2021年6月16日配信のドラマ「ロキ」エピソード2「変異体」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
ウィスコンシン州オシュコシュ
冒頭、ハンターC-20とその部下たちがウィスコンシン州オシュコシュに調査に来るシーンから始まります。
この地はマーベルコミックスの元編集長、マーク・グリュンワルド氏(故人)の出身地で、主にキャプテン・アメリカやクエーサーなどのコミックを担当していました。それだけならロキとは関係がなさそうですが、実はこのグリュンワルドさんは類稀なる記憶力の持ち主で、当時マーベルコミックスの中で雑多に広がっていたマルチバースを完全に把握していたそうです。そして、それらを作家やファンがわかりやすく把握できるように、正史世界(このドラマ風にいうと神聖時間軸)であるEarth-616とそれ以外の世界を系統ごとに番号を割り振り整理した、メタ・タイムキーパー、メタ・TVAと言った存在の人でした。
後に彼に敬意を表した作家陣がグリュンワルドさんを元にTVAという組織をコミックスに導入し、TVAのスタッフは全てグリュンワルドさんと同じ顔のキャラクターでした。もちろんメビウスもそうです。
©MARVEL
ドラマのメビウスとはヘアスタイル以外はそっくりと言ったところでしょうか。
Holding Out For a Hero
1984年のボニー・タイラーさんのヒット曲「Holding Out For a Hero」が挿入されます。この曲は映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でも度々その名前が登場した1983年公開の映画「フットルース」に使用されていた楽曲で、先日発表されたスクウェア・エニックスのゲーム「Marvel’s Guardians of the Galaxy」にも採用されていました。ハンターたちがタイムトラベルしてきた年代とも合致しています。
日本でもドラマ「スクール・ウォーズ」の主題歌になり、現在でも懐メロとして耳にする機会の多い曲ですが、逆にそれが災いしてラグビー感しかない、とある熱血俳優の顔が思い浮かぶ、といった声は周りで耳にしました。
ハンターC-20
ハンターC-20を演じているのはサッシャ・レインさん。映画「ヘルボーイ」やAmazonプライムのドラマ「ユートピア~悪のウイルス~」などに出演されています。
この部隊のリーダーとして登場したC-20ですが、あっさりと身体を乗っ取られて部下を倒してしまいました。その際はロキのイメージカラーである緑のオーラが目に宿る描写がありました。
ちなみに部下の方々はアルファベットが振られておらず、ヘルメットの全体像がはっきりしないのですが、どうやら10桁前後の数字が割り当てられているようです。
レッドライン
本エピソードではレッドラインについてより詳しく説明されました。
「分岐イベントの枝がレッドラインを越えたら、TVAが分岐イベントをリセット出来なくなる。そして時間軸が破壊され、私達の現実が崩壊する。」との事。
時間軸が破壊されるとどうなるのか、現実が崩壊するとどうなるのか、という点についてはまだ言及されていません。
ロキの変異体
メビウスが説明の際に何人かのヴァリアント・ロキの姿を映し出します。中にはただのアスリートにしか見えないロキもいますが、剪定済みなのでしょうか。
オシュコシュのネクサスイベントのリセット
オシュコシュでの分岐イベントをリセットするとTVAのモニターで分岐したタイムラインが無くなっていく様子が映し出されます。
©2021 MARVEL,Disney
モニターの上部中央には OSHKOSH と日付が西暦で書かれていますが、その左にはニダヴェリア、右にはサカールと書かれています。ニダヴェリアは映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でソーのストームブレイカーを作った星、サカールは映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」でハルクとソーが再会した星ですが、ここでも分岐イベントが発生中なのでしょうか。
レンスレイヤーのオフィス
ラヴォーナ・レンスレイヤーのオフィスでレンスレイヤーとメビウスの会話のシーンが入ります。
メ「このオフィスどんどん良くなっているよね。そのスノードームはどうした?持って帰ってきた覚えがない。」
レ「私の分析官はあなただけじゃない。」
メ「でもお気にいりは僕なんだろ?なのになぜいつも戦利品を取り上げるんだ。」
