MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」、「アベンジャーズ/エンドゲーム」のルッソ兄弟監督が海外メディア Variety のインタビューに応じ、先日和解が報じられた「ブラックウィドウ」の訴訟問題についてコメントしました。
ローマでの基調講演のあと、ジョー・ルッソ監督は「ブラックウィドウ」のスカーレット・ヨハンソンさんとディズニーとの紛争について、公になってしまった事は「残念なこと」としながらも、不確実性に苛まれている業界にとっては時代の流れだと指摘しています。
多くの業界がそうであるように、混乱が続いているため、多くの緊張感があります。人々の神経はすり減り、何が起こるのか、何がどこへ行くのかを予測するのは難しいのです。
しかし訴訟が解決したのは良い事ですね。解決したことは、これまでの大きな変化を示していると思います。この解決は、この変化の中で前進するアーティストに対する敬意を物語っています。
配給方法が不透明だったとされる「ブラックウィドウ」の問題を受け、ルッソ兄弟監督はマーベル・スタジオとの次回作について行き詰まりを見せていると以前にウォール・ストリート・ジャーナルで報道されました。この復帰作について質問された監督は「交渉の最中であれば、契約についてコメントするのは不適切ですね」と延べ、進捗状況については言及しませんでした。
しかし、今回の訴訟問題の決議は、かつてないほどに変化している業界の現状を物語っていると監督は言います。
今、企業はパニックに陥っています。今後5年から10年の間にスタジオの半分が消滅し、ゲームは劇的に変化していると思うからです。どんなスタジオにも負けないコンテンツ制作者がいて、彼らにとっては1兆円規模の企業なので、それは単なる丸め込みに過ぎません。これまでのビジネスでは見られなかったことです。
しかし、COVID-19のパンデミックやストリーミングサービスの増加による混乱は、映画ビジネスを大きく変えてしまいました。でも私はそうは思いません。デジタルで作った方がお金になる。頭を悩ませることもありません。Netflixにとって最も簡単なことは、小規模な映画にグリーンライトを与えることです。私や他の多くの映画制作者が発見したことは、誰もあなたを邪魔しないということです。これは素晴らしい経験です。
史上最高の興行収入を記録した5作品のうちの2作品を兄のアンソニーと一緒に監督したルッソは、COVID-19パンデミックによる混乱とストリーミングサービスの継続的な成長がビジネスを永久に変えてしまったとはいえ、劇場公開モデルは死んでいないと主張しました。
個人的には、ストーリーテリングの多様性に関心があります。多様な声が聞こえるほど、世界はより良い場所になると思います。この5年間で私が気に入っている作品は、すべてハリウッド以外の場所で制作されたものです。アーティストたちは個性的で、ハリウッドという機械に汚染されたり影響されたりしない新鮮な視点で作品に取り組んでいるので、これは重要なことだと思います。
また、Netflixのオリジナル作品で最も視聴されたクリス・ヘムズワースさん主演のアクション映画の続編「Extraction 2」の予告編を上映したほか、Amazon Primeで放送予定のシリーズ「The Citadel」についても触れました。
「これは物語の実験のようなものです」と監督は言います。「旗艦番組があって、それを中心に各地域で番組が作られます。それらは補完的な物語です。それぞれの地域のタレントが、それぞれの派生番組をプロデュースし、制作しています。これは、コミュニティとパートナーシップの大きな実験です」と述べています。
この夏には、ライアン・ゴズリングさんとクリス・エヴァンスさんが競演するNetflixのスパイ・スリラー「The Gray Man」の撮影を終えました。この作品は、シリーズ化される可能性のある最初の作品で、2億ドル以上の予算が組まれていると言われており、Netflixのこれまでのオリジナル作品の中で最も高額な作品となっています。
「ブラックウィドウ」問題が早期の解決となったことで、監督のMCUへの復帰にも光が差し込んだのでしょうか。