2021年11月24日、ディズニープラスで配信されたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ホークアイ」シーズン1エピソード2「かくれんぼ」のイースターエッグを中心に原作コミックの設定や今後の予想などをご紹介していきます。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
ゴミ箱の謎
クリントとケイトが話が終わり、移動する際に画面に残るゴミ箱の落書きは奇妙です。
日本語で「アキナ」と書かれているように見えますが、マーベルコミックにアキナというキャラクターは見つかっていません。「ア」の左側には縦棒があるように見えますし、「キ」もニアイコールの記号かもしれず、たまたまカタカナのように見えるだけとか、制作陣にアキナという名の日本人クルーがいるという可能性も考えられそうです。
©2021 MARVEL,Disney
22歳の自警団
ケイトの家に到着した二人。ケイトはローニンのスーツを着て悪者を殴り、犬を助けて、軽い不法侵入したと説明するとクリントは「22歳の自警団か」と漏らします。
自警団とはヴィジランテ、一般的な英単語でもありますが、マーベルコミックにおいてはデアデビルなど、法律の外での正義執行人を指す場合にもよく用いられます。
トラックスーツ・マフィアの襲撃
怪我の心配をするクリントに対して、相手はもっとボコボコだと答えるケイト。「相手って、トラックスーツ・マフィア?」と言うクリントに、ケイトは「それが名前?それって見たまんま」と返します。ここは英語ではコミック同様にトラックスーツ・マフィアになっていますが、日本語の場合は字幕がジャージ・マフィア、吹替がスポーツジャージ・マフィアとなっています。意味合いはどれも同じですが、アイアンマンを鉄男と呼称しないのと同じで、わざわざ日本語訳にする必要はないのかもしれません。
クリントはケイトに「マフィアに顔を見られていないか」尋ねると、ケイトは「ずっと覆面を取らなかった」と返します。ここは英語では「like a pro.」と添えられており、プロのヒーローのようにマスクしていた事を明かします。しかしクリントはこのスーツが彼らに恨まれている事を説明し、危険だと伝えます。
そうこうしているとトラックスーツ・マフィアのメンバー、イワンが外から叫ぶ声が聞こえてきます。そして火炎瓶が投げ込まれ、ケイトの家は火の海に。ローニン・スーツは後で取りに来ればいいということで、ある程度の耐火加工が施されていると考えられそうです。
犬を連れて非常口から脱出した二人は、チェンバーズ・ストリート駅から電車で移動する様子。マンハッタンのチェンバーズ・ストリート駅が最寄り駅ということは、ケイトはなかなか良い場所に住んでいると言えそうです。
アベンジャーズタワー
アパートを脱出した後、物資の調達をすると言うクリントに、ケイトは「アベンジャーズの物資」への期待を膨らませます。残念な事に「スパイダーマン:ホームカミング」でバルチャーが狙ったような物資はひとつもなく、市販の消毒液や綿棒といったものでがっかりする様子のケイト。しかしこの後、アベンジャーズタワーに行くのではないかともう一度期待するも、「あれはもうトニーが売ってしまった」と再度がっかりしてしまいます。
件のタワーは2012年、スタークタワーとして建てられたものですが2014年「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」ではアベンジャーズタワーとして改築されていました。その後、ウルトロン事件を経て、2016年を描いた「スパイダーマン:ホームカミング」では引っ越しの様子が描かれ、ラストシーンでは新たな建物になっていました。
アベンジャーズタワーがあった場所はコミックでも様々な人物に所有権が渡っており、MCUでも今後登場予定のヒーローやヴィランが既にオーナーになっている可能性がありそうです。
実はこのタワーの新たなオーナーが誰なのか、本作のプロデューサーのトリン・トランさんは「全てのファン理論が聞きたいです」と話しています(外部記事 )。そして、ファン理論ではファンタスティック・フォーのリード・リチャーズや、グリーンゴブリン/ノーマン・オズボーンなどの名前がよく挙げられています。
モイラ・ブランドン
アベンジャーズタワーはもうないと言うことで、ケイトの隠れ家に向かう事に。そこはケイトのおば、モイラ・ブランドンの部屋でした。冬はフロリダに行っていて不在との事。なお、モイラ以外の名前はマーベル・コミックのライターやアーティストの名前が並んでいます。
