2023年10月27日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「ロキ」シーズン2エピソード4「Heart of the TVA(邦題:TVAの心臓)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
明かされたラヴォーナ・レンスレイヤーの過去
シタデルにて明かされたレンスレイヤーの過去。それは1話でロキが耳にした録音のロングバージョンでした。
レンスレイヤーはマルチバースウォーが起こった際に軍を率いて敵を制圧する殊勲を上げていたことが判明。敵とはすなわち、在り続ける者の変異体とその軍勢であり、ようするにカーンと同等の能力を持つ敵を蹴散らしたのだと考えられます。コミックでもカーンとは戦い合う運命にあったレンスレイヤーですが、MCU版でも戦闘力が高い事は間違いないようです。
在り続ける者はレンスレイヤーに対する敬意と賞賛の言葉を並べていましたが、結局のところ、このすぐ後には裏切りが待ち構えていました。
プロトコル42
レンスレイヤーが先にTVAに戻った後、在り続ける者はミス・ミニッツを呼び出しプロトコル42の実行を指示。敵に勝利した際にレンスレイヤーの記憶を消去する事は最初からの計画のひとつだったようです。
そもそもTVAの職員は連れてこられた変異体が記憶を消去されて仕事をさせられている、という事でしたから、神聖時間軸のオハイオ州フリーモントのルーズヴェルト高校で教師をしているレベッカ・トーミットを基本として、分岐時間軸から連れてこられた変異体のレンスレイヤーが記憶を消されてハンターとして職務にあたり、マルチバースウォーを制した後にこのプロトコルで再度記憶を消されている事に。
少し気になるのはTVAがどのような経緯で設立されたかという事ですが、シーズン1の1話で見たオリエンテーションビデオでは、タイムキーパーが戦争を終わらせた後に再度戦争が起きないようにTVAが仕事をするようになったと説明されています。
一方で今回の記録装置では戦争終結前までには既にTVAが稼働済みであり、少なくとも敵と戦っていました。この時点ではシーズン1でメビウスたちがこなしていたような業務は並行して行われていたのでしょうか?それとも単なる軍隊として、カーンの変異体と戦っていただけなのでしょうか?
プロトコル42はレンスレイヤーだけでなく、この時TVAに所属していたすべての人間の記憶を消去し、シーズン1のオリエンテーションと同様の内容の記憶を上書きしていると考えるのが妥当なところと考えられそうです。
このタイミングで在り続ける者は自分の存在をTVAから消し、タイムキーパーを統治者として仕立て上げてシタデルに引きこもっています。これ以降、ロキが在り続ける者の存在を皆に知らせる時点までTVA職員は在り続ける者の存在すら認識していなかったと考えられますが、シーズン2の1話では在り続ける者の像があった過去のTVAを視聴者は目撃しました。あの過去はレンスレイヤーが軍を指揮し、カーンの変異体たちと戦っていた時期なのかもしれません。
ちなみに、42という数字はマーベルではよく見かける数字のひとつであり、今回のエピソード4シーズン2という部分にもかかっていると考えられます。
コミックの「シビルウォー」ではアイアンマンやミスター・ファンタスティックがプリズン42という刑務所を作ったり、映画「アイアンマン3」の大半で着用されていたのはマーク42であり、「スパイダーマン:スパイダーバース」でマイルズを噛んだクモの検体番号は42で、続編の「アクロス・ザ・スパイダーバース」ではEarth-42が最後に訪れた場所でした。
反乱の始まり
レンスレイヤーは裏切りに対して怒りをあらわにしますが、意外な事にミス・ミニッツは「(在り続ける者は)はじめから必要なかったのかもしれない」とこちらも反旗を翻します。
3話ではレンスレイヤーを切り捨て、ヴィクター・タイムリーを在り続ける者の計画に乗せようと躍起になっていたミス・ミニッツでしたが、AIの自分に芽生えた愛が主人へ届かない事を認めてしまったのか、突然態度を変えることになりました。
ウロボロス
ウロボロスの元に連行されたヴィクター・タイムリーはウロボロスの書いたTVAハンドブックを見て思いついた理論だとし、ウロボロスはタイムリーの研究を見て書いたというタイムパラドックスに。
ウロボロスはこれを「自分の尾を噛む蛇だね」と神話に登場する無限と再生を象徴する蛇ウロボロスに例えます。3話でも指摘しましたが、ヴィクターはウロボロスにとっての自分の尾、同一人物、つまり変異体に当たるという事なのでしょうか?
