ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオが共同制作するMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「スパイダーマン:ブランニューデイ」のデスティン・ダニエル・クレットン監督が、本作のヴィランのキャラクターを決定した理由、そしてセイディー・シンクさんを起用した理由について語りました。
海外メディア Deadline とのインタビューで、「シャン・チー」のクレットン監督はジーン・グレイを物語に採用した理由について次のように語りました。
ありきたりな悪役は避けたかったんです。なぜなら、この映画はピーター・パーカーの旅路そのものを描くものだったからです。彼が経験していることを反映するような悪役を求めていました。ジーン・グレイが登場する前から、ヴィランは若いテレパスだったという設定にするつもりでした。当時はまだケヴィンと話していなかったので、誰を起用できるかはっきりとは決まっていませんでした。いろいろな選択肢を検討していたのですが、ジーン・グレイは明らかに非常に良い選択肢でした。
それから私たちは、コミックに登場するジーンのバックストーリーの様々なバージョンを掘り下げ、彼女の姉について語っているエピソードを探し始めました。ピーター・パーカーの鏡像となるようなキャラクターを作り上げる上で、本当に役立つ何かを見つけ出そうとしていたのです。私たちにとって、どちらのキャラクターも明確なトラウマを経験し、愛する人を失ったという共通点がありました。
違いは、ジーンには頼れる人が一人しかいなかったのに、その人を失ってしまったことです。一方、ピーターにはメイおばさんが亡くなった後、彼を支えてくれる仲間がいました。メイおばさん自身も、ピーターが自分が他人と違うこと、そして特別な力を持っていることに初めて気づいた時、彼を温かく受け入れてくれました。彼女はいつも彼のそばにいてくれたのです。
それは後に私たちの指針にもなりました。つまり、映画全体を通してそれをどのように構築していくか、そして最終的に、ただ二人がベッドに座って話しているだけのシーンにどのように繋げるか、ということです。
ジーン・グレイというキャラクターについて話し始めた時、セイディー・シンクの名前が挙がった瞬間、「ああ、まさにこれだ!」という感じでした。「ガラスの城」(2017年のクレットン監督作品、シンクさんは主人公の姉の幼少期役)を撮影した当時、彼女はまだ14歳くらいでしたが、当時から非常に聡明で、献身的な演技力と才能に溢れた女優でした。今回の作品では、お互いをよく知っていて、皆素晴らしい俳優ばかりのキャストの中で、彼女はどちらかというと異色の存在でしたが、見事に役を演じきりました。彼女は感情表現が豊かで、プロ意識が高く、本当に感情を込めるべき場面では、見事にその役に没頭します。彼女の演技は非常に力強く、この映画を特別なものにしていると思います。
プロデューサーのエイミー・パスカルさんも Deadline との別のインタビューで、「コミックはX-MENと他のすべての作品と常に繋がっているんです」と前置きした上で次のように説明しました。
ジーン・グレイを選んだのは、彼女がX-MENの一員だったからではなく、(監督の)デスティン・ダニエル・クレットンがやって来て、「もし君たちが、テクノロジーやその他の要因によって、今日ではかつてないほど人々が孤立感を抱いている様子を描いた映画を作りたいなら――それは若者だけでなく、すべての人に当てはまることだが、特に若者に深刻な影響を与えている。誰かに手を差し伸べ、つながりを築くことが、人間にとって最も重要なことだと描く映画を作れるなら、僕にはこの映画の作り方がわかる」と言ったからなんです。
そして彼は、「これまで描いてきたような怪物ではなく、ティーンエイジャーを悪役にしたら素晴らしいと思う」と言ったんです。ピーター・パーカーについてもう一つ言えることは、最高の物語は、悪役が彼と同じように匿名性や孤独感といった問題を抱えている時に生まれるということです。これはまさに現代にふさわしい物語だと感じました。なぜなら、誰もが共感できるテーマだからです。
