2022年4月13日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ムーンナイト」シーズン1エピソード3「The Friendly Type.(邦題:エネアドの決断)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
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レイラの偽造パスポート
偽造パスポートの制作シーンから始まる3話ですが、名前がレイラ・アブダラ・エル・ファウリーとなっており、クレジットに表記されているレイラ・エル・ファウリーにアブダラを足しただけとなっています。他人になりすますためのパスポートではなく、正式な手段では発行不可の状況下にあるために自力で制作したパターンも考えられるかもしれません。誕生日は西暦が違うものの、演者であるメイ・キャラマウィさんと同じ10月28日に設定されています。
なお、発行年が2021年に設定されており、これはサノスの指パッチンで世界の半分が消えていた時期になりますが、そもそもが偽造データであるため、これだけではレイラが生き延びていたかどうかを判断する事は出来ません。
ここではレイラが闇市場に流れた盗品を盗み返して元の持ち主に返すビジネスをしていたことも判明します。ただの考古学者ではない、2話での格闘シーンでの強さとつながるような背景となっています。
©MARVEL,Disney
このシーンで語られた過去は2話の記事 でも紹介したコミックのマリーン・アルラウネに非常によく似ており、やはりコミックのマリーンを名前を変えて登場させているようです。
ラガロ
パスポートの偽造を手伝う女性はクレジットではFoger(偽造者)と表記されていますが、英語字幕をオンにするとLagaroと名付けられている事がわかります。コミックのラガロはダイナマンと呼ばれるヒーローでしたが、ムーンナイトとは特に関係がないキャラクターになっています。このドラマのラガロについては前職などの背景も描かれていないため、コミックから再構築されたキャラなのか偶然同じ名前になったのかは今のところ不明です。
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第3の人格
アメミットの行方を追う中で相変わらず息が合わないマークとスティーヴン。気づくと追っていたアメミットの信徒は死んでおり、どちらも覚えがない殺人に第3の人格がほのめかされます。
ちなみにコミックではミスター・ナイトも別人格でしたが、MCU版ではムーンナイト/マーク・スペクター、ミスター・ナイト/スティーヴン・グラントと切り分けているようで、次の人格が3つ目となります。
マークも認知していない人格が出てきた事で物語のさらなるミステリアスな展開に期待がかかります。コミックではタクシー運転手のジェイク・ロックリーという人格も有名で、ジェイクもなかなか攻撃的な性格ですが、信徒を殺している所からみてかなり物騒な人格が隠れているようです。
第3の人格がアメミットの信徒だったら面白いかもしれません。そうであればチンピラ信徒を殺して口封じしたのも納得行くものですし、2話でマークがスカラべをうっかり落としてしまったのではなく、第3の人格がアーサー・ハロウのほうへ投げてよこしたとも受け取れそうです。
エネアド
マークは他の神々に協力を頼めないのか発案しますが、コンスはまずい作戦だとしつつも他に手がなく、エネアドを招集する事になります。
1話でもエネアドに言及するシーンがありましたが、やはりコミックどおりに彼らは実在する神々であり、エネアドのアバターが世界中に散らばっている事、ポータルで移動できる事も明かされました。
ハトホル
ポータルの先はギザの大ピラミッドに通じており、マーク達はそこでハトホルのアバターであるヤツィルに出会います。愛と音楽の女神と自己紹介するハトホルはマーベル・コミックではコンスやバーストの異母兄弟として描かれています。エジプト神話的にはテーベ(こちらがコミックの原型)とコム・オンボでは少し差異があり、コム・オンボではハトホルはコンスの母とされています。どちらにしても家系図的にはかなり近い関係にある二人であり、今後の鍵をにぎるキャラクターになるかもしれません。
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集会
出席者はホルス、イシス、テフヌト、オシリス、ハトホルたちのアバター5人。ワカンダで何か忙しいことがあるのかバースト(バステト)は参加しませんでした。ここではコンスがエネアドを危険に晒したことが原因で追放された事が判ります。
