MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)関連の新書籍「MCU: The Reign of Marvel Studios」の電子版がリリースされ、その中で米ABCとマーベル・テレビジョンによって制作されたドラマ「インヒューマンズ」の失敗の経緯について記述されています。
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当初は劇場版映画として制作される事が発表された「インヒューマンズ」でしたが、急遽テレビドラマとしてリリースされた本作はマーベルドラマの中でも特に振るわなかった作品として、失敗作の代名詞のひとつとして名前をあげられる事が多くなっています。
2017年9月の放送開始の2週間前、「インヒューマンズ」の1話&2話の75分特別編集版がIMAXスクリーンで上映されましたが、オープニング週末で110万ドル(約1億1,000万円)しか結果を残せませんでした。シリーズのABCプレミアは380万人の視聴者を集めましたが、8エピソードの放送は平均260万人(同時期のエージェント・オブ・シールドで平均830万人)にとどまり、翌年5月に「インヒューマンズ」はシーズン1のみであっけなく打ち切られる事となりました。
「インヒューマンズ」が映画からドラマへと急遽舵を切った切った事について、もともと2019年7月に映画としてデビューするはずだった「インヒューマンズ」は、MCUフェーズ3を締めくくる映画として制作される予定だったと言います。
この企画は「ファンタスティック・フォー」と「X-MEN」の対抗企画として持ち上がったものですが、「インヒューマンズ」の権利も当時20世紀FOXが保持しており、これに配慮して書かれた脚本に対してマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は全く満足していなかったとの事。
そして同書は2016年4月にファイギ社長が映画を公開スケジュールから外すやいなや、マーベルエンターテイメントはマーベル・テレビジョンのジェフ・ローブ氏に対して「インヒューマンズ」をテレビドラマ向けコンテンツとして開発を迅速に進めるように命じたと説明しています。
こうして急遽テレビドラマとして制作された「インヒューマンズ」はハワイで撮影が行われ、とある出演者は「この番組で少なくとも私はハワイ旅行を手に入れた」と語ったと言います。しかし「インヒューマンズ」の失敗を横目で見ていたマーベル・スタジオは、「エターナルズ」の撮影の際、「ハワイを舞台にしてはいけない」と指示したと「エターナルズ」のクリエイティブチームは説明、「スタジオは、観客が「インヒューマンズ」を思い出すようなリスクを避けたかった」と付け加えています。
その後、MCUがフェーズ4に入って映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」が公開されると、そこには「インヒューマンズ」の主演を務めたアンソン・マウントさんがブラックボルト(の変異体)役で再登場しました。
このオファーが決まった時の事についてマウントさんは「ケヴィン・ファイギ)から電話があった事は私の人生の中で最も予想外な出来事のひとつでした。最善の方法で演じることをできるようにしてくれたサム・ライミ監督と仕事が出来たのは名誉であり喜びです。最高の経験でした」と過去のインタビューでコメントしています。
さらにその後、他のインヒューマンが登場する事がないままドラマ「ミズ・マーベル」の配信を迎えました。ミズ・マーベル/カマラ・カーンはコミックの代表的なインヒューマンであり期待されていましたが、最終話にて彼女がインヒューマンではなくミュータントである事が示唆され物議を醸しました。
この変更についてドラマ「インヒューマンズ」の失敗が原因ではないかと考えるファンもいましたが、「ミズ・マーベル」配信当時のコミック原作者インタビューによると、カマラ・カーンはコミックデビュー前はミュータントとして開発していたものの、当時の都合でインヒューマンに変更されたとし、本来のアイデアの形に戻ったと説明しています。そして、2023年のコミックではカマラはミュータントへと転生しています。
MCUと繋がりそうで繋がらないインヒューマンズたちですが、今後のどこかで再びチャンスが巡ってくる事があるのでしょうか。
ドラマ「インヒューマンズ」はディズニープラスで配信中です。
ソース:How Marvel’s Inhumans Became a Radioactive Property in the MCU (Exclusive Book Excerpt)