2021年9月29日配信のアニメ「ホワット・イフ…?」シーズン1エピソード8「もしも…ウルトロンが勝ったら?」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
崩壊寸前の宇宙
ウォッチャーの言うように「ホワット・イフ…?」ではいくつかの崩壊寸前の宇宙を見てきました。具体的には2話のエゴ、4話のドクター・ストレンジ、5話のゾンビ・サノスのエピソードではウォッチャー自身がそう語ってきました。今回の8話は「特に心が痛む」と説明していることから、ウォッチャーにもしっかりと感情がある事がこの冒頭で明かされています。
ホークアイ
クローキングマントで姿を隠し、右腕がロボと化しているホークアイが登場しました。このマントについて詳しい説明はありませんでしたが、クローキング技術については2012年公開の「アベンジャーズ」でもヘリキャリアに搭載されていたため、このマントはスタークの技術、あるいはS.H.I.E.L.D.の備品、もしくはその両方ではないかと考えられます。
腕についても起源は説明されませんでした。「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」では腹部に重症を負い、ヘレン・チョ博士の人工細胞による手当で回復した事を考えると、腹部の代わりに腕を切断されてしまったのかもしれません。その後はマントと同様にスタークやS.H.I.E.L.D.の技術による義手をつけている可能性が高いでしょうか。
分岐イベント
今回の分岐イベントはウルトロンがアベンジャーズに勝ってしまった事。2015年公開の映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」をベースにしているわけですが、ここでのアベンジャーズとウルトロンの対決でウルトロンが勝利してしまったのです。
映画ではウルトロンが自らのアップグレード計画として、ヘレン・チョ博士にヴィブラニウムと人工細胞をかけあわせたボディを作らせました。しかしこれをアベンジャーズが奪い、トニー・スタークとブルース・バナーがこのボディにJ.A.R.V.I.S.を落とし込み、ソーの雷などを加えた結果ヴィジョンが誕生しました。
ヴィジョンのボディがアベンジャーズの手にわたるきっかけとなったのは、ワンダがウルトロンの真意に気づいて手を切ったからですが、このエピソードにワンダは登場しておらず、ホワット・イフの世界にはいなかったのかもしれません。
今回のアニメではこのボディが奪われることなく、ウルトロンが無事にアップグレードした結果、計画通りパワーアップ。そして映画では阻止したウルトロンの核攻撃が行われ、重要な戦力でもあったヴィジョンも存在せず、アベンジャーズはあっさりと負けてしまったようです。
さすがのロス将軍も世界中から発射された核ミサイルにはただ見ている事しか出来なかったようです。
なお、残念なことにMCUの中の日本は核ミサイルを保有しているようで、東京からも発射されています。
©2021 MARVEL,Disney
生存したアベンジャーズ
クインジェットに乗っていたクリントとナターシャだけが核攻撃の難を逃れたようで、他の地球人やヒーロー、そしておそらくヴィランもまとめて滅亡したようです。これによって冒頭シーンで降っていたのが雪ではなく死の灰であることがわかります。
エイジ・オブ・ウルトロン
ウルトロンの計画どおり人類が絶滅したことでエイジ・オブ・ウルトロン、つまり「ウルトロンの時代」が幕を開けます。
そして2018年の映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」をオマージュしつつサノスが登場しますが、ウルトロンはインフィニティ・ストーンについて即座に理解し、慈悲もなくサノスを瞬殺してしまいます。
事前に公開されていた通りすべてのストーンを揃えたウルトロンは、更にパワーアップを果たし、地球の次は宇宙に平和をもたらすために旅立つ準備を開始します。
宇宙平和に向けて
ウルトロンはアスガルドを一撃で破壊し、ソヴリンに到達するとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを倒してしまいます。
ここで気になるのはガモーラの存在。サノスはソウル・ストーンを手に入れるためにネビュラを犠牲にしたのでしょうか?