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このモイラ・ブランドンはコミックにも登場している人物ですが、ケイト・ビショップの親戚ではありません。しかし、モイラは元ハリウッドスターで、ウェストコースト・アベンジャーズに基地を提供した人物としてケイトとは接点のあるキャラクターです。
ちなみにMCUのモイラも俳優である様子が自宅に飾ってあるポスターからもわかります。少しあとのシーンになりますが、ポスター左上に大きく名前が書かれていることから主演俳優であることは間違いなさそうですが、この映画「CREATURE of the DARK GALAXY」がどの程度の規模のタイトルかは不明です。もう一人の主演俳優の名前になっているルーク・バラードはマーベル・スタジオのVFX技術者の名前です。
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ローニン・スーツの回収へ
ケイトをモイラのアパートへ送り届けると傷の手当をするよういいつけ、すぐさま現場へと戻るクリント。ケイトのアパートはすでに消防車や警察が来て消火活動の最中でした。
クリントは元S.H.I.E.L.D.のエージェントらしく、自然に消防服を拝借して着込むと堂々と正面から入っていきます。しかし現場でスーツは見つからず、消防車に貼られた「NYC LAPERS」のステッカーに何かを感じるのでした。
ケイトと合流
モイラのアパートに戻ったクリント。ケイトは犬をピザ・ドッグと呼びますがこれは爵位のようなもので名前はまだないようです。
そしてケイトの傷の手当がなっていないと言うことで、クリントがレクチャーしながらやり直す事に。初代ホークアイのクリントが二代目ホークアイのケイトの手当を行うのは、映画「ブラックウィドウ」で初代ブラックウィドウのナターシャが二代目ブラックウィドウのエレーナの手当をしていたシーンとオーバーラップします。
手当のあと、「NYC LAPERS」 を検索すると出てきたSNSアカウントの中にグリルス という男がローニン・スーツを持っているのを発見。グリルスは「お前はもう死んでいる」と「北斗の拳」のケンシロウの決め台詞を放っていますが、英語版でも英語版ケンシロウの台詞「You’re already dead. 」で決めています。ちなみにグリルスもまたローニンのことを忍者スタイルと呼んでいますが、実際の所、浪人は武士であり忍者よりも高貴な階級です。
翌朝、事件の後始末のために3人の子供を空港へと送り出す事に。娘のライラはクリントの傷が心配な様子。「クリスマスまでに必ず帰る」とフラグを立てつつ見送ります。
目撃されていたケイト
子供たちを見送り、隠れ家に戻ったクリント。ラッキーは朝からピザを食べています。
ニュースではアーマンド邸から逃げていくローニンの姿が目撃され、オークション会場爆破にも関与している可能性があると報道されており、ケイトは焦りを隠せません。
クリントはそんな状況でも母の会社に行く必要があるというケイトを送り届けることに。ニューヨークの街を並んで歩く中で、クリントが補聴器をつけている理由が(視聴者にだけ)説明されます。大まかにはコミックと同じで、戦いの中で難聴になっていった事が判明します。
そんな中、「ヒーローだ」と喜ぶ子供の声に立ち止まるクリントとケイト。挨拶しに行こうと駆け出す子供でしたが、ホークアイに気づくことはなく、目線の先にはコスプレ集団がいました。
アントマンの横にいた弓を構える女性を「あれあなたよ」とフォローするケイトでしたが、クリントは「あれはカットニス・エヴァディーンだ」と否定します。カットニス・エヴァディーンは小説「ハンガー・ゲーム」の主人公で、実写映画された際には映画「X-MEN」シリーズでミスティークを演じたジェニファー・ローレンスさんが演じ、弓を構える姿が印象的でした。
ケイトはホークアイのブランディングについて助言をするものの、クリントは聞く耳もたず。今日の予定が順調に終わればもう会うことはないというクリントに、ケイトはまだ尾行の巻き方しか教えてもらっていないと食い下がります。
なんとか電話番号の交換を済ませますが、クリントは「緊急時だけ」とキャロル・ダンヴァースがニック・フューリーに言ったのと同様に言います。英語ではさらに「or I’ll block and delete you.」(さもなければブロックして消す)と釘をさしています。