そして、メビウスが覚えのないグラスの跡と、全部あなたがやったと主張するレンスレイヤー。この流れはメビウスが複数いる可能性を示しているかもしれません。記事の冒頭で少し説明したように、コミックのTVAスタッフは全てクローンでした。
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ちなみにオフィスにあるオープンリールはエンディングでも表示されていますが、日本初のテープレコーダーを開発した1946年設立の赤井電機さんのオープンリールで、世界初のオートリバース機能やクイックリバース機能など当時最先端を行くメーカーさんだったようです。
メビウスとロキは似ている
レンスレイヤーはロキを「反抗的で頑固で予測不可能」と評し、誰かさんみたいと言います。それを聞いたメビウスも「僕もそう思った」と答えます。ここが信頼関係が生まれていく元になるのでしょうか。
そしてロキは変われないと主張するレンスレイヤーに対して、メビウスは「同じ役ばかりだと飽きちゃうだろ」と返します。これはメビウスがTVAで同じ仕事ばかり繰り返している事から抜け出したい、自由を求めている事を暗示している可能性があります。
タイムキーパー
タイムキーパーが認めれば役割を変えられるとレンスレイヤーが明かします。MCUではこれまでに様々な強敵が登場しましたが、現時点で説明されているタイムキーパーはサノスやエゴなどを超越する存在のようです。
また、このシーンではメビウスがタイムキーパーに会ったことがないこと、レンスレイヤーはコンタクトを取っていることが明らかになりました。これらは今後重要になりそうなポイントです。
フランクリン
任務の書類にサインする時のペンにも、メビウスは見覚えがありません。
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高校自体はMCUとあまり関係なさそうですが、フランクリンという名前はMr.ファンタスティック/リード・リチャーズとインビジブル・ウーマン/スー・リチャーズの息子であり、征服者カーンの祖先にあたるキャラクター。映画「ファンタスティック・フォー」や映画「アントマン&ワスプ:クアントゥマニア」に登場する征服者カーンと関連するイースターエッグだと考えられます。
氷の巨人
「なぜ私のために危険を冒した?」と問うロキに対してメビウスは「A.おびえて震えてる氷の巨人の子供をかわいそうと思ったから B.犯人を捕まえるために必要な事は何でも言うから」と答えます。
ロキが氷の巨人の子であることが、本作では妙に強調されています。ソーの1作目以降はフェーズ3が終わるまでの10年間でさほどいじられる事もありませんでしたが、何か重要なポイントなのでしょうか?
372
メビウスとロキが歩く通路の向こう側には「372」と表記された区画が見えます。1986年のコミック「Thor Vol.1 #372」ではマーベルコミックスにおいてTVAの2度めの登場回との事。MCUでの2度めの登場とかけているイースターエッグです。
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ラウフェイの娘
ロキが手始めに開いた変異体の資料にはシルヴィ・ラウフェイドッティルの名前が記載されていました。先日、スペイン語版のクレジットでシルヴィというキャラクターがいるとお伝えしましたが、じっくり見返すと作中にも登場していたようです。
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アスガルド人の名前はアイスランドやスカンジナビア諸国の命名法を採用しており、ロキのフルネームは本作でも度々登場しましたがロキ・ラウフェイソンです。ラウフェイソンとはラウフェイのSon(息子)の意味であり、ソー・オーディンソンはオーディンの息子という意味になっています。
MCUではソーの祖父がボーである事は判明しており、コミックと同じ設定です。そしてオーディンはボーの息子ですから、オーディン・ボーソンというのがコミックでのフルネームになっています。ちなみにソーはコールソンを「コールの息子」と呼んでいましたが、多分違うでしょう。
そして話題になったシルヴィはフルネームをシルヴィ・ラウフェイドッティルと書かれており、コミックのシルヴィ・ラッシュトンとは異なるキャラクターになる可能性が高そうです。ドッティルは娘を表すワードであり、ソーの姉ヘラのフルネーム、ヘラ・オーディンドッティルのように命名されます。
シルヴィとは変異体が名乗っている名前なのか、はたまたロキと同じ血をもつ姉妹なのでしょうか?