また、「スーパーヒーロー映画疲れ」について質問されたパスカルさんは「スパイダーマンをスーパーヒーロー映画とはあまり考えていません」とし、「共感できる映画を作れば、人々は映画館に脚を運んでくれると思います」と述べました。
「スパイダーマン5」への続投の可能性について質問されたクレットン監督は、興味があるとした上で「ピーター・パーカーには希望を持つ権利があると思います。彼は本当に大変な目に遭ってきたからね(笑)。彼が方向転換して、自分自身以外のことに目を向け、周りの人々と再び繋がりを持とうとする姿を見ると、希望が湧いてくるんです。彼がこれからどこへ向かうのかは分かりません。しかし、映画のタイトルである『ブランニュー・デイ』は、画面が暗転する時点でこの映画が到達する地点を表しているように感じています」とコメントしました。
映画のエンディングのピーター・パーカーとネッドのシーンについて、多くのファン理論が展開されている事について尋ねられた監督は、「いいですか、私たちは決して曖昧さで人々を苦しめようとしているわけではありません。画面が真っ暗になった時に残る感情は、非常に明確だと思います、私にとっては、ちょうどいい具合の喜びがはっきりと感じられ、そして画面が真っ暗になるんです。様々な説を目にしてきましたが、どれも素晴らしいと思います。とても面白いですし、自分の意見を挟んで議論を止めたくはありません」として、答えを明示しない姿勢を見せました。
「続編が作られることが分かっているので、脚本家チームでも、次に何をするか(もし決められるとしたら)について話し合いを続けるでしょう。それがこれらの映画の素晴らしいところです。ファンはとても熱心で、私たちの側も皆、あらゆる意見に耳を傾けています。」
「それは脚本家チームでも話し合ってきたことで、皆がこの映画の分析だけでなく、次の作品で何が起こるかという創造にも参加しているのは楽しいことだと思います」と締めくくりました。
エンディングでピーター・パーカーとネッドは再会し、ピーターが自己紹介をしてこれまでのシリーズで見てきた象徴的な握手をしたところでネッドは「ピーター?」と口にして終わっています。
握手をしたことでネッドは完全に思い出したのだと考えるファンがいる一方で、ネッドだけでなく世界全体が徐々に思い出し始めているという説も。別の説としてはいくつか前のシーンでMJがスパイダーマンをピーターと呼んでいるため、スパイダーマンガチオタ勢のネッドはピーターという名前を聞いて彼がスパイダーマン本人であると知った衝撃を受けているに過ぎないとも。
監督はそれらの説のどれが正しいのかの明言は避け、次回作の脚本家に委ねるとしました。
ただし、「ノー・ウェイ・ホーム」でのドクター・ストレンジの呪文の影響の詳細について、脚本家は次回作でと話していましたが、結局「ブランニューデイ」ではろくに説明されませんでした。
[nlink url=”https://mavesoku.com/mcu-spider-man-nwh-writer-explains-peters-memory/”]ピーターとネッドの再会が何をするのか、現時点でファンは答えの出ない議論を楽しむ事しか出来ないようです。
映画「スパイダーマン:ブランニューデイ」は「シャン・チー/テン・リングスの伝説」のデスティン・ダニエル・クレットン監督のもと、「ホームカミング」「ファー・フロム・ホーム」「ノー・ウェイ・ホーム」の脚本家クリス・マッケナさんとエリック・ソマーズさんコンビが引き続き執筆。後にジャスティン・クリツケスさんを追加しています。
本作にはパニッシャーを演じるジョン・バーンサルさんも参加し、ハルク/ブルース・バナーを演じるマーク・ラファロさんと、スコーピオン/マック・ガーガンを演じるマイケル・マンドさんが再登場。また、アニメ「スパイダーバース」からマーヴィン・ジョーンズ3世さんがトゥームストーンを再演し、「サンダーボルツ*」よりエレーナ・ベロワが登場。
映画「スパイダーマン:ブランニューデイ」は 2026年7月31日 より公開中です。
