マーベル・スタジオが制作したドラマ「ワンダヴィジョン」や映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」でスカーレットウィッチ/ワンダ・マキシモフを演じたエリザベス・オルセンさんが、海外メディア VanityFair とのインタビューの中で、ドクター・ストレンジ2作目映画の制作の際に問題があった事を認めました。
数ヶ月に渡る憶測の末に、エリザベス・オルセンさんは「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の脚本家が「ワンダヴィジョン」を見ていなかった事を認めています。
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」では、「ワンダヴィジョン」と同じような物語を描いているんです。悲しみや喪失に対処する同じようなストーリー。ふと、「マルチバース・オブ・マッドネス」を書いた作家たちに『「ワンダヴィジョン」で何をやっているか知ってます?ご覧になりました?』と聞いてみたんです。すると「まだ終わってないから、見てないよ」と言われたんです。
そして、同じような話をもう一度演じなくてはならない事について、オルセンさんは次のように対処したと明かしました。
結局、私自身が興味を持てるように、そしてもしかするとお客さんのためにも、同じテーマであってもきちんと挑戦しなくてはいけない。試行錯誤して違う視点から演じたからこそ、繰り返しは避けられたと思っています。
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」もヒットしたMCU映画のひとつですが、その中にある最大の批判ポイントは「ワンダヴィジョン」の9話にわたって描かれた救済の物語がなかったかのように、想像以上に残忍なヴィランとしてワンダが戻ってきた事でした。
当ブログでも映画公開後間もなくに「なぜワンダはあんな事になったのか」として考察し、ダークホールドのせいだろうという事で結論づけましたが、映画の脚本を担当したマイケル・ウォルドロンさんもその後のインタビューにてダークホールドのせいであると指摘し、彼女の持つトラウマがダークホールドの餌食になってしまったと説明しました。また、パンデミックによる作品の公開順の変更が脚本制作に影響したことも明かしています。
ウォルドロンさんは映画公開後、批判に対して様々な説明をしてきましたが、今回エリザベス・オルセンさんによって明かされたように結局は「ワンダヴィジョン」を見ていなかったという事に尽きるようです。
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」でのワンダは「ワンダヴィジョン」を見た視聴者からも、未視聴の観客からも理解出来ない存在として登場しました。ダークホールドがいかにしてワンダを闇堕ちさせたかを描いていれば納得の行く物語になったかもしれませんが、映画開始の数分でワンダがヴィランである事が判明し、その後はジェットコースターのような展開で有無を言わせない作りになっているのはサム・ライミ監督の手腕といった所でしょうか。そのライミ監督も海外メディア Rolling Stone とのインタビューで「ワンダヴィジョンを全ては見ていません。重要だと言われたシーンをいくつか見ただけです。」と応えている他、MCU映画も4、5本しか見たことがない事を明かしています。
つまる所、ファンが不満に思っていた部分は「ワンダヴィジョン」と「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の間でうまくバトンが渡されていない事が原因でした。
マーベル・スタジオ及びディズニーは秘密を守るために制作チーム間での情報共有も制限しているという話もありますが、先日も「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズと「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」での矛盾が明るみに出たばかり。同様の問題を再発させないよう、今後のチーム間での情報制限には見直しが必要かもしれません。
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の脚本を担当したマイケル・ウォルドロンさんは「ロキ」を執筆しファンから評価され、映画公開前は巨匠監督とのタッグということもあってかなり期待されていました。しかし公開後は主にワンダに関する問題で批判を浴びました。
現在、ウォルドロンさんは2026年公開予定の映画「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」の脚本担当として設定されていますが、マーベル・スタジオはこの1ヶ月前後で3本の作品の脚本家を変更しており、起用戦略を変えたとも報じられています。
そして、ワンダを演じたエリザベス・オルセンさんは今後のワンダに「今度こそ救いを与えたい」と別のインタビューでコメントしています。
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