映画「Se7en」のオマージュ
本作の監督ケイト・ヘロンさんは、デビッド・フィンチャー監督の映画「Se7en」から影響を受けている事を明かしています。そしてシリーズ初放送に向けた記者会見では、「エピソード2には、セブンにちなんだ小さなニードルドロップがあり、あの映画のファンならすぐにわかると思います」と明かしました。
それがこのシーンで、G線上のアリアをバックに主人公が図書室にこもる様子はそっくりです。
なお、映画「se7en(セブン)」はAmazonプライムビデオで2021年6月18日時点では無料でご覧になれます。キリスト教の「七つの大罪」をモチーフにした連続猟奇殺人事件と、その事件を追う刑事たちの姿を描いたサイコ・サスペンス映画です。主演はブラッド・ピットさん。MCU視点で補足すると、ペッパー・ポッツを演じたグウィネス・パルトロウさんが出演されています。
リベンジャーズ
アスガルド滅亡詳細イベントの資料を読むロキですが、資料にはリベンジャーズの記載もあるようです。
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なお、このシーンの最中の曲は「マイティ・ソー/バトルロイヤル」の曲をアレンジしたものになっています。
ロキの仮説とラグナロク
ロキは仮説の説明をする際に、ラグナロクと称してサラダにジュースをぶちまけます。
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Bokuは1990年から2003年にかけて McCain Citrus Incによって米国で販売された箱入りのフルーツジュースです。TVAの面々は20世紀終盤のものを気に入る傾向があるのでしょうか。
ポンペイ
ロキとメビウスは仮説の証明実験のために西暦79年のポンペイへと飛びます。
メビウスが「僕たちはここにいないはず。何かしたら歴史が変わるかもしれない。」と説明します。逆に考えると、TVA職員がタイムトラベルすることはあらかじめ決められているとも取れます。ここまで何度かハンターたちのタイムトラベルを見てきましたが、ひとつずつレンスレイヤー、あるいは彼女を介してタイムキーパーの許可が必要なのかもしれません。
大いなる目的
メビウスは「TVAは僕の人生、自分が信じる限り現実だ。」と語ります。メビウスは憧れのジェットスキーに乗る事も我慢し、レンスレイヤーに戦利品を取り上げられても、TVAの一員としてタイムラインを守ることを大いなる目的と考えているようです。
時の終わり
メビウスは時の終わりについて「分岐イベントがなくなり、秩序だけが残り、静かに時の終わりが来る。最高だろ?」と説明しました。しかしこの直前には「存在とは混沌だ」とも説明している事を考えると、時の終わりには存在もなくなると思われます。今後TVAも悪意のないヴィランになる可能性を示唆しているようです。
ドッカーンガム
1話で手に入れた証拠品「ドッカーンガム」を思い出したロキとメビウスはこのお菓子の販売時期から変異体が潜んでいる時間と場所を絞り込んでいきます。
ちなみに今回のエピソードでたびたび利用される資料室ですが、エレベーターのフロアボタンとは一致していない事がわかります。
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たとえば1枚目の画像には「LK3」という区画が見え、その上は「SYF」となっています。一方エレベーターに「LK3」はありますが、その上は「FE3」となっています。真ん中のXや三などの謎のボタン使って、左右のボタンを特殊な演算をすることで、膨大な各フロア全てにアクセスできるのかもしれません。
ロックスカート
ロキとメビウスはハンターの部隊を引き連れて2050年のアラバマ、ロックスカートというスーパーに向かいます。ロックスカートの親企業ロクソンに関してはこちらを御覧ください。
B-15の説明のよると、ここで起きているハリケーンの災害レベルは10だそうで、ラグナログがレベル7だった事を考えると何かの間違いなのでしょうか?それともレベル1が最も危険なのでしょうか?
