2022年8月18日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「シーハルク:ザ・アトーニー」シーズン1エピソード1「A Normal Amount of Rage(邦題:普通レベルの怒り)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
ロゴ
今回もマーベル・スタジオのロゴはマイナーアップデートが施されており、映画「ソー:ラブ&サンダー」やドラマ「ミズ・マーベル」のシーンが追加されています。
大いなる力には大いなる責任が伴う
古くからの格言であり、少なくとも紀元前4世紀には「ダモクレスの剣」の引喩にあったとされるこの言葉。語感を変えながらも、コミックや映画のスパイダーマンにもよく登場する言葉であり、ジェニファー・ウォルターズはこれを引用して裁判のセリフの練習をしていました。
GLK&H
GLK&Hはコミックに登場する事務所であり、シーハルクが所属している組織です。
正式名称は Goodman, Lieber, Kurtzberg & Holliway で、一番うしろに名前がある弁護士ホールデン・ホリウェイによって創設された超人的法律専門のマンハッタンを拠点とする法律事務所です。
GLK&Hは、名誉毀損から個人的損害に対する弁護まで、さまざまなトラブルに対応。彼らの訴訟は、時間、空間、および定命の次元など、外界の領域にも及んでいますが、ドラマにどこまで反映されているかは不明です。
なお、事務所名の前部分の3人はマーベルの実在する重要人物であり、それぞれ以下のようになっています。
- グッドマン:マーティン・グッドマンさんは、マーベル・コミックスの最初の発行者。
- リーバー:スタン・リー氏の本名、スタンリー・リーバーより由来。
- カーツバーグ:マーベルコミックの原作者、アーティストであるジャック・カービー氏の本名ジェイコブ・カーツバーグより由来。
サベージ・ジェン・ウォルターズ
親友のニッキが「Now top it off with a savage Jen Walters look.」というシーンは日本語では「決め顔が必要ね」となっていますが、シーハルクは「サベージ・シーハルク」というシリーズでデビューしており、それについて言及している可能性があります。
物語終盤でもそうなっているように、ニッキはジェンがシーハルクとして法廷で大暴れするサベージ(野蛮)な姿を見たいと期待しています。
なお、このコミックは後述のQRコードにより無料で読むことが出来ます。
第4の壁
冒頭から第4の壁を破り、視聴者に経緯を説明してくれるジェン。
マーベルで第4の壁を破るキャラクターとしてデッドプールが有名ですが、シーハルクは1989年のコミックでこの能力を見せており、デッドプールがデビューしたのはその2年後の1991年となっています。
謎のデバイス
ドライブ中にブルース・バナーがスマートハルクから人間の姿に戻る事を可能にする小型装置の開発に成功した事を語っています。これは映画「シャン・チー/テン・リングスの伝説」でなぜ人間の姿に戻っていたのかを説明するものとなっています。
©MARVEL,Disney
よく見ると「シャン・チー」の頃には既に同様の装置が装着されている事もわかります。
チートス
ジェンがチートスを箸で食べる事に「さすが頭がいいな」と感心するブルース。かつてはムーンナイトを演じていたオスカー・アイザックさんがチートスを箸で食べる様子の写真が話題となったことがありました。
I’ve learned that eating chips with utensils isn’t that strange so maybe my husband Oscar Isaac isn’t a freak #loveu pic.twitter.com/ThoOvVtJ4a
— olivia wilber caswell (@oliviawilber) March 30, 2016
箸文化が定着している日本ではスナックを箸で食べることは珍しくなくなっていますが、欧米圏ではまだまだ天才の発想として扱われるようです。
チェド
チートスの流れで明かされたブルース・バナー、ジェニファー・ウォルターズたちのもう一人の天才親族チェド。
コミックには登場した形跡がない、MCUオリジナルのキャラクターのようです。一部メディアでは2話以降に登場するとも報じられていますが詳細は不明です。
キャップ童貞問題
長らくファンの間で議論されていたこの問題にジェンがメスを入れていきます。ここのシーンは公式クリップとして事前に公開されていたため、既にご存じの方も多かったかもしれません。
この直後に二人は交通事故にあい、話題は強制終了となりました。
サカールの宇宙船
キャップの話で盛り上がる二人の眼前に突如現れたのはサカールの宇宙船。
映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」に登場したグランドマスターが乱行パーティー用に使っていた小型レジャー宇宙船コモドールと同機種の宇宙船ですが、グランドマスターの特注用ではなく一般機のようです。
シーハルクの誕生
事故によって出来た傷口からブルースの血液が入ってしまった事でジェンはシーハルクの能力を手に入れることになった、というのがMCU版の起源になっています。
血液による感染という意味ではコミック版と同様ですが、コミックの場合は交通事故ではなく、ヴィランに銃撃され重体になり、他の親族を待つ余裕もなく急遽ブルースの血液を輸血したことが原因でした。
QRコード
今作でもQRコードが仕込まれており、今回のエピソードでは事故後にジェンが訪れたスポーツバーに登場。アクセスすると公式サイトに飛び、シーハルクの無料コミックが読めるようになっています。
©MARVEL,Disney