©2021 MARVEL,Disney
続いてサカール、エゴが破壊され、ザンダー星の順番になった時、宇宙一のヒーローが助けに現れるのでした。
キャプテン・マーベルの登場
ザンダーも終わりと思われたその時、キャプテン・マーベルがウルトロンを阻止しました。
前回のエピソードではソーの事を「ホワイトスネイク」と呼んだ彼女でしたが、今回はウルトロンの事を「歩くスカイネット」と呼称します。
「スカイネット」とは1984年公開の映画「ターミネーター」に登場する人類絶滅を目論むAIであり、あながち間違っていません。「続編はいらない」というキャロルですが、キャロルがクリーに拉致されたのは(神聖時間軸では)1989年の事。そしてターミネーターの続編「ターミネーター2」が公開されたのは1991年で、キャロルがクリー人ではなく地球人だった事を思い出しヨン・ログと戦ったのが1995年です。大ヒットした2作目も見ないまま、キャロルはスクラル人のための新しい星探しに出かけていたようです。
互角の勝負を見せるキャプテン・マーベルはウルトロンは地中深く、マントルなのか核まで到達しているのかは不明ですが、とにかく熱そうなところまでウルトロンを押し込んでいきます。前回のエピソードでは核攻撃に耐えうる事がわかったキャプテン・マーベルですが、今回のエピソードでも相当タフである事が描かれています。
しかし残念なことにウルトロンは星ごと爆発し、さすがのキャプテン・マーベルもそれには耐えられずに宇宙に平和がもたらされました。
新たな平和を求めて
目的を達成したウルトロンは悟りを開き壊れかけたものの、ウォッチャーの語りに気づいて反応を見せました。予想していなかったウォッチャーは驚きを隠せません。ドクター・ストレンジとは普通に会話していましたが、今回はかなりの動揺を見せます。
ウォッチャーも視聴者同様にウルトロンがマルチバースへと手を伸ばすのではないかと不安になりつつも、この世界に残されたクリントとナターシャに最後の希望を託します。
希望はロシアに
ソ連時代の諜報機関KGBの保管にやってきた二人はウルトロンがオンラインでアクセスする事が出来ない紙の資料を探しています。
ウルトロンを倒す鍵を探す中でナターシャはひとつの盾を見つけ、クリントに「似合う?」とたずねますがクリントは生きる気力を失い、「楽しもうとするのはやめてくれ」とさみしげな返事をします。
この盾は2021年公開の「ブラックウィドウ」に登場しているロシアの英雄レッドガーディアンの盾であり、つまるところナターシャの義父が使っていたものです。しかし「ブラックウィドウ」劇中でこの盾の実物は登場せず、劇中のフィギュアで確認できるようになっています。「ブラックウィドウ」でアレクセイが使ったのはタスクマスターから奪った盾であり、今回ナターシャが手にした盾とは異なるデザインです。
©2021 MARVEL,Disney
そんなやり取りのなか、クリントが手を伸ばした箱の隣が正解だというウォッチャー。その箱の情報で多元宇宙の限りない生命を救える、と自覚していてなお干渉をためらうのでした。
コミックのウォッチャーは数十億年前から存在する高度な技術を持つ地球外生命体。彼らは宇宙の後進種族を助けることが自分たちの義務だと考えており、知識の普及を試みました。しかし、その技術や知識を殺戮の道具として使用された事をきっかけに他民族の問題に干渉しないことを誓うことになります。ウォッチャーはその名の通り、ただ各惑星の情報を観察して記録するだけで干渉は一切禁止されているのです。しかし本作に登場しているウアトゥは地球を愛しており、たびたび掟を破る様子がコミックでは描かれています。
ウルトロンの声が聞こえて焦るウォッチャーはついに答えを口にしますが、残念なことにクリントとナターシャには届きませんでした。
ウルトロンに対抗出来るAI
正解の箱に触れるも探すのを諦めてしまったクリント。デス・スターの設計図は見つけられないと肩を落としていますが、デス・スターとは映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場する帝国の戦艦で、映画「スパイダーマン:ホームカミング」ではLEGOのデス・スターが登場しました。地球サイズの星なら一撃で破壊するような火力を持っています。
©Sony
なだめながら捜索を続けるナターシャが運良く資料を発見。ウルトロンに対抗する鍵はアナログのプログラム、アーニム・ゾラでした。
ゾラのAIプログラムを求めて二人はシベリアのヒドラ基地へと向かいます。
ウォッチャーとウルトロン
希望が繋がり安堵したウォッチャーでしたが、次元の壁を破ってウルトロンが登場。ウォッチャーが身を潜めていたのはあらゆるマルチバースとつながっている空間のようで、コミックのネクサス・オブ・オール・リアリティーズかもしれません。
あらゆるユニバースに繋がっているこの場所に到達したウルトロンは、あらためて「平和」をもたらすことを決意するのでした。
なお、インフィニティ・ストーンを使って次元の壁を越えているのかは不明です。
シベリア
一方その頃、シベリアのヒドラ基地に到着したナターシャとクリント。ここは2016年公開の映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で登場した場所で、ここではウィンター・ソルジャー計画が行われていました。
ゾラは2014年の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」でキャンプ・リーハイ基地で登場し破壊されましたが、ナターシャはここにロシアのスーパーソルジャー計画のためにコピーが残されていたと説明します。神聖時間軸でのシベリア基地にもゾラのコピーが残っているのでしょうか?