人を見捨てなかったと主張するコンスに対してエネアドたちは「人が神を見捨てた」と反論し、人々の注目を集めないようにアバターを通して人間界での任務にあたっている事を説明します。
なお、イシス、オシリス、ホルスは彼らが初登場したコミック「Thor #239」(1975年) にてソーと出会っています。映画「ソー:ラブ&サンダー」にて神殺しのゴアに狙われないことを祈るばかりです。
オーバーヴォイド
エネアドたちの住む世界は1975年のコミック「Thor #240」で登場し、セレスティアル・ヘリオポリスとして紹介されました。また、2016年のコミック「Moon Knight #10」ではオーバーヴォイドという名で紹介されています。
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エターナルズたちが地球の危機に介入しなかった理由については映画内で説明がありましたが、エネアドが介入しなかった具体的な理由については今のところ不明です。このポイントも今後の課題になるのでしょうか。
告発
コンスはアーサー・ハロウがアメミットの復活を目論んでいると説明し、エネアドはアーサーをその場に召喚しました。アーサーは「アメミットの墓を探していたのはコンスのほうだ」と反論し、嘘つきの神とその病んだ下僕に耳を貸さないよう忠告します。
最終的にコンスの告発は受け入れられず、アーサー・ハロウは無罪を告げられるのでした。
コンスはソーやロキと同じく神と呼ばれているものの非常に感情的であり、アーサー・ハロウのほうが明らかに口が上手いというのが印象的なシーンです。元仲間である月神の言葉よりも元アバターの人間の言葉を信用してしまうエネアドとコンスの間に何があったのか、具体的には説明されませんでした。今後のムーンナイトのエピソードや他の作品で明かされていくのかもしれません。
なお、このシーンではオシリスのアバターであるセリムが白いエフェクトのパワーを操っており、「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の最新予告でディフェンダー・ストレンジのエフェクトがオレンジから白に変更されている 事を気に留めておく必要があるかもしれません。
センフー
コンスの落胆を気にかけたハトホルのアバター、ヤツィルはマークにセンフーのサルコファガスを探すよう助言します。センフーはアメミットの墓の場所を知る唯一の人物で、神々がアメミットを赦した時のためにその場所を秘匿していたとの事。
センフーとはエジプト神話でSenfu、またはSneferu、またはSnefruと表記される人物で「美の担い手」であり、紀元前2613年から2589年頃まで統治していたことが知られており、ギザ台地の大ピラミッドを含む、今日もエジプトに残っている3つのピラミッドの建設を担当したとされている人物です。この歴史上の人物がアメミットの墓の場所を知っているというのは理に適っていると言えるようです。
なお、アメミットは何らかの事情で封印されているようで、ここのやり取りから察するにコンスよりも重い罰を与えられていると推測されます。しかしコミックのアメミットは取り立てて悪者というわけではなく、紀元前11世紀にタイムスリップしたニューミュータンツのマジックが発見した伝説の剣ソード・オブ・ボーンの守護を託されました。
ベックとレイラの過去
レイラと合流したマークは、彼女の情報を基にサルコファガスを持っているというアントン・モガートのもとへ向かいます。邸宅の前ではベックというリーダー格のボディガードも登場し、ベックとレイラが既に顔見知りである事も判明します。
この時、ベックはレイラに「久々の再会」である事を語りますが吹替版ではこの再会が「マドリプール以来」であるという大事な部分がカットされています。 マドリプールと言えばドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で描かれた都市。パワーブローカーことシャロン・カーターのその後が気になる所で、「ムーンナイト」にシャロンが再登場すると2021年夏に報じられた 事があります。残る3話で登場するのか、単なる噂で終わるのか注目です。
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アントン・モガート
