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【ネタバレ】映画「マーベルズ」のネタバレ有り解説感想など雑記

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マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「マーベルズ」が劇場公開され、鑑賞してきたので感想やポイントの解説などを書き連ねていこうと思います。感想を簡単に述べておくと「楽しくて後味すっきり目」という所でしょうか。これ以降はネタバレが含まれていきます。

※これより先は「マーベルズ」のネタバレを含んでいます。ご覧の際はご注意ください。

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MCU史上最短の映画

本作のランタイムは 1時間45分 ほどで、MCU史上最短の映画となりました。監督は2時間以内におさめたいと言うポリシーがあったようです。最短とはいえ標準的な映画のランタイムであり、必要な要素は盛り込まれています。

「キャプテン・マーベル」公開時同様に女性差別的なレビュアーの投稿や感想動画なども多く見かける本作ですが、一部急な脚本進行があるもののコメディやエモーショナルなシーンのバランスもよく、楽しい映画に仕上がっていました。その分「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」や「アベンジャーズ/エンドゲーム」のようなピリつくような感覚はないため、殺るか殺られるかのような映画が好きな方には少し退屈かもしれません。

三人のアンサンブル

キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース、モニカ・ランボー、ミズ・マーベル/カマラ・カーンの即席チーム「マーベルズ」は劇中で起こってしまう入れ替わり現象によって独特なアクションは他のMCU作品ではなかなか見られません。代替できそうなのはドクター・ストレンジでしょうか。ハリウッド作品では比較的珍しいヒーローのトレーニングシーンなどもあり、オタクを自称するニア・ダコスタ監督の日本的な感性も出ているようです。

カマラのムードーメーカー感も良く、「ワンダヴィジョン」でも示唆されていたキャロルとモニカのギクシャク感を包み込む包容力を見せてくれました。それもあってかチームは一貫して団結感があり、ソーとハルクがしょっちゅう喧嘩をしていたアベンジャーズや、スターロードの言う事を誰も聞かないガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとはまた違ったチームカラーを見せています。

キャロルの自責や後悔

今回の事件の発端として、また、キャロルが地球にほとんど戻らなかった理由について今回描かれています。

映画「キャプテン・マーベル」のあと、ハラまで出向いてスプリーム・インテリジェンスを破壊していたようです。A.I.の支配から解放してあげようという気持ちで行ったようですが、これによって様々なバランスが崩れ、惑星ハラは滅亡の危機に瀕していました。

人助けをする一方で多くの人を苦しめてしまった事実がキャロルと地球を疎遠にさせていた事が判明しましたが、これもモニカとカマラによって受け止められるようになりました。

ヒーローのダー・ベン

本作のヴィラン、ダー・ベンはハラ出身のクリー人でキャプテン・マーベルによって滅びかけている星の再生と破壊者キャプテン・マーベルへの復讐を目的、動機として動いています。かつてスターフォースにも所属していたようで、スターフォースはクリーにとってのアベンジャーズのようなヒーローチーム。愛国心をもって行動しているダー・ベンはクリー人にとっては間違いなくヒーローでした。

とは言え彼女が民に敬愛されている様子はなくはないですが、あまり描かれる事がありませんでした。ダー・ベンに共感しすぎると結末の意味合いが変わってしまう可能性もあるので、そうさせないために敢えてヒーローの側面を削ったような印象もあります。

グースも活躍?

グースと子フラーケンたちも大活躍。しましたが、ここの脚本はちょっと弱めでした。フューリーの卵に対する危機感が低すぎた所はちょっとご都合感を覚えずにはいられません。また、避難であればもう一度ヴァルキリーに連絡してビフレストで繋いでもらっても済んだ事でした。

とは言えたくさんのフラーケンに追いかけられて飲み込まれていくS.A.B.E.R.クルーたちのヴィジュアルは面白く、多少強引にやっただけの価値はあったと思います。

MCUとしてのフリ

最後には以前からの噂どおり、ヤングアベンジャーズに繋がる部分とX-MEN関連の映像がありました。

(征服者ではない)カーン一家が引っ越しした後、カマラが向かったのはニューヨーク。暗闇の中でケイト・ビショップの帰宅を待っていました。そして「自分だけが子供(Kids)のスーパーヒーローだとでも?」と「アイアンマン」のポストクレジットシーンのフューリーのセリフを真似ています。

「子供?」と聞き返すケイト・ビショップは「23歳なんだけど」と答えたことで、「ホークアイ」当時22歳だった事から約1年後であるとわかります。「ホークアイ」は2024年のクリスマス、「シークレット・インベージョン」が2025年のロシアの祝祭である 11月4日 が含まれていたので、それ以降か2026年初頭あたりが「マーベルズ」の時系列となりそうです。

フューリーがアベンジャーズを集めた事を真似ている事から、カマラはやはりコミックのヤングアベンジャーズをベースにした若手チームの結成を目指している事が伺えます。

ミッドクレジットシーンでは別のマルチバースに飛び込んでしまったモニカが病室で目を覚ます映像。X-MENのバイナリーとビーストによって看護され、プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアが存在する世界でもあるようです。マリア・ランボーはEarth-838でキャプテン・マーベルとして活躍しており、やはりヒーローとしての資質が高いようです。

どちらも後続のプロジェクトとの繋がりが楽しみな部分ですが、一方でMCUの締めの決まり文句である「マーベルズは帰ってくる」がなかったように思います。鑑賞したときの劇場の照明が気持ち早く点けられたので、字幕が飛んで見落としたのかもしれません。それかモニカがひとまず離脱した事が原因でしょうか。

疑問も多い

全体的に楽しかった一方で、「シークレット・インベージョン」には驚くぐらい触れられることがありませんでした。これに関しては別途まとめた記事をご参照ください。

クリーの母艦に残されたマーベルズの三人はダー・ベンの目的地をアラドナと予想し、先回りして危険を伝えます。しかしどうやってジャンプポイントを自在に作り出せるダー・ベンより早く到着したのでしょうか。キャロルの小型艇ぐらいしか通れない自然の小さなジャンプポイントが都合よくあったと考えて納得するしかありません。

そして、ダー・ベンのハラ再生計画はかなり大雑把です。イメージ的には理解できますが、実際問題として大気と水を別の惑星から持って来てミックスしても生態系はめちゃくちゃになってしまうでしょうし、うまくいくとは思えません。

また、大気を持っていかれたターナックスが崩壊する様子は見ましたが、水を持っていかれたアラドナは結局どうなってしまったのでしょうか。キャロルのセリフからは全滅は免れないようでしたが、ジャンプポイントが水だけを選んで運んでいるわけでもないため、一滴も残らないという事はないはずです。水がなくなれば酸素も減っていくことになるのでいずれにしてもアラドナ人は絶滅に追い込まれていきますが、全員が即死というわけではなく救助の余地があるはずです。

アラドナのシーンは楽しく、ヤン王子もいいキャラクターだっただけに全滅したとするのは残念の一言です。

カマラの腕輪も謎が多くありました。ダー・ベンはキャプテン・マーベルのエネルギーを腕輪で吸収し放出して攻撃していましたが、カマラはそれをなぜ吸収しかえさなかったのでしょうか。2つの腕輪が同一の能力なのか、異なる能力を宿しているのかに言及はありません。

くわえて、腕輪がなくてもカマラはハードライトを扱えていました。宇宙空間を漂うキャロルとダー・ベンが残した2つの腕輪を大きな光の手で回収しています。カマラにとって腕輪はピーター・パーカーを噛んだ蜘蛛と同じ存在で、ただの引き金という事でしょうか。

でも良かった

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」でメイおばさんが殺されて以降、MCUの映画は重要キャラの死がつきまとっていました。「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」、「ソー:ラブ&サンダー」、「ブラックパンサー:ワカンダフォーエバー」いずれもそうでした。「アントマン&ワスプ:クアントマニア」のM.O.D.O.K.はいいとしてもアントマンシリーズに期待したコメディ感はほとんどなく、カーンの危機感が強すぎて暗いトーンの映画でしたし、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Volume 3」もロケットの状態にハラハラしすぎて「ホリデースペシャル」との落差も激しく、楽しいどころではありませんでした。

そういう意味ではフェーズ1の頃のような安心感のある楽しいヒーロー映画といった感じでした。次の劇場作品は「デッドプール3」の予定で、延期が決定してしまいましたが楽しみである事に変わりはありません。

映画「マーベルズ」は 2023年11月10日 より劇場公開中です。

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管理人ミルク

アメコミと出会ってはや20年以上、初めて買ったマーベル・コミックはオンスロート。X-MEN vs STREET FIGHTERではシリーズを通してマグニートーを愛用。