2021年11月24日、ディズニープラスで配信されたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ホークアイ」シーズン1エピソード1「憧れのヒーローには会うもんじゃない」のイースターエッグを中心に原作コミックの設定や今後の予想などをご紹介していきます。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
オープニングロゴシーケンスの更新
おなじみのマーベル・スタジオのロゴが登場するオープニングシーケンスではマイナーチェンジが施されています。テキスト部分にはこれまでの作品の映像が流れていますのが、ここにフェーズ4の作品が追加されています。
©2021 MARVEL,Disney
具体的には映画「ブラックウィドウ」からナターシャとエレーナのシーン、そして映画「シャン・チー/テン・リングスの伝説」かシャン・チーが登場しています。追加が確認されたのは両方とも映画作品であり、「ワンダヴィジョン」などディズニープラスシリーズの映像はまだ含まれていないようです。
ケイト・ビショップのオリジンの変更
本作のメインキャラクターの一人、ケイト・ビショップの幼少期のシーンから始まった第1話。時は2012年、場所はニューヨーク。両親が引っ越しに関する口論をする中、ケイトは自室で盗み聞きをしていました。そんな中、映画「アベンジャーズ」(2012年)のラストで行われたアベンジャーズvsチタウリの決戦が始まり、ケイトの家も被害にあってしまいます。すんでの所でホークアイの放った矢によって助かったケイトと母エレノアでしたが、父デレクは亡くなってしまいました。デレクの葬儀でケイトは守る力と弓矢が必要だと誓うのでした。
コミックのケイトは、出版界の大御所デレクとエレノアの間に生まれた末娘で姉のスーザンがいました。幼少期に父デレクが他人に暴力を振るう様子を見て以降は父に対して幻滅していました。その後ヴィランに誘拐されたケイトはホークアイの活躍によって無事に生還し、それからはホークアイをロールモデルとして過ごすようになりました。姉スーザンの結婚直前の事、ケイトはセントラルパークで性的暴行を受けてしまいます。セラピストの助けも得てトラウマを克服し、自己防衛のために剣術、弓術、武術などをマスターしたケイトは、ウェストコースト・アベンジャーズ、ヤング・アベンジャーズ、シークレット・アベンジャーズなどに加入して活躍しています。
時計塔
ケイトが友人との賭けで狙う時計塔の鐘。この時計塔にはステイン・タワーと書かれています。そしてそこには「米国最古の大学の鐘楼。1725年10月20日に礎石が置かれました。2006年7月19日、オバディア・ステインを記念して再奉納されました。」と書かれています。
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オバディアはMCUの記念すべき1作目「アイアンマン」のメインヴィランで既に死亡。以降特に触れられることはありませんでしたが、フェーズ4に入って「ホワット・イフ…?」にて再登場し、今回に至ります。
コミックのオバディアには息子のエゼキエルが存在し、9歳の頃に父オバディアが死亡して以降トニー・スタークへの復讐を目標に次世代兵器の開発に力を注いでいました。その後、父のアーマーを基に作り上げたアイアンモンガーマーク2でトニーを苦しめました。「ホワット・イフ」に続き今作でもステインの名が出てきたのは単なるイースターエッグなのか、あるいはドラマ「アーマーウォーズ」でヴィランとして息子が登場する可能性を示唆しているのか、気になる所です。
ケイトの友人たち
ケイトの友人として時計塔のシーンではグリアとフラニーのふたりが登場しています。彼女たちのフルネームは不明ですが、コミックにもいるヒーロー/ヴィランである可能性が残されているようです。
グリア・グラント・ネルソンはティグラと呼ばれる猫、虎のような獣人姿になるヒーローで、ケイト・ビショップと同じくウェストコースト・アベンジャーズに所属しています。
フラニーことフランシーヌ・フライはヴィランの二代目エレクトロです。コミックにおいてクリントやケイトとは特に関連性がありません。
ドラマで登場した二人の友人がコミックキャラクターと同一であるかは現時点で不明ですが、気になるポイントとなっています。
ロジャース:ザ・ミュージカル
2012年のニューヨーク決戦を舞台化したと思われるミュージカルを見るクリント・バートンと三人の子どもたち。その場で命がけで戦っていたクリントにしてみれば面白いミュージカルとは言えないようで終始苦い顔をしています。そして舞台上のナターシャ役を見て思い出す彼女の犠牲。
見かねて補聴器をオフにするクリントに対して、娘のライラが心配そうに「パパ役はかっこいいよ」と声をかけます。そしてミュージカルはハルクの見せ場になり、スマッシュを連呼。その後、歌詞が「一撃で街は粉々、さんざんだけどまあいいさ」と皮肉めいた展開になり、クライマックスのスティーブ・ロジャースの口癖「I can(could) do this all day」を歌うところでクリントは退席。
