MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画「エターナルズ」の脚本家、ライアン・フィルポさんとカズ・フィルポさんの従兄弟コンビが海外メディア Polygon とのインタビューに応じ、本作のクロエ・ジャオ監督とはストーリーの制作にあたって日常的にゲーム「ファイナルファンタジーVII」やアニメ「千と千尋の神隠し」が参考にされていた事を明かしました。また、一部で議論を呼んでいる広島のシーンについても言及しました。
フィルポコンビは「ファイナルファンタジーVII」や宮崎駿監督の映画は、感情的・倫理的な複雑さを伴いながら、壮大な瞬間が繰り広げられる「グレーゾーン」に存在していると述べ、「エターナルズ」では、同じように大きな疑問を投げかけ、スーパーヒーローの物語の中で、アメリカによる広島への原爆投下の再現など、挑戦的な場面を演出したと明かしました。
カズさんは、「この映画は、”Humanity with a capital H “をテーマにした映画です。私たちは、この惑星と生命という贈り物を受け取るに値するか?そして、永遠に不滅の宇宙の神々がそれに取り組むというのは、今までの映画にはなかったことだと思います。」と述べました。
初期のドラフトでは、本作は常にセルシとイカリスに焦点を当てていました。「これは、愛と義務をテーマにした映画なので、それらを象徴する2人のキャラクターを用意したかったのです」とライアンさんは言います。「私たちにとって、イカリスは義務であり、セルシは愛なのですが、さらに複雑なことに、彼らはお互いに愛し合っています。セルシを起用したのは、そのパワーのためでもありますが、より具体的には、彼女は最も人間に近い存在だからです。彼女は、最も面倒くさがりで、最も共感しやすい人物です。私たちはいつも、彼女のことを「死すべき魂を持った不死身の人間」と表現しています。彼女は無常という考えにとても敏感で、永遠でありながら一瞬一瞬がはかないため、一瞬一瞬が貴重であるという考えを持っていたのです」。
また、劇中でファストスの心を動かした広島のシーンについて、カズさんは次のように語りました。
広島は、基本的にすべての脚本のドラフトに入っていました。あのシーンは本当に誇りに思っていますよ。私は日本人とのハーフで、曾祖父母が日本から来ています。これは世界的に見ても大きな出来事です。アメリカの学校でも勉強することです。私たちはベイエリアで育ちましたが、カリフォルニア州の公立学校では、具体的にどのような取り組みがなされているかというと、実際に教えられています。そして、原爆投下がなぜ悪いのかを言わなければなりません。そして、戦争のグレーゾーンにおけるモラルの複雑さについて大きな議論をするのです。
カズさんは、10代の頃の記憶にある、あの対立する瞬間を「エターナルズ」に持ち込もうと考えました。
中学1年生のカリキュラムから思い出しました。あの爆弾を落とすべきだったか、という問いには、正しい答えはありません。100万人の命を救うことができただろうか?そうだったのか?それは誰にもわからない。そしてクロエは、彼女の名誉のためにも、映画の中でそれを維持するために戦ってくれました。どのドラフトでも、人々は広島のシーンを削除しようとしていました。”差別的だ”とか”怖い”とか”大量虐殺について語っている”と。彼女には、それを維持するためのビジョンがありました。
フィルポコンビは「エターナルズ」が賛否両論であることに驚きはないと言います。そして、「なぜなら、この映画は国際的な慣習に関する多くのことに挑戦しているからです。しかし、これは彼らが誇りに思っている映画でもあります。そして、今後の作品では、より多くのグレーゾーンを探求していきたいと考えています。」と続けました。
カズさんは最後に「ファイナルファンタジーVIIは、私が幼い頃にプレイした物語で、私の人生を変えてくれました。物語の中で何ができるのか、私の視野を広げてくれました。」と語り、実写化のチャンスがあれば挑戦したいと明かしました。
映画「エターナルズ」は 2021年11月5日 より劇場公開中です。
ソース:Eternals’ Hiroshima scene was personal for the writers, and Chloe Zhao fought to keep it