ビショップ・セキュリティ
ケイトが「職場」と話していたのは母エレノアが経営するビショップ・セキュリティ。
エレノアの部屋に入ったケイトを待っていたのは、母だけではありませんでした。エレノアの再婚相手ジャック・デュケインはおじが亡くなった割には元気そうで、今晩もエレノアと食事の約束をしていると言います。「特別な関係だった」というアーマンドと何があったのか、今後の注目ポイントとなりそうです。
ケイトはいまいちジャックを信用しきれない様子で、食事中の話題は自分が決めるという条件で、食事会への参加を承諾します。
その後ケイトは緊急連絡用と言われていた電話番号にテキストメッセージを連投。その直後に着信がりも、出てみるとその相手はニューヨーク市警のカードル刑事 でした。カードルはコミックにも登場するケイトと因縁の深い刑事さんです。コミック版はハゲでもっと年のいったベテランといった感じのヴィジュアルですが、MCU版は少しイメージが違うようです。
ラーパーズ
ケイトと分かれたクリントは「NYC LAPERS」のイベント会場へ。LARPとは Live Action Role Play の略で日本では「ライブRPG」とも呼ばれているものです。テーブルトークRPGを一段階進歩させたようなもので、普通の服のままダイスを用いて遊ぶものから、本作に登場するもののように、衣装などを用意して本格的に世界観をつくって楽しむものまで様々です。
会場に到着したクリントはすぐにローニン・スーツを持ち去った人物を発見しますが、LARP用のコスチュームを着ていないクリントは門前払いとなっていまいます。仕方なくゲームに参加することにしたクリントですが、登録にあたって何も情報を明かしたくない所はS.H.I.E.L.D.エージェントの名残なのでしょうか。なお、参加者は西洋の騎士やヴァイキングなどの衣装の他に、忍者、侍など和風スタイルの人たちも見かけれます。「富治林」というのぼりが立っているのは謎のひとつです。
スーツを着ているグリルスに返すように言うと、決闘裁判をしてわざと負けてくれたら返すと懇願してきたため、またもや仕方なく応じることに。約束どおりローニン・スーツを返してくれたグリルスですが、別れ際にあらためて自己紹介。
グリルスはコミックに登場するクリントの隣人と同じ名前ですが、コミックのグリルスは消防士ではないので同じ人物と考えていいのかは難しいところです。
ところで消防士が火災現場から物を持ち去るのは禁止であり、日本では犯罪行為であり懲戒免職です。もちろん、消防士でなくとも火事場泥棒は当然犯罪です。
スーツを回収したクリントは妻ローラに電話し、帰りが明後日になる事と、トラックスーツ・マフィアとケリをつけることを伝えます。ローラが「またあいつらなの」という所を見ると、視聴者が思っていた以上に因縁が深いようです。
クリントがトラックスーツ・マフィアを「おびき寄せる」と話すと、ローラは「ナターシャの得意技」と答えます。クリスマスまで残り5日、クリントの新たなクエストが始まります。
ディナー
約束していた夕食会でケイトは刀剣愛好家というジャックとフェンシングで一戦交えることに。
しかしケイトはジャックが手を抜いている事を見抜き、不意打ちを仕掛けるとジャックは超反応でさばいてしまいます。この事がケイトの疑念を更に増幅させてしまいます。ケイトは、アーマンドがエレノアを脅した夜に剣で殺された事でジャックを疑っています。しかしエレノアは「詮索はやめなさい。大怪我する」と、それ以上何もしないよう警告します。エレノアはケイトの大学卒業後にビショップ・セキュリティで働かせたいようですが、ケイトは乗り気ではない一面も描かれます。
着替えを済ませたジャックに「大丈夫?」とエレノアが尋ねると、「大丈夫だよ。首を切り落とされそうになったのは初めてじゃない」となかなか不穏な言葉が返ってきます。そしてジャックがケイトに渡そうとしたキャンディは、第1話でアーマンド邸で見たキャンディでした。
このキャンディを見てケイトは飛び出してしまいます。しかしこれはジャックがアーマンドを殺害した事になるのでしょうか?甥がおじの家にあるキャンディを持っていてもそれほど不思議ではありません。また、ジャックが犯人だとして、現場から持ち去ったものを他人にあげてしまうのは迂闊すぎるようにも思えます。
しかし「ホークアイ」は推理ドラマではありませんから、シンプルにジャックが犯人である可能性もあるように思えます。エレノアにも脅されていた事から動機はあるでしょう。真犯人は既に登場している人物なのでしょうか?