オートマットルーム
2話で訪れたキーライムパイのオートマットルームでロキは再び過去を振り返る事に。ロキがソーの事を振り返ったことは興味深い展開でしたが、残念な事にシルヴィはあまりリアクションをしませんでした。彼女に姉や兄はいるのでしょうか。
相変わらず意見が一致しないロキとシルヴィ。彼女が「ここを燃やしてやり直す方が簡単」と発言するのはシーズン1でロキが連れてこられた当初に「ここを焼き払ってやる」と言っていた事の繰り返しになっています。
しかしロキは当時と心境が変化しており、作り直すことは難しいと説明しますが、二人のロキはまだまだ衝突を繰り返す事になりそうです。
X-5 ブラッド・ウルフ
ドックス将軍らの囚人部屋に現れたレンスレイヤーは、TVAを取り返すための仲間を募りました。しかしレンスレイヤーには人望がなかったのか、神聖時間軸での人生に未練があるX-5を除いて、誰もついていこうとはしませんでした。
ここは映像こそなかったものの、以前に登場した拷問の箱ギズモによってMCU屈指の凶悪な処刑シーンとなりました。
気になるのはX-5は所詮変異体であり、神聖時間軸にはX-5のベースとなる人物が存在しているはずです。同時期に人生を歩んでいるとしたら、ベースの彼はなかなか大変な人生となることでしょう。
ホットココア
パイの件でシルヴィに猛烈に怒られたあと、オートマットにメビウスの姿はありませんでしたが、結局はココアでブレイクしていたマイペースなメビウス。
ホットココアマシンに興味を示したヴィクター・タイムリーは、ミス・ミニッツによってシステムダウンしている間にマシンを観察。ハンターD-90にココアを勧める優しい一面を見せるなど、それほど邪悪な人物ではない事を示唆します。
1話への回帰
ロキたちがココアマシンの場所に向かうとタイムリーの姿がなく、床にはカップとこぼれたココア、そしてタイムスティックが残されていました。3話でレンスレイヤーをシタデル送りにしたシルヴィもそうでしたが、タイムパッドを取り上げずに転送した事や、ここでブラッドがタイムスティックを放置していった事など、脚本のためのやや強引な展開が続きます。
ロキはそのスティックを拾い上げたあと、各自散開してタイムリーを探す中で過去の自分(背広を着ていないロキ)を目撃し、自身(背広を着ているロキ)がスティックを手にしている事ですべてを理解して過去の自分を剪定し、タイムスリップを解決させました。
システム再起動
1話で意味深だった電話の受話器を警戒しながら取り上げたロキでしたが、それほど意味深でもなく、ウロボロスからの連絡でした。
ミス・ミニッツをシステムから追い出すために再起動するかどうか悩むウロボロスですが、再起動することによってセキュリティもオフになって魔法が使えるようになってしまうリスクがあるとの事。
それを聞いたロキとシルヴィは自身の魔法が有効になるためはやく再起動するように言います。この事によってケイシーが大量に集めていたインフィニティ・ストーンもアクティベートされるのでしょうか?
この疑問については触れられることがなく話は進行し、ミス・ミニッツはシャットダウン。停止間際に「あなたは彼になれない」と気になる言葉を残して消えてしまいました。
3話でのミス・ミニッツの説明では在り続ける者の計画としてタイムリーにTVAハンドブックを渡し、やがてTVAを作り上げるという流れでしたが、ミス・ミニッツの本当の狙いが今後明らかになってくるのでしょうか。
臨界
タイムリーを奪還し、時間織り機の前に集まる一同。防護服を着ようとするロキを制止し、自分が行くというタイムリー。時間オーラが一致したという事実は自分がTVAを作った事の証明であり、自分がこの先にTVAを作るという運命があるのなら無事に戻れるという確証もあったのかもしれません。
しかしながら防護服を着て外に出たタイムリーはあっさりとスパゲティ化してしまいました。「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」のリード・リチャーズはワンダにスパゲティ状にされましたが、コミックのカーンはリードの先祖であり、カーンの関係者がスパゲティになるのは2回目とも言えます。
まさかの結末にあっけにとられる一同、視聴者と同じく何が起きたか分からないロキたちが混乱し、光に包まれるショットで4話は終了を迎えます。
「ロキ」シーズン2は神聖時間軸を守るためにロキが奔走していますが、正直な所、映画「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」のためにはマルチバースウォーが再び起こる必要があり、時間軸を守れないという結末に向かう必要があります。そうでなければ別作品で再び時間分岐を描く事になるでしょう。
あと2つのエピソードが残されているためロキたちがこのまま消えて終わりというわけがなく、これまでに公開されてきた予告動画にもまだ見ぬシーンがいくつか存在しています。
©MARVEL,Disney
1話で見たタイムスリップ現象が再び起こっているのが分かりますし、これによってスパゲティになる前にどこかの時間に飛んでいる可能性は大いにあるでしょう。
また、疑問として残されているインフィニティ・ストーン、とりわけロキと縁のあるスペース・ストーンでの脱出もわずかな可能性としてあるかもしれません。
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シルヴィが宙に浮かぶ青い光を見つめるシーンや、シーズン1でよく見た囚人服を着ているロキも気になる所です。
さらにフィーチャレットでは今回の冒頭で登場したシタデルでトム・ヒドルストンさんが何らかの撮影をしていた事が分かっています。
シーズン1の最終話に戻ってシルヴィの在り続ける者の処刑を止め、いったんこの混乱をおさめるという流れも考えられそうですが果たして。
ドラマ「ロキ」シーズン2はディズニープラスで配信中、次回、第5話は 2023年11月3日10時 より配信予定です。