なお、このバーの黒板にはスパイダーマンの象徴であるアベンジャーズマークやクモ、ミズ・マーベルのシンボルマークなどが描かれています。ただし、ディズニープラスのMCU時系列によると「シーハルク」は「ムーンナイト」と「ミズ・マーベル」の間に設定されている事から、これはミズ・マーベルの誕生がここまで伝わっているというクロスオーバー的な描写ではなく、深い意味のないイースターエッグにとどまっている事を裏付けているようです。
©MARVEL,Disney
トニー・スタークの遺産
見知らぬ部屋で目覚めたジェンは枕元にあったレッド・ツェッペリンのTシャツに着替えてあたりを探索。このシャツはトニー・スタークが残したものである可能性が高いようです。トニーはこれまでにブラックサバスなど多くのバンドTシャツを着用しており、「マイティ・ソー/バトルロイヤル」で惑星サカールでハルクからブルースに戻ってしまった際も、ソーがトニーが残していた服をブルースに着させていました。
そして、ジェンは「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」に登場したアイアンレギオンらしき頭部も発見しています。ここではアベンジャーズのテーマ曲の一部が流されています。
スマートハルク
ブルースとハルクが融合した状態をスマートハルクと作品内で明示したのはこれが初めて。
これまでマーベル・スタジオの監督や脚本家たちがこの融合状態をスマートハルクと呼んでいた事でほぼ定着していましたが、コミックではこの状態をプロフェッサーハルクと名付けているため、しばしば議論となっていました。
スマート(天才)の名前に少し引くジェンに「僕がつけたんじゃない。名前は勝手につけられるものなんだ。」と説明しています。
世間が呼称した「ナイトライト」の名前を無視して「ミズ・マーベル」を名乗ることにしたカマラ・カーンとの今後の対話が気になる所です。
ビーチハウスラボ
ジェンが目覚めた場所はトニー・スタークが作ってくれたというメキシコにあるビーチハウス・ラボ。「アベンジャーズ/エンドゲーム」に登場したブルース・バナーがスマートハルクになっていたのはここでの研究の成果のようです。
事故のきっかけ
事故直前に見た宇宙船について質問するとブルースが「サカールの宇宙船だ」と答えますが、英語と日本語で異なっています。
©MARVEL,Disney
英語では「クラス8」クーリエクラフトとしているのに対して日本語では字幕、吹替ともに「クラスA」とされています。翻訳家がエイトとエーを聞き間違えたという単純なミスなのでしょうか。
それはさておき、この船は今後のハルクのソロ・プロジェクトに関わってくる可能性が大いにあるかもしれません。
スマートハルクは「ハルクには妙なものが近寄ってくる」と発言していますが、コミックではハルクはサカールで結婚し、息子を授かっています。MCUとコミックではハルクがサカールに行った経緯がかなり異なっていますが、MCUではサカールに2年間ハルクとして滞在していた間の記憶がブルース・バナーにはありませんでした。つまりブルースが認識していないハルクの息子スカーがMCUにもいる可能性は十分に残されていると言えます。
腕の治療
ブルースの腕はジェンの血をもとに完治したようです。詳しいことは語られませんでしたが、かつてのようなパワフルな姿を今後また見られることに期待がかかります。
15年
ジェンがハルクを適応させるために「だいたい15年かかるだろう」というブルース。
ハルクとブルース・バナーのこれまでについて年表にすると以下のようになります。
- 2005年:米陸軍のサディアス・ロス将軍のもとスーパーソルジャー計画の再開が執り行われ、ロスからの依頼で実験に参加したブルース・バナーがガンマ線の実験事故でハルクに。そして逃亡生活へ。
- 2008年:映画「インクレディブル・ハルク」公開の年。
- 2010年:映画「インクレディブル・ハルク」の物語の主要な時系列。
- 2015年:映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のラストで地球を脱出しサカールへ。
- 2017年:映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」にてサカールの闘技場のチャンピオンとして登場。ウルトロン以降ブルース・バナーに戻れなかった事が明かされる。
- 2018年:映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」冒頭でのサノスとの戦いに敗れたハルクはブルースの内にひっこみ、変身出来なくなる。サノスの指パッチンが行われ、宇宙をさまよっていたトニーとネビュラがキャプテン・マーベルによって地球へ帰還を果たす。
- この間にラボが建設され、スマートハルクへの融合を果たす。
- 2023年:トニーの命と引き換えに過去から来たサノスを倒す。
- 2025年:ドラマ「シーハルク」の主要な時系列。
最初に変身したのは2005年であり、スマートハルクへと融合出来たのが2018年から2023年の間、つまり13年から18年ほどかかっている事になります。
ハルクの記録があるからジェンは少し早く達成できるだろうと前置きしての「15年」という発言からすると、「エンドゲーム」の2023年の直前にやっと融合を果たせていたのかもしれません。
インサイド・ヘッド
MCUの世界にピクサーが存在している事が明らかになりました。ジェンは映画「インサイド・ヘッド」を見たことがあるようで、登場人物のビンボンに言及しています。
過去にはスパイダーマンにてスター・ウォーズが取り扱われた事もあり、ディズニー関連以外にも「エターナルズ」ではスーパーマンに言及されたり、「アントマン&ワスプ」ではキティちゃんが登場したり、「ミズ・マーベル」では任天堂のキャラクターや商品について言及されました。
もとに戻るタイミング
ブルースはハルクから人間に戻るタイミングとして以下のような事を過去の体験から引用しています。
