たちがアスガルド語(あるいはノルウェー語)や英語を理解するかどうかは深く考えないほうがいいのかもしれません。音の真似をしているだけの可能性は充分にあります。
以前にドラマ「ワンダヴィジョン」のソコヴィアの歌の公式英訳歌詞が公開された事があるので、こちらもそのうち公開されるかもしれません。
もう一杯!
機嫌が良くなったロキは「もう一杯!」とグラスを床に叩きつけ割ってしまいます。
これは映画「マイティ・ソー」でロキの兄であるソーも同様でした。アスガルドのおかわりの慣習であると考えられますが、当時ソーの周りにいたジェーン・フォスターやダーシー・ルイスは驚き、この行為を叱責しました。
しかしこの列車では誰も何も言いません。 宇宙から見ると地球の慣習のほうがおかしいのかもしれません。
ちなみにこの「おかわり」の表現として食器を割るというアスガルドの慣習はクリス・ヘムズワースさんのアドリブだったと言われています。
兜は武器
警備員に囲まれたシルヴィは兜を取り外し、それで敵を殴りつけます。
映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」でもロキが兜で敵を倒すシーンがあり、シルヴィがロキの変異体であることを表現しているようです。
ロキの名物カット
ロキが横たわる名物カットは2話でもありましたが、今回もまた登場しました。もともとは「マイティ・ソー/バトルロイヤル」でドクター・ストレンジに落とされた事が始まりでした。
©2021 MARVEL,Disney
シルヴィの叫び
怒りを爆発させたシルヴィが叫ぶと緑色の魔力の爆発が描かれます。
©2021 MARVEL,Disney
コミックのシルヴィと言えばエンチャントレスという事を度々紹介してきましたが、シルヴィは二代目のエンチャントレスであり、初代はアスガルド人のアモラという女性でした。
アモラは声に魔力がある魔女で人々を操る力を持っていました。アモラにはより強力な声をもつ妹のローレライがおり、こちらはドラマ「エージェント・オブ・シールド」に登場。コールソンやエージェント・ウォードを誘惑し、S.H.I.E.L.D.を内側から支配しかけましたが、アスガルドから来たレディ・シフによって阻止されました。
MCUのシルヴィの声に何らかの特別な力があるとすれば、アモラとの共通点も増えて来る事になります。
箱舟
箱舟で脱出するプランは映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」のストーリーをなぞっています。
箱舟での脱出は失敗するはずですが、我々が乗り込めば変わるかもしれないと提案します。
シルヴィの魔術
シルヴィのマインドコントロールは肉体的に接触する必要がある事が明かされます。
©2021 MARVEL,Disney
これは2話で見られた通りの説明ですが、相手の精神力の強さによって成功率も変わるようです。
ロキは「私よりよっぽどすごい」と称賛しますが、ワンダやアガサのマインドコントロールと比べると少々弱いと言わざるを得ません。
TVAについて
シルヴィは冒頭に登場しているハンターC-20がTVAに入る数百年前の記憶を思い出させて操った と説明します。この事は英語と日本語吹替のみで示されている事で、日本語字幕の場合は「TVA以前の記憶を引き出した」としか説明されません。 しかし冒頭のシーンはどうみてもここ数十年以内のダイナーにしか見えません。TVAの兵士として働くようになってから地球時間で数百年経つという意味だと考えられます。
「彼女は普通の地球人、マルガリータ好きの」と説明し、「職員がタイムキーパーに作られたというのは嘘で、全員が私達と同じ変異体。」と続けました。
ここで得られた情報は「C-20が地球人である事」と「全員が変異体」という事。職員全員が地球人かどうかは不明で、1話でスクラル人が連れてこられていた事を考えると、いろんな星の人間がいると考えるほうが自然かもしれません。
ただし、映像的にはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに見られるような多様な宇宙人を見かける事はありません。地球人と見た目の区別がつかないアスガルド人やピンク・クリーなどもいますから、今の所はなんとも言えなさそうです。
全員が地球人だとするならば、TVA内のやり取りが英語と西暦がベースになっていることは納得が行きやすくなりそうです。
シルヴィの言うことが真実だとすればレンスレイヤーもやはり変異体なのでしょうか。コミックのレンスレイヤーはマルチバースにまたがって様々なバージョンが描かれているため、むしろしっくり来る気もします。
メビウスが1990年代を好むのはその時代から連れてこられた変異体なのかもしれません。
ロキの魔法?
箱舟に向かうロキとシルヴィですが、隕石の落下は激しくなり、街はひどい有様になっていきます。その中で不思議なシーンが挿入されます。
倒壊する建物をロキが「任せろ」といって元に戻すシーンです。サイコキネシスのような念力というより、時間を巻き戻したような描画になっているのが印象的です。
もしかするとロキは冒頭のTVAのシーンでタイム・ストーンやその他のインフィニティ・ストーンを盗んでいる可能性があるかもしれません。
「マイティ・ソー/バトルロイヤル」でもアスガルドの宝物庫から四次元キューブを盗んでいた前科持ちですし、タイムパッドが壊れて取り乱したシルヴィと違って妙に落ち着いているのは、最終的にスペース・ストーンで脱出するという奥の手を隠しているのかもしれません。タイムパッドをタイム・ストーンでチャージ済みの状態にも戻せそうですが、壊れたタイムパッドは地面に放置してきていると思うので手元に再現できるのかどうかはよくわかりません。
最終的に箱舟が壊れ、脱出手段を失った絶体絶命の状態で3話が終了します。ロキがインフィニティ・ストーンを持ち出していないなら、メビウス達TVAが逮捕という名目で救出にくるのでしょうか。しかし災害間近のポイントなので、TVAがここを見つけるのには苦労しそうです。
ダーク・ムーン
エンディングに挿入されているのは1957年、ボニーギターの「ダーク・ムーン」。
日本でも同年に浜村美智子さんによってカバーされています。
歌詞(英語版)に注目すると「ダーク・ムーン あなたの光が消えていく それは愛を失ってしまったからなの?」と歌われています。ラメンティスの滅亡を意味するようでもあり、ロキやシルヴィを表しているようでもあるなかなか意味ありげな内容になっています。
母体であるロキがフリッガの愛を失ったことで、変異体であるシルヴィもまた何かの愛を失ってしまったのでしょうか?
エンディング中の映像がどの程度本編と関係があるかはわかりませんが、3話の内容もTVAが調査している様子が伺えます。
©2021 MARVEL,Disney
今回はエピソードを通して、ロキが「シルヴィが信頼に足る人物かどうか」を見定める試験のように見えました。メビウスとの本格的なバディものが始まるかと思いきや意外な展開を見せましたが、シルヴィのロキらしさが丁度よく、ユニークな掛け合いを見せてくれました。
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シルヴィについては名前以外はほぼ何も判明しないまま進行しました。エンチャントレスの可能性、レディ・ロキの可能性、MCUオリジナルの可能性を残して4話へと続きます。
新たに公開されたトレーラー からシルヴィの幼少期について今後何か描かれそうである事が判明しています。
ドラマ「ロキ」は 毎週水曜日 16時より ディズニープラスで新エピソードを追加配信中。次回、第4話は 2021年6月30日 配信です。