マーベル・スタジオ制作のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「ファンタスティック・フォー:ファーストステップ」はドラマ「ワンダヴィジョン」のマット・シャックマン監督が手掛けていますが、制作発表当初は「スパイダーマン:ホームカミング」から「ノー・ウェイ・ホーム」までを制作したジョン・ワッツ監督がメガホンを取るとされていました。
「ノー・ウェイ・ホーム」公開後の2022年、ジョン・ワッツ監督の円満降板が報じられ、休息が欲しいという理由だとされていましたが、監督の最新インタビューで降板の詳細について語られました。
海外メディア THR とのインタビューでパンデミック渦での「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の制作を振り返り、監督は次のように述べています。
新型コロナウイルス感染症対策のあらゆるプロトコルを遵守しながら、クリエイティブな作品を作り続け、同時にキャストやスタッフ全員の安全も確保しなければならないという精神的な負担は、本当に大変でした。一歩間違えれば、文字通り人が亡くなる可能性もあったのですから。それに加え、ポストプロダクションのプロセスも非常に困難でした。
VFXの仕事は、世界中のベンダーと連携する国際的な要素が強く、COVID-19の影響でサプライチェーンが寸断されていました。従来の方法で特殊効果を制作するのは本当に困難でした。
映画やドラマの撮影中、危険なアクションシーンなどで人命に関わる事がありますが、コロナ禍においてはあらゆる現場でそのリスクがあり、その負担や重圧は部外者の想像を絶するものだったようです。
大作映画を作るという重圧に加えて、コロナ禍という重圧も重なり、あの映画を素晴らしいものにするために必要な力が自分にはないと悟りました。とにかく疲れ切っていたので、回復に時間をかける必要がありました。マーベルの皆は、私の気持ちを深く理解してくれました。彼らも私と同じ経験をしてきたので、あの経験がどれほど大変で、どれほど疲れるものだったかを分かっていました。最終的にはとても満足のいくものでしたが、ある時点で、素晴らしい作品にするために必要なレベルでやり遂げられないのであれば、やらない方が良いと思ったのです。
ワッツ監督は予定を遵守して無理やり「ファンタスティック・フォー」を制作してクオリティを低下させてしまうよりは潔く降板したほうがいいと判断し、スタジオ側もそれを受け入れてくれたと説明しました。
幸いな事にバトンを渡される事になったマット・シャックマン監督の「ファンタスティック・フォー:ファーストステップ」の現状でのファンの印象は好評で、劇場公開が期待されている状況です。
「ノー・ウェイ・ホーム」の続編となる「スパイダーマン:ブランニューデイ」は新しく「シャン・チー/テン・リングスの伝説」のデスティン・ダニエル・クレットン監督をむかえており、現状でジョン・ワッツ監督が戻るための椅子は用意されていません。
ワッツ監督はマーベルを離れたあと、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」の制作に関わり、その後はジョージ・クルーニーさんとブラッド・ピットさんが共演し、ライバル関係のフィクサーを演じる新しいアクションコメディ「ウルフズ」を制作しました。
この時、「マーベルのアクション映画を撮るときは、楽しいアクションシーンはすべてセカンドユニットの監督に任せることもあります。マーベル映画では、やるべきことがたくさんあるので、仕事を分担するのです。クリストファー・ノーランのようにすべてを自分でやれる機会はめったにありません。今回(ウルフズ)は、『すべてのショットを撮りたい』と思いました。」と細部まで自分ひとりで撮れる作品に取り組みたい意志を示していました。
映画「ファンタスティック・フォー:ファーストステップ」は、「ワンダヴィジョン」のマット・シャックマン監督がメガホンを取り、脚本として「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」のジョシュ・フリードマンさん、「マイティ・ソー/バトルロイヤル」「ブラックウィドウ」「サンダーボルツ*」のエリック・ピアソンさんらが参加しています。
映画「ファンタスティック・フォー:ファーストステップ」は 2025年7月25日 に 日米同時公開予定です。
ソース:‘Spider-Man’ Director Jon Watts Reveals Why He Dropped Out of ‘The Fantastic Four’