- ジェットから落ちる :映画「アベンジャーズ」
- ナターシャが子守唄を歌ってくれた:映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」
- ロボット(ハルクバスター)にノックアウトされた:映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」
ヨガと実践トレーニング
マインドフルネスを学ぶためのヨガは実際にブルースが「インクレディブル・ハルク」でも行っていました。しかしながらジェンはヨガに向いていないようで全く集中できずにやりかたを変える事になります。
実践トレーニングで紹介されるハルクの必殺技のうちサンダークラップはコミックでも使用している技で、「インクレディブル・ハルク」においても使われています。シーハルクはこれを連続使用することで、「インクレディブル・ハルク」でハルクを苦しめた音波兵器を再現し反撃しました。
バー
トニー・スタークと二人で作ったというバーは二人のイニシャルが彫られている他、サカールの土産物なども飾り付けされています。
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実践トレーニングで壊れてしまったこのバーはブルースとジェンで立て直すはめになり、あらたにジェンのイニシャルを追加します。
もともとトニー・スタークは「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」の頃からビーチでマルガリータを飲むブルース・バナーを思い描いていました。ウルトロンとアイアンレギオンの開発に成功すればアベンジャーズやヴェロニカ(ハルクバスター)も不要になり、ブルース・バナーは緑色ではなくビーチでこんがり小麦色になれるとトニーは考えていたのです。
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残念ながらウルトロン計画は失敗に終わりましたが、ブルース・バナーがくつろぐためのラボとバーは実現させていました。
タイタニア登場
メキシコのブルースと別れ、法廷に戻ったジェンの前に、コミックのシーハルクの宿敵ティターニアが登場。MCUの日本語版はタイタニア表記でいくようでクレジットでもタイタニアと記載されています。
コミックのティターニア/メアリー・マクファーレンはドクター・ドゥームの改造手術によってパワーを獲得したヴィランであり、今後のエピソードで彼女の起源について注目となっています。コミック版のティターニアについては以下の記事をご参照ください。
[nlink url=”https://mavesoku.com/marvel-studios-she-hulk-jameela-jamil-villain/”]クレジットシーン
ミッドクレジットシーンでは事故で中断されたスティーブ・ロジャースの話題に戻り、「アメリカのケツ」にも言及しつつ、スティーブが1943年に慰問ツアーで出会った女性に童貞を捧げた事がわかります。
この女性について、古くからスティーブの相手として候補にあがっている女性が再び話題になっています。
「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」に登場した少し印象に残る女性。切り抜き動画の2:30秒ごろに登場するローラ・ハドックさん演じる名前のない女性は以前からスティーブの相手として議論されているキャラクター。
ローラ・ハドックさんは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でスターロード/ピーター・クイルの母親メレディス・クイルも演じており、「ザ・ファースト・アベンジャー」に登場した女性はメレディスの母親で、スティーブ・ロジャースがピーター・クイルの祖父にあたるのではないかという考察もありました。
このファン理論についてジェームズ・ガン監督は「1943年にキャップと出会ったローラのキャラクターは、若すぎることになります。メレディス・クイルは50年代後半から60年代前半の生まれです。」と否定。祖父スティーブ・ロジャースー孫ピーター・クイル説は年齢的に合わないと説明しました。
©MARVEL,Disney
True. In that case Laura’s character who met cap in 1943 would be way too young. Meredith Quill was born in late 50’s/early 60’s. https://t.co/ciBEWSX1SO
— James Gunn (@JamesGunn) August 19, 2022
そこでファンは新たに「ザ・ファースト・アベンジャー」で見た女性はメレディスの母の姉である可能性や、そもそもスティーブとピーター・クイルが親戚がどうか抜きにして、彼女が初体験の相手だという考察について議論を交わしています。
なお、今回のエピソードを視聴したスティーブ・ロジャース役のクリス・エヴァンスさんはSNSでリアクションしています。
今回のエピソードのゲストはハルクという事で、シーハルクのオリジンについて迫る内容になっていました。ブルース・バナーは兵器として血液を求められた過去の出来事や、その後の苦悩体験をもとに、いとこのジェンに対してメンター的ポジションを取りますが、当の本人はヒーロー活動に全く興味がなく、弁護士として人を救う道を選択します。
サカールの船が訪ねてきた理由が本シリーズで明かされるかは不明ですが、タイタニアが法廷に乱入してきた理由は次回以降に期待です。
ドラマ「シーハルク:ザ・アトーニー」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第2話は 2022年8月25日 配信予定です。