向かったトイレで「thanos was Right.」(サノスは正しかった)の落書きを目にするクリント。ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のカーリ・モーゲンソウたちフラッグスマッシャーたちの信条でもありました。多くの犠牲を払ってサノスを倒したアベンジャーズたちでしたが、サノスを支持する人間もまだまだいるようです。なお、この文言はトレーラーでも確認出来ましたが、今後のエピソードの別のシーンで再登場するようです。
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しかしトイレで横に並んだ男性からは「うちの子がファンなんです」と声をかけられ、子どもたちには人気のヒーローであることも伺えるシーンとなっています。
結局席に戻らず表に出たクリント。心配したライラもそれを追いかけ、「無理に見なくていい、こんなの馬鹿げてる」と伝えます。続いて出てきたクーパーとネイト(ナサニエル=ピエトロ・バートン)はなかなか気に入った様子ですが、幼いネイトは「なんでみんな何でも歌や踊りにするの?」とアメリカのエンターテイメントを皮肉ります。
ちなみにこのミュージカルで劇中でも指摘されているように、「アベンジャーズ」の時にはアントマンはいませんでした。しかし「アベンジャーズ/エンドゲーム」ではアントマンも一緒に2012年のニューヨークにタイムトラベルしています。これは偶然の一致なのでしょうか、それとも重大な意味があるのでしょうか。
ケイトとエレノア
ケイトにシーンが変わり、ニューヨークの実家へと帰ります。ドアマンがいる所や内装からもわかるように、どうやらかなりお金持ちな様子。冒頭で家を売る話をしていたのとは随分ギャップがあります。これからチャリティーオークションがあるというエレノアは「嫌よね、貧乏人たちが金持ちを頼って」となかなかの毒を吐いています。
時計塔を壊した罰としてカードを解約したと告げるエレノア。続けて「若い子は自分を無敵だと勘違いしてる。お金持ちもそう思ってる。」とトニー・スタークやドクター・ストレンジを非難するようなセリフを放っています。ストレンジは手の治療のために財産を失いましたが。
ジャック・デュケイン
机の上に置かれた剣について母に尋ねると、「今学期いない間にちょっと変化があって」と返ってきました。そしてタイミングよくエレノアのボーイフレンド、ジャック・デュケインが登場。
コミックのジャックはクリント・バートンが所属していたサーカス団の先輩であり、サーカスを出たあとは様々なギミック付きの剣を使いこなすヴィラン、ソーズマンとして活動していました。その後アベンジャーズと戦う中でマンティスと出会い改心、後に結婚しました。
MCUのジャックがクリントと知り合いなのか、この先マンティスと出会うのかは不明ですが、ソーズマンである可能性は匂わせているようです。
中華料理店にて
カニを食べまくるクリント一家。吹替では「頼み過ぎだよ父さん」とクーパーのセリフが入りますが、英語や字幕では具体的に30人前食べていることがわかります。
子供3人とニューヨークまでクリスマス旅行に来るクリントの現在の懐事情については説明がありません。現状を見るにそれなりに裕福なのでしょうか?「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ではサム・ウィルソンがお金に苦心している様子も描かれていましたが、一方でワンダとヴィジョンは家の購入もしていました。もっとも後者の場合はワンダの魔法やヴィジョンのマインド・ストーンで不動産業者を操っても手に入りそうですが、それはあまり考えたくありません。クリントの場合はS.H.I.E.L.D.時代にトップクラスのエージェントとして多額の給料が出ていたという可能性もありそうです。
クリスマスにやりたいことを聞かれた子どもたちは「お菓子の家」、「映画マラソン」、「醜いセーター」、「ツリーの飾り付け」と定番のプランを提示。クリントは全部やるぞとした上で、大事なのは全員一緒にやることだと付け加えます。サノスによって家族全員を失った5年を経験したクリントは、人一倍家族に思い入れが出来ているようです。
店側から「ニューヨークを救ってくれたお礼」として食事代は無料に。クリントのこれまでの行いはエンタメ化されたり、悪意に否定されたり、そして善意に救われたりとそれぞれの立場からの解釈が矢継ぎ早に描かれています。
チャリティー・オークション
母から赤いドレスを着るように言付けられていたケイトですが、黒いスーツを着用して出席しています。母とジャックの仲がいいことへの不満の表れなのかもしれません。
会場で話しかけてきたのはアーマンド・デュケイン三世。ジャックのおじにあたる人物でした。アーマンドから母をジャックの再婚を聞かされたケイト。アーマンドは二人の結婚に異論がある様子ですが、再婚の話にショックを受けたケイトは深く追求することはありませんでした。そして、風に当たってくると告げ会場の外へ出たケイトはそこで一匹の犬と出会うのでした。
建物内に戻ったケイトは、アーマンド・デュケインとエレノアが口論している所を見つけてしまいます。「帝国の礎は“嘘”だった」と責められていた母に事情を聞こうとしますが、エレノアはとぼけて話そうとしません。ケイトが母を脅したアーマンドを追うと、厨房を抜けた先のワインセラーでは謎のオークションが開催されていました。