クリントのフルネーム
クリントのフルネームがクリント・フランシス・バートンである事が明かされます。ばばちゃまから貰ったというこの名前はコミックの設定通りとなっています。
なお、別アースにはフランシス・バートンというキャラクターも存在しており、クリントとモッキンバードの息子でネクスト・アベンジャーズに参加しています。チームには他にスティーブ・ロジャースとナターシャの息子ジェームズ・ロジャースやジャイアントマンとワスプの息子ヘンリー・ピム・ジュニア、ブラックパンサーとストームの息子アザリ、ソーとシフの娘トルンなどが参加していました。
ゾラとの反撃作戦
コンピュータを壊すぞと脅すクリントのおかげで、慌てたゾラは打倒ウルトロンを快諾。「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」では死(コンピュータの破壊)を恐れる様子もなかったため、やはり神聖時間軸のゾラはコピーを隠している可能性が残されているのかもしれません。
クリントが矢にデータをダウンロードする様子は2012年の映画「アベンジャーズ」でも見られました。
その矢をウルトロン・セントリーにうちこみゾラのAIをアップロード。しかしウルトロンは圏外にいるせいで、ウルトロン・セントリー達を制御出来ません。
ゾラを抱えて逃げるナターシャとクリント。見覚えのある脱出口は「シビル・ウォー」でバッキーが逃げようとしてトニーが出口を塞いだあの場所です。
被弾して落下しかけたクリントの腕を掴むナターシャの姿は「アベンジャーズ/エンドゲーム」を思い起こさせますが立場は逆になっています。そしてクリントは自らを犠牲にセントリー達を食い止め、ナターシャとゾラに後を託します。
ネクサス・ビーイング同士の戦い
「こんなことあるはずがない」と何が起きているか理解できないウォッチャーに対して、「多元宇宙では何でもありうる」というウルトロン。マルチバースの壁を超える力を手に入れたウルトロンはウォッチャーに襲いかかります。「数々の苦しみをお前は見ていただけ」「私を止める意思が足りない」というウルトロンを相手に、ウォッチャーはついにアーマーを纏い反撃に出ます。
多元宇宙の壁を破り、いくつもの世界を越えながら戦う二人。その途中で銀河を丸呑みにしようとするウルトロンは惑星の捕食者ギャラクタスを想像させるものになっています。
©2021 MARVEL,Disney
その後到着した世界では大統領になったスティーブ・ロジャースの演説が放送されていました。スティーブが大統領選に立候補をすすめられるエピソードが1980年のコミック「キャプテン・アメリカ Vol.1 #250」で描かれましたが、コミックではヒーロー活動と両立出来ない事を理由に辞退しました。
また、ここには前回のエピソードにも登場していたパイナップル柄のシャツを来た名もなきモブが再登場しています。
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そしてウルトロンがパンチを繰り出すたびに世界も人も様変わりする、不思議なバトルが繰り広げられます。
最後の希望
「万策尽きた」というウォッチャーが逃げ込んだのは、4話のラストシーンの後の世界。ダーク・ストレンジの元でした。
4話で助けを乞うも拒絶されたストレンジが「誓いを破る気になったのか?」と聞くとウォッチャーは覚悟を決め、「君の助けが必要だ」とストレンジにすがり、今回のエピソードは幕を下ろします。
以上、今回のイースターエッグ、その他チェックポイントでした。
これまで独立したエピソードとして描かれていた本作ですが、ウルトロンが自在にマルチバースを移動する力を手に入れたことでそれぞれの世界が絡み合い始めます。これまで予告動画に含まれていたストレンジとカーターのシーンやストレンジとソーのシーンは9話のものと考えられ、ホワット・イフ版のマルチバース・アベンジャーズが結成されるのかもしれません。
アニメ「ホワット・イフ…?」シーズン1、次回エピソード9(最終話)は 2021年10月6日(水)16時よりディズニープラスで配信開始です。