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ちなみにハリケーンの歴代1位の死者数は1900年のガルベストン・ハリケーンで8000人から12000人との事。作中のハリケーンは西暦2050年ですがから記録更新する可能性はありますが、ラグナロクでの死者9719名とアスガルド滅亡を比較した時に災害レベルの違いはよくわかりません。
ARM & HAMMER
ハンターB-15が歩く横に ARM &HAMMER のロゴが輝いています。
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これは実在するロゴマークで、米国の家庭用品の大手メーカーであるChurch&Dwightが販売する重曹ベースの消費者向け製品のブランドロゴとなっています。たくましい腕にハンマーと言えばもちろんロキの兄ソーを示すもので、イースターエッグとしてこんなに最適なロゴはそうそうないと言えるでしょう。
ロキ(主人公)の目的
変異体との会話の中でロキは「タイムキーパーを排除するつもりだ」と口にします。これが真実なのか、変異体を騙すための嘘なのかは現段階で不明ですが、前述の通り、メビウスが説明したタイムキーパーと時の終わりはかなり不穏なものであり、ロキはそれを阻止しなくてはならなくなるかもしれません。
タイムキーパーの居場所
変異体に捕まっていたC-20ですが「タイムキーパーの居場所を教えてしまった」と明かします。メビウスは会ったことがないと説明していましたが、C-20はどうなんでしょう。会ったことがない事と居場所を知っているかどうかは別問題とも考えられますが。
C-20はTVAの医務室に行くことを拒否し、見つける方法を教えてしまったと説明します。
変異体の計画
ロキは変異体の計画に気が付きます。
ちなみに両脇に映っているのは HyperX ChargePlay Duo DUALSHOCK 4コントローラー充電器 と HyperXのゲーミングイヤホン であり、2021年現在Amazonなどで普通に購入出来ます。2050年のスーパーにこれがあるということは、かなりのレトロゲーム愛好家がいるのかもしれません。
セイクリッド・タイムラインの爆破
変異体が神聖時間軸を爆破したことで、大量のネクサスイベントが発生する様子が確認出来ます。
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MCUに登場した地球以外の箇所でも何かが発生しているようで、いくつかピックアップしてみました。
- ヴォーミア:2301年4月23日。ソウルストーンがあった惑星のかなり未来。
- アスガルド:2004年2月16日。映画「マイティ・ソー」よりも以前の日時。
- サカール:1984年8月13日。映画「マイティ・ソー/バトルロイヤル」の舞台になった惑星。映画の時系列よりも30年ほど過去。
- エゴ:1382年12月27日。スターロードのお父さん。メレディスと出会うより600年近く過去。
- タイタン:1982年10月13日。サノスの出身地である土星の衛星。
- ハラ:51年1月3日。クリーの母星。2000年近く昔。
- ザンダー:1001年9月24日。映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に登場した惑星。
日本人的に気になるのは1984年3月1日23時12分52秒に東京で何かが起きています。調べてみるとこの年の3月頃は記録的な豪雪災害があったようです。
さらに1947年のニューヨークはドラマ「エージェント・カーター」とリンクしそうなポイントになっています。これらのうちいくつかは今後のMCUで取り上げられる可能性がありそうです。
1話から薄々気づいていた方も多いと思われる野暮なツッコミではありますが、TVAは時間とマルチバースの管理という別の次元の組織のようでありながら、英語と西暦をベースにやり取りされています。クリー人やワカンダ人はオリジナルの文字が設定されていますが、ここらへんは映画とドラマの差なのかもしれません。
A-23
レンスレイヤーもかつてはハンターだったのでしょうか。ヘルメットにはA-23と書かれています。
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ラヴォーナ・レンスレイヤーがコミックに初登場したのは1965年のコミック「アベンジャーズ Vol.1 #23」でした。
TVAの人員構成や上下関係
TVA内の上下関係は今の所ぼんやりとしか描かれていません。存在がはっきりしないタイムキーパーを除くと、A-23のレンスレイヤー裁判官を頂点にハンターと分析官という役職があるようです。そして分析官にはメビウスやケイシーなどの名前があるのに対して、ハンターはB-15、C-20、D-90といったアルファベットと2桁の数字で構成されるリーダー格ハンターと10桁ほどの数字のみで構成される下っ端ハンターに分かれているようです。
ハンターのアルファベットは上下を表すのかと考えてしまう所ですが、日本語ではD-90はC-20に対して敬語ではなく、B-15に対しては敬語混じりとなっているようです。英語における上下関係のニュアンスは掴みきれていませんし、吹替及び字幕のセリフというのはこれまでのMCU作品を見ていても考察の材料として信頼性はあまり高くないと思われます。
単純に深い設定は用意されていないケースもありそうです。
変異体
この変異体をレディ・ロキと呼ぶかシルヴィと呼ぶかは難しい所ですが、この変異体のこれまでの手口を考えると、この肉体も使い捨ての身体をいう可能性はあるかもしれません。嘘の神vs嘘の神を描きながら、1話でヴィランが明かされ、2話でその姿が明かされるというのは、にわかに信じがたい展開です。全てが疑わしく見えてしまうと言う、コアなファンによくあるMCU症候群かもしれませんが。
以上、今回のイースターエッグ、その他チェックポイントでした。
ドラマ「ロキ」は 毎週水曜日 16時より ディズニープラスで新エピソードを追加配信中。次回、第3話は 2021年6月23日 配信です。