アジト
トラックスーツ・マフィアをおびき寄せたクリント。わざと捕まって敵のアジトに行くキャッチリリース作戦はナターシャ・ロマノフが映画「アベンジャーズ」(2012年)の冒頭でも披露していました。マフィアのイワンは「生け捕りって命令だ」と言っているが、英語では「She wants him alive.」と話しており、主語が「彼女」 となっています。これはこの後登場するエコー/マヤ・ロペスの事だと考えられますが、マヤがボスなのか、その下のリーダー格なのかはまだ判明していません。
一方ケイトはアーマンド殺害に関しての手がかりをクリントに伝えようと電話しますが繋がりません。再度コールすると知らない男が電話を取り、クリントがピンチであることをケイトは悟ります。すぎにビショップ・セキュリティのサービスを利用してクリントを追跡し、場所を特定すると現場に向かうのでした。このときのユーザーネーム「bishop112012」はケイト・ビショップとラッキーが初めて登場した原作コミック「ホークアイVol 4 #2」の刊行が2012年11月だったこと示しています。
シーンが変わり、作戦通りマフィアに捕らわれたクリントがいるアジトへ。「ボスと話がしたい」と言うも話が噛み合わず、マフィアがローニン=ケイト・ビショップだと考えていることが判明します。「あいつがボスか?」と言うクリントの目線の先には1話で登場したカジがいましたが、今回も特に何もありませんでした。「ケイト・ビショップは知り合いじゃない」と突っぱねるクリントですが、当のケイトはタイミング悪く天井から落下し、二人共拘束されるのでした。
エコー/マヤ・ロペス
アラクア・コックスさんが演じるエコーが登場。エコーは、原作コミックでも人気のキャラクターで、聴覚障害をもつネイティブ・アメリカン。アラクア・コックスさん自身も耳が聞こえず、ネイティブ・アメリカンです。
エコーはコミックにおける初代ローニンでもあり、この場に3人のローニンが揃ったとも言えます。また、ローニンの名の通り刀の扱いにも長けており、アーマンド殺害の関与も疑われるキャラクターのひとりです。
そしてイングランドのデペッシュ・モード氏による「Christmas Island」(1986) というインストゥルメンタルが流れ出し2話が終了します。不穏な曲調ですが、これもクリスマス関連の曲になっています。
6話中2話が終わった「ホークアイ」。本作のヴィランであろうエコーとカジは登場しただけでまだまだ未知数となっています。二人はコミックではキングピンの部下ですが、果たしてキングピンも登場するのでしょうか?そしてコミックではヴィラン寄りのエレノアとジャックも今の所大きな動きはありません。
さらにクリントを暗殺しにくるであろうエレーナは未登場となっており、3話以降でこれらの勢力がどう動くかは注意が必要です。
ドラマ「ホークアイ」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第3話は 2021年12月1日 配信予定です。