闇オークション
アーマンドの他にもエレノアとの会食を中座して参加しているジャックの姿があったこの謎のオークション。
そこではトリケラトプスの頭骨が270万ドル(約3億円)で落札されており、明らかに普通のオークションではありませんでした。これが盗品であるならシンプルなのですが、実はコミックでは恐竜が生き残っている島「サヴェッジランド」が存在します。南極大陸に属する小さな島のサヴェッジランドは南極であるにも関わらず熱帯気候で、恐竜が跋扈しています。またワカンダ以外でヴィブラニウムが眠っている世界に二箇所しかない場所のひとつであり、X-MENの訓練場としてもよく使われています。
そして、アベンジャーズコンパウンドの残骸から回収されたというローニンの刀までもが出品。ローニンは「犯罪組織が握る地位と権力をほぼ無にした男」と紹介され、その正体が今でも不明だと付け加えられています。なお、刀は格納式ですがそのギミックは不明。短い柄の部分に長い刀身が収まるといった謎の仕様で、飛び出しナイフのような速度で出し入れ可能な事から、トニー・スタークのナノテクとは少し違うようです。
このローニンの刀は47万5000ドル(約5000万円)でアーマンドが落札します。
トラックスーツ・マフィア
闇オークションで新たにローニンのスーツが出品された頃、トラックスーツ・マフィアたちが乱入してきます。突入前のシーンでは(英語版では)ロシア語で話すキャラクターがいる事もわかり、コミックでのイワンを参照している可能性があるようです。なお、トラックスーツとは運動着、すなわちジャージの事であり、彼らの象徴的なファッションスタイルにもなっています。
マフィアたちは壁を爆破し、オークション会場へと乱入。彼らの狙いは「時計」との事ですが詳細はわかりません。この混乱に乗じてジャックはローニンの刀を奪い、一方でケイトはローニンのスーツを着込んでマフィアたちに反撃を開始。武術大会で優勝するだけあって、戦闘力はなかなかのものである事が判明します。
場面が変わって表で荷物を積み込んでいたマフィアのひとりが積荷の中から偶然にお目当ての「時計」を発見。この時計が何かは分かりませんが、アベンジャーズコンパウンドからの品物である事がタグからわかるため、スタークのテクノロジーが搭載されている可能性は高いように思えます。映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」ではデザインが異なるものの、アイアンマンのアーマーの手甲部分に変化しリパルサーブラストを発射できる時計が登場していました。
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しかしこのマフィアに先程の犬が噛みつき格闘状態になったところを、会場を後にしたケイトが通りかかり、犬を助けます。その様子をカジと呼ばれるメンバーが目撃していました。コミックに登場するクラウン/カジミェシュ・カジミエルチャクと同一であるかは今の所不明です。
蘇ったローニン
宿泊先のホテルでローニン復活のニュースを見て過去の暗い記憶が蘇るクリント。映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」で真田広之さん演じるヤクザのアキヒコを殺害したシーンがフラッシュバックします。
なお、ここで流れているニュース番組「SPECTRUM NEWS」は実在の番組であり、過去のMCUでよく登場した架空の放送局WHiHのニュース番組「NEWS FRONT」とは異なります。
一方、犬を助けたケイトは隠れ家に連れ帰り、お腹をすかせた犬にピザをあげていました。コミックではこの犬はラッキー・ザ・ピザ・ドッグと名付けられていることからもわかるようにピザが好物という設定です。
アメリカ映画などで犬がピザを食べるシーンはよく見かけますが、日本の風潮的に犬にピザを与えるのは特にタマネギやガーリックが気になる所。海外のデータベースによると、犬のタマネギ中毒は柴犬や秋田犬などの日本犬によく見られるようで、洋犬は和犬に比べて中毒に対して少し強いようです。
母を脅したり、闇オークションを不審に思ったケイトは犬をおいてローニンスーツを着たまま、アーマンド邸に向かいます。しかしそこでケイトが見たのは刺殺体となったアーマンドの姿でした。
アーマンド邸から逃げる途中でトラックスーツ・マフィアに囲まれるケイト。コミックどおり語尾に「Bro.」(ブロ、ブラザーの意)を付けて話すマフィアたちですが、日本語字幕や吹替には特に表現されていません。
善戦するケイトでしたが数の上でも不利になり、車の中へ逃げ込みます。そこへ乱入するクリント。あっさりとマフィアを倒したクリントは車の中からケイトを引きずり出し、過去の亡霊であるローニンと対面、一方でケイトにとっては憧れのホークアイとの出会いとなるのでした。
エンディング曲ではトレーラーでも使用されていたアンディ・ウィリアムスさんの「It’s The Most Wonderful Time Of The Year」(1963年) が流れ、子どもたちとの最高のクリスマスを歌っています。
ドラマ「ホークアイ」シーズン1はディズニープラスで配信中、次回、第3話は 2021年12月1日 配信予定です。