マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「ブラックウィドウ」でレッドルームの支配者ドレイコフを演じたレイ・ウィンストンさんが、キャラクターの当初の設定について小児性愛者だったと明かしました。
サラエボ映画祭に出席していたレイ・ウィンストンさんは、海外メディア Variety とのインタビューで2021年の「ブラックウィドウ」の制作を振り返り、次のように語っています。
素晴らしい監督、ケイト・ショートランドと一緒に仕事をして、自分のキャラクターがどんなものになるかを一緒に考えました。ドレイコフはまるで小児性愛者みたいで、少女たちの中をうろついて、そして彼女たちはブラックウィドウになるんです。撮影現場では拍手喝采を浴びていました。あれはおそらく、本当に長い間やってきた中で最高の仕事だったと思います。
しかしながらこれはスクリーン上に映し出される事はありませんでした。ウィンストンさんは全ての撮影がやり直しになった経緯について、以前よりも少し詳細に説明しました。
それで仕事が終わって家に帰ると、再撮影が必要だって電話がかかってきたんです。『何のシーン?』って聞くと、『全部』って言うんです。だから『ケイトに(キャスティングを)やり直して』って言ったんです。でも契約書にサインしてあるから、やらなきゃいけませんでした。戻って、髪を綺麗にセットしてもらって、スーツを着せられても、もう無理でした。もうやっちゃった後だったから。『もう出来ない。もうやったんだから、こうなるしかない』って思ったんです。それが拒絶っていうものですよね?何かをやって、それを床に置きっぱなしにして、『違う』って言われるより最悪なことはないですからね。
昨年のインタビューでは撮影が全てやり直しになった事について、魂がすり減るような思いだったとも述べていました。
レイ・ウィンストンさんはマーベルに一部の理解を示しつつも、映画業界全体に警鐘を鳴らしています。
チケットを売ることが全てです。ハリウッドでマーベルとか、そういうものがどうなっているかは分かっています。そういう余地はあるし、楽しいことでもあることも。でも、文化的な映画を作る機会を奪ってしまうんです。文化的な映画は俳優にとって一番良いもので、本当に良い演技ができる。それがますます難しくなってきていると感じています。今はSNSを使っていないと。映画製作会社はファンベースを獲得したいから、そもそも検討すらしないかもしれません。
インスタグラムはやらなきゃいけないけど、私はやりたくありません。でも、良いことかどうかは分からないけど、映画館に人が集まり、新しい雇用が生まれるなら、やるしかありません。でも、もっと文化的な映画が作られてほしいと願っています。良い映画は文化的な映画から生まれる。少なくとも私の視点ではね。
また、キャスティングが以前の映画業界とはまったく異なるプロセスになっているとも指摘しました。
今のキャスティングは随分と変わってきているように感じます。娘は女優ですが、キャスティング担当者が俳優と直接会うことはもはやありません。監督も俳優と会うことはもうありません。すべて電話で済ませているんです。
映画やドラマを作る上でのケミストリーの一部は、監督と俳優の間のケミストリーなので、その点は理解できません。イギリスではそれがどんどん失われつつあり、それは非常に危険なことだと思います。監督と同じ部屋に座って、ただ台詞を読むだけでなく、互いに話し合う人たちの姿を改めて見直す必要があると思います。台詞を読むのが本当に下手でも、演技はできる人がいるんです。
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