2024年10月31日配信のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のドラマ「アガサ:オール・アロング」エピソード9「Maiden Mother Crone(邦題:乙女 母 老婆)」のイースターエッグを中心に原作設定や今後の予想、考察などをご紹介。
※この先はシリーズのネタバレ、および今後の物語のネタバレの可能性が含まれています。ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。
1750年
アガサが母親のエヴァノラたちを殺害してからしばらく経った1750年、森の中で一人出産するアガサの前にレディ・デスが現れます。この時もウィッチズロードに召喚された時と同様に花を手にしており、デスのアガサへの好意が伺えます。
死産を予感させる中、アガサはデスに「やるなら一生憎む」と言う一方で「お願い愛する人(Please my love.)」と猶予を求め、二人が既に恋愛関係にある事を示唆しています。
8話で言及された「特別扱い」によってニコラスの死が延期されたと視聴者は理解するシーンで、赤子は魔法も呪文も使わずに無(スクラッチ)から生まれてきた子として名付けられました。
父親については全く触れられませんが、コミックでもニコラスの父はずっと不明な状態です。ワンダは魔法によって妊娠したとみなされていますが、生まれるはずがなかったという意味ではニコラスとビリー(とトミー)は重なる部分があると言えそうです。
魔女二人
出産後、気の良い魔女団に出会ったアガサは彼女たちの力を奪っていきます。それから6年、少年になったニコラスはアガサの魔女殺しを手伝っていました。理由を聞かれたアガサは「生き残るため」と説明しています。
なお、この時にニコラスが盗んだベルは、2話での儀式で鳴らされていたベルのようです。
©MARVEL,Disney
魔女殺しの理由は、ひとつはニコラスを延命させるだけの魔力が必要だったという事。もうひとつはデスに捧げる供物として魔女の亡骸が必要だった事などが考えられますが、どちらにしても「特別扱い」の代償である事に違いありません。
この一連のシーンではバラッド・オブ・ザ・ウィッチズロードの原曲がアガサとニコラスによる二人の魔女団によって作られたものだった事が明かされています。4話でアガサが歌詞を訂正していたのはこれがあっての事だと考えられます。
アガサの魔法
ニコラスはアガサの紫の魔法がお気に入りのようですが、これは人を操ったり、ものを壊したりする事は出来るとしつつも、食べ物を出したり、守ったりする事は出来ないと説明しています。何人もの魔女の魔力を奪ってきたアガサにも出来ないことだらけという状況でした。
アガサがワンダのカオスマジックを狙った理由について詳細は明かされていませんが、現実を何にでも改変してしまう力を欲するようになった原点と言えそうです。
突然の別れ
魔女殺しを明日に延期してしまったのが原因なのか、眠るアガサの隣で目覚めたニコラスの前にデスが現れ、連れて行ってしまいました。二人が旅路に加えていたヤギの毛色がウサギのセニョール・スクラッチに似ていたのはニコラスとの思い出の名残なのでしょうか。
ニコラスの墓を用意して傷心のアガサの前に、ウィッチズロードの噂を聞いたとしてひとりの魔女が訪ねてきました。
ここまででウィッチズロードの歌はアガサとニコラスが作ったものであり、そんな道が実在しない事が判明していますが、アガサは噂に集う魔女を集めて魔女団を結成し、扉を開く儀式を開きます。
もちろん扉が開くわけはなく、魔女団の魔女たちを出来損ない呼ばわりして煽り、攻撃させる事で魔力を奪っていきます。これは2話でアガサがやろうとし、リリアたちが見抜いてやめた事でもありました。
ウィッチズロードの真実
嘘の伝説と歌によって魔女を集め、力を奪っていたアガサ。しかし現代になり、ビリーと集めた魔女団で儀式を行った際に、開くはずのない扉が開いてしまいました。
アガサがウィッチズロードに行ったことがない事は以前から考慮されていましたが、この説はここに来て実証される事となりました。
アガサは自分とニコラスが作った歌が現実に変化し、扉と階段が現れたことで動揺しましたが、すぐに察しを付け始めた表情が追加されてここで描写されています。
2話の段階ではまだアガサの中で疑惑にすぎませんでしたが、6話では「母親にそっくりな癖」として現実改変能力を指摘し、8話ではリオ・ヴィダルも「ありもしない道」と言及。アガサも8話では確信に変わっていたようで、道を一周した際の靴のくだりでは「その靴どうする?靴に銅でも塗る?(吹替:飾っておく気なの?」とビリーの部屋に靴のブロンズオブジェが飾られている事を指摘、試練の部屋では「たぶんうちの地下」だと目星を付けていました。
©MARVEL,Disney
シーンがビリーの自室に戻り、最終的な種明かし。ウィッチズロードはアガサの地下室を起点にビリーが無意識の現実改変能力でウェストビューの地下を作り変えていたものでした。
ようやく理解したビリーでしたが、シャロン(ハート夫人)やアリス、リリアの死の責任が重くのしかかります。しかしこれをアガサがフォローする形に。
以前にはトニー・スタークも「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」で無意識のうちに市民を殺していたと「シビル・ウォー」で責められていましたが、これをどう乗り越えて行くかが今度のビリーの課題となりそうです。
なお、ゴーストとなったアガサは白髪になっており、コミックのアガサ・ハークネスのヴィジュアルに急に近づきました。
ジェニファー・ケイルのその後
予告にもあった地面からゾンビのように出てくるシーンによって、ジェンが無事にウェストビューに生還しました。魔力が戻ったジェンは空も飛べるようです。
MCUのジェンがどこへ向かったのかは不明ですが再登場に期待したい所です。
新たな扉
「アガサ・オール・アロング」のラストはアガサとビリーがトミーを探すために新たな扉を開けるシーンで終わっています。また、この物語はアガサがビリーの母親代理を務め、ビリーがニコラスの代わりにアガサを許す事で幕を閉じました。
ビリーは新たな旅について「魔女団二人?」と、ちょっと楽しそうに4話を振り返りながら突っ込んでいます。
乙女 母 老婆
ニッキーバージョンの歌の段階で歌詞に含まれている「乙女 母 老婆」。アガサのブローチの柄にもなっている三人の女性像ですが、コミックではそれぞれワンダ、ワンダの母ナタリア・マキシモフ、そしてアガサ・ハークネス(のゴースト)を指していました。
今回のエピソードでは出産前のアガサ、母としてのアガサ、そしてゴーストになり白髪になったアガサが登場し、この3つを内包した存在としてのアガサが描かれていました。
残された謎
思いの外感情的な作品となった「アガサ・オール・アロング」ですが謎は多く残されています。
ウィッチズロード
道はバラッドの伝承を信じていたビリーの現実改変能力によって創造されたものでしたが、ニッキーとアガサが作った原曲にどのようにしてそのワードが入ることになったのかは明確ではありませんでした。コミックのように実際にどこかに存在する場所なのかは、今後のMCUをチェックするしかありません。
レディ・デス
アガサとリオの関係についてある程度は語られたものの、ニコラスが連れて行かれてから現代までの約300年、二人の間にどういうやり取りがあったのかは不明です。レディ・デスからアガサに対する愛情のほうが強いように見えますが、彼女はアガサの肉体を手に入れてご満悦で、アガサのゴーストが自由に動く事に異論はないのでしょうか?死神とは何なのかがいまいちはっきりとしておらず、この事はエヴァノラのゴーストとアリスの死の話題の時も指摘しました。
コミックのレディ・デスはデッドプールを愛しており、サノスがレディ・デスを愛するという三角関係がありましたが、MCUのデスを中心とする恋愛模様が拡張していくのかも注目です。
ダークホールド
「アガサが息子と引き換えにダークホールドを手に入れた」というのは単なる噂でしかなかった事は判明しましたが、では結局どうやって手に入れ、どうやって使いこなしてきたのかは不明です。代わりのニッキーを探すために「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」で紹介されたドリームウォークは使用していないのでしょうか。
数多の魔女の生命を奪ってまで過ごしてきたアガサが禁術のひとつも試していないとするのは相当な理由が必要になりそうです。
ジェンとリリアの予言
7話のラストでリリアがジェンを「未来」だとした予言についてはどうでしょうか。8話の試練は確かにジェンなくしては成功しなかったかもしれませんが、3話の試練での活躍に比べるとかなり控えめでした。
コミックのジェンはX-フォース、デッドプール、ゴーストライダーらと親交があり、ミッドナイト・サンズとして活動した事があります。
アガサとは相性が良くないジェンですが、ビリーには手を差し伸べてくれると考えられ、トミーを探す「未来」の旅でまた再登場する余地は十分に残されています。
なお、9話で使用された楽曲のいくつかは無料公開されています。
ドラマ「アガサ:オール・アロング」はディズニープラスで配信中です。