ギャスパー・ウリエルさん演じるアントン・モガートはなかなか派手な生活をしている様子で、歴史的価値のあるものを保護のためにコレクションしていると説明します。しかし彼がマドリプールと関わっている事を考慮するとまっとうな人間とは思えず、コミックで同名のキャラクターは「ムーンナイト」誌に登場し、別名ミッドナイトマンと呼ばれる盗賊でした。そしてコミックの彼もその盗品をお金に変えるわけではなく、コレクションしていました。
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レイラの父の死
首尾よくサルコファガスを調べていた所にアーサー・ハロウも到着。ハロウはレイラの父のことも知っているようで、その語り様からは彼女の父の死はマークに責任があるようにも聞こえます。2話ではマーク達傭兵一味が考古学者たちを処刑したと説明されましたが、これにはマークの3番めの謎の人格が関与している可能性が考えられるのではないでしょうか。
ムーンナイトのスーツ
ムーンナイトのスーツに関して今回のエピソードでは「治癒力のあるアーマー」とコンスが説明していました。そして戦闘シーンではその説明通り、槍を何本も突き刺されても流血する様子もなくわりと平気なようでした。
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銃弾を防ぐわりに槍は突き刺さるなんとも説明が難しいスーツですが、あれを着用しているとある程度の傷は回復すると考えて良いようです。
協力関係
ひと悶着あったものの、サルコファガスを持ち帰ったマークとレイラはパズルに取り組みますが、なかなか完成しません。マークはアメミット復活の阻止のためにスティーヴンにコントロールを渡し、星図が完成。しかし、2000年前の夜空とは変わりすぎていて正確な墓の位置がわからないという事態に。
すると今度はコンスがスティーヴンに協力し、エネアドに「今度空をいじったら封印する」と警告されたにも関わらず、当時の夜空の再現に取り組みます。この事態にエネアドはコンスを封印するための儀式を開始、封印される寸前にレイラは墓の位置を突き止める事に成功しました。
3話のラストに来てようやくマークとコンスとスティーヴンが協力し、アメミット復活を食い止めるために行動することになりました。しかしコンスが封印された事でスーツの力も失われ、ムーンナイトに変身することは出来ません。アメミットもそうですが、コンスの開放のためにレイラとマーク、スティーヴン、そして謎の人格の協力が必要になりそうです。
ハロウの告白
ラストではセリム(オシリスのアバター)がハロウに対して「君の言ってたとおり」「こうするしかなかった」と告げて去っていきました。ハロウはコンスが封印された小さな石人形にたいして「制裁の拳を楽しんでいた」事が自らの罪である事を認め、コンスがもたらした痛みが苦痛を癒す重要性に気づかせてくれたと語っています。そしてコンスが出来なかった事を自分が成し遂げると言うのでした。
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ハロウがコンスのアバターであった事は2話で明かされていましたが、過去には何か重要な因縁が隠されているようです。マーク、レイラ、コンス、ハロウの過去が絡み合って物語は後半戦へと続きます。
おまけ
エンドクレジットでは1話から3話にかけて月が少しずつ満ちてきています。コミックのムーンナイトは満月の時にフルパワーになりますが、ドラマでも徐々に強力になっていくのでしょうか?
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なお、3話にしてようやく気づいたのですが、砂丘がコンスの顔に見えるトリックアートが含まれていました。
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ちなみに今回はQRコードが発見されていませんが、無料コミックは新しいものに更新 されています。
今回登場したアントン・モガートを演じたギャスパー・ウリエルさんは、フランスの現地時間2022年1月18日にスキー事故に遭い、翌日亡くなられた事が報道されていました 。フランス映画を中心に活躍してきたウリエルさんでしたが、本格的にハリウッドで活動しようというタイミングでの出来事で、「ムーンナイト」が遺作となりました。
今回のエピソードでアントン・モガートは砂埃の中に消えていった為、当初はその後の展開も用意されていたのではないかと考えられます。
ドラマ「ムーンナイト」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第4話は 2022年4月20日16